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HOME > 実践編 > 土づくりについて > 土壌資材
土があればとりあえず育つハーブですが、適した土壌の方がやはりよく育ちます。
逆に苦手とする土壌もあり、残念ながら枯れてしまうことも。
ここでは基本の土づくりと幾つかのパターンを紹介していきます。

ハーブの育て方

【土作り】土壌資材(配合土・単用土)

園芸用土には培養土と単用土があります。
培養土はいわゆる配合土で、いろいろな質の土を多種多様な植物や用途に合わせて配合したものです。
単用土というのは一種類の資材をいいます。
ここでは使いやすいものや用意しておいたほうが良いものを解説します。


Contents 目次

【培養土(配合土)】用途別に配合された土
 ・主な培養土

【土の配合】基本の配合
 ・排水性(通気性)確保
 ・保水性確保
 ・PH調整

【単用土(1)】ベースに使われる土
 ・黒土
 ・赤玉土
 ・鹿沼土

【単用土(2)】水はけ・通気性の良い資材(顆粒系)
 ・軽石
 ・川砂
 ・山砂

【単用土(3)】植物性資材
 ・腐葉土
 ・ピートモス
 ・バークチップ
 ・燻炭/草木灰

【単用土(4)】特殊用途
 ・ゼオライト
 ・石灰
 ・有機肥料

【裏ワザ】お手軽カンタン配合
 ・排水性(通気性)用土
 ・酸性用土


【培養土(配合土)】用途別に配合された土

【主な培養土】

培養土・配合土はいろいろなものが販売されています。
中にはハーブ用に配合されたものも存在しますが、それ以外のものも十分使えます。
いくつか候補を挙げてみましょう。

【ハーブ用配合土】 大抵の場合、普通の花・園芸用土と大差ありません。土の質はメーカーによって様々なのでいろいろ試して好みのものを選ぶようにしましょう。
排水性と保水性をバランスよく持ち、そこそこの養分も入っています。
ただし、ローズマリーやラベンダー、クローブピンクなどにはやや保水性が強いもの・養分が多いものもあります。

【野菜の土】 野菜の土やおいしい野菜の土などと銘打って販売されている配合土です。
水持ちがよく、養分も多く、葉物野菜などには適しています。
ハーブ系でいえばルッコラなどの葉を収穫するタイプによいでしょう。

【花の土】 花の土やきれいな花が咲く土などと銘打って販売されている配合土です。
水持ちがよく、養分も多く万能の土ですが水持ちが良すぎることもあります。
観賞用の植物を念頭に置いてあるため、食用の植物に適しているかどうかはやや不透明です。
ハーブといっても口に入れないものにはよいでしょう。

【ブルーベリーの土】 フルーツで人気のブルーベリー用の土です。
基本的に酸性で水持ちが良いように作られています。
一部のハーブはやはり酸性で水持ちが良い環境を好むものがあるためベースの土に混ぜて使うと良いでしょう。

【サボテンの土】 多肉植物やサボテン向きの土です。
メーカーによって様々ですが、基本的にとても通気性・排水性が良い土になっています。
そのため、多くのハーブに向いています。
ベースの土に配合して使うと良いでしょう。

《参考》  おすすめの培養土はページの最下段で紹介します。


【土の配合】基本の配合

【排水性(通気性)確保】

土の配合は様々ですが、その中でも作りやすい配合をいくつかご紹介します。
ハーブの場合、大抵は【軽い土】【排水性と保水性がある土】が好まれるので、そのような配合を考えてみました。


【排水性(通気性)のある配合】 いわゆる軽い土とされるタイプです。
通気性と排水性を持ち、肥料も少ない土となります。
配合のベースの土は何でも良いですが、一般的には赤玉土や鹿沼土が使われます。
そこへ顆粒状の資材や多孔質の資材を混ぜていきます。

※全量を10割として換算
・ベース(基材):赤玉土もしくは鹿沼土/3割
・排水資材1:軽石(小粒)/2.5割
・排水資材2:川砂/1割
・排水資材3:山砂(桐生砂など)/1割
・養分補充:腐葉土/2割
・PH調整剤:燻炭もしくは草木灰/0.5割

排水性と通気性に優れた配合です。根腐れが怖いときなどはこの土で良いでしょう。
山砂と腐葉土が入っているので保水性も完全にゼロというわけではありません。
養分がないに等しいため鉢植えの場合は時折弱い肥料を与えたほうが生育が良くなりますが、地植えの場合は周辺へ根を伸ばすので大丈夫でしょう。
なお、腐葉土を入れなければ挿し芽の土としても流用できます。

《関連記事》  土づくりについて

それぞれの土壌資材についてはページの中盤から詳しく解説します。
なお、手っ取り早く簡単な配合を教えて! という方にはページの最下部にて軽く紹介します


【保水性のある配合】

あまりにも排水性が良すぎると水切れを起こしやすくなるため、ずいぶんを多めに必要とする植物には保水性の高い土が必要となってきます。
ここでは保水性が高い配合を考えてみます。


【保水性確保】 いわゆる湿り気のある土ですが、水はけが悪いと古い水分と新しい水分の入れ替わりがなくなってしまうため、 ある程度の排水性は必要となります。
ハーブの場合はマロウ系ややや酸性よりの性質を好むタイプがこの土を好むことが多いです。
また、乾燥気味を好む植物でも旺盛に茂っているときは水分の消耗が激しいので、保水性が足りない場合はこのタイプの土を足すようにします。

※全量を10割として換算
・ベース(基材):黒土/2割
・ベース(基材):赤玉土もしくは鹿沼土/1割
・養分補充:腐葉土/2割
・排水資材2:川砂/1割
・排水資材3:山砂(桐生砂など)/1割
・保水資材:ピートモス/1.5割
・PH調整剤:燻炭/1割
・PH調整剤:草木灰/0.5割

保水性に優れた配合ですがある程度の排水性も有しています。
保水性対策にピートモスを大量に入れられていることがありますが、ピートモスは一度乾いてしまうと水分を吸わなくなってしまうため、 大量に入れると予後が悪くなります。
そのため配合は少しにとどめておきます。
若干酸性が強めになるため、燻炭と草木灰で中和します。
なお、【重い土】という場合は保湿性が高く若干の粘性もあり、ある程度養分も多い土となります。
その場合はベースをすべて黒土にし、腐葉土や有機肥料を増やすと良いでしょう。


【PH調整の配合】

ハーブの大半はややアルカリ性よりの土を好むとされます。
日本の土壌は山間を中心にやや酸性よりの所が多いため、中和して中性に近くしたり、 場合によってはアルカリ寄りにしたほうが良いこともあります。
一方、酸性よりの土を好むタイプもあります。
ここでは酸性寄りにする場合とアルカリ性寄りにする場合の資材を挙げてみます。


【アルカリ性寄り】 以下の資材がアルカリ性となりますので必要に応じて土に混ぜると良いでしょう。
・苦土石灰(強め/即効性)
・カキ殻灰(中くらい/緩効性)
・草木灰(中くらい/即効性)
・燻炭(中くらい/緩効性)

【酸性寄り】 以下の資材が酸性寄りとなります。
・ピートモス(強め)
・赤玉土(弱め)
・山砂および鹿沼土(弱め)
・もみ殻(強め)


【単用土(1)】ベースに使われる土

【ベースに使われる土】

単用土は文字通り単一の性質の用土(資材)です。
そのうち、万能用土で植え付けなどのベースに使われることが多い土を挙げてみましょう。


【黒土】
黒土は多くの土地の表層面でみられる黒くて養分に富んだ普通の土です。
やや粘性があり、水持ちが良いです。
ごく一般的な土で万能ですが、どちらかというと野菜向き。
《参考》 黒土

【Tips】
庭植えの際はあまり必要ありませんが、花壇に植える場合や鉢植えの場合はベースに配合して使うのも良いでしょう。
どちらかというと葉やエディブルフラワーを収穫するタイプのハーブに向いています。


【赤玉土】
鉢植えや挿し芽のベースに使われることの多い顆粒状の土です。
崩れると粉末の赤土になるため、潰れにくい硬質赤玉土がおすすめ。
大玉から小玉、細粒まで粒の大きさが多種類用意されています。
《参考》  赤玉土

【Tips】
やや酸性の土となります。養分はあまりありません。
万能なので一袋は常備しておくと良いでしょう。
挿し芽なら細粒〜小粒、鉢植えなら小粒〜中粒が生育が良いです。


【鹿沼土】
鉢植えでは赤玉土と共にベースに使われることの多い顆粒状の土です。
土と銘打っていますが実際には山砂に分類され、性質は軽石に近いものがあります。
《参考》 鹿沼土(山砂/軽石)

【Tips】
挿し芽の際にも使われることが多い土で排水性が良く、やや酸性となります。
鉢植えメインの方は常備しておくと便利な資材です。
養分はほとんどありません。



【単用土(2)】水はけ・通気性の良い資材(顆粒系)

【排水用土】

こちらでは主に水はけ(排水性)を良くするために配合される資材を挙げてみます。
どれもそこそこの大きさの顆粒状であることが特徴で、中には多孔質のものもあります。
排水性が良い土はたいていの場合通気性にも優れています。
庭が粘土質の場合や湿気の多い土地の場合にはほぼ必須となってきます。


【軽石】
排水性資材としておそらくもっとも有名な資材でしょう。
土と混ぜて使う場合は小粒〜中粒が良いでしょう。
表面に凹凸がある多孔質なのが特徴です。
《参考》 軽石(園芸用)

【Tips】
用途は幅広く、大粒のものは鉢底石としても販売されています。
水はけ対策に限らず万能な資材なので常備しておくと良いでしょう。
庭が粘土質の場合は大量に必要となります。


【川砂】
さらさらした砂で、排水性が良い資材です。
たくさん投入すると土が締まるので、適度に緩衝資材も混ぜると良いでしょう。
《参考》 川砂(土壌資材)

【Tips】
保水性はほぼありませんので、乾き気味の土にしたい場合は多めに入れると良いでしょう。
こちらも常備しておきたい資材の一つです。


【山砂】
山砂は総称で、たいていの場合は産地(地名)の名称で販売されています。
鹿沼土や桐生砂、日向砂が代表的です。
排水性が良く、さらに保水性もある程度保持しています。
《参考》 桐生砂(山砂)

【Tips】
山野草用の土という名称で売られていることもあり、やや酸性よりとなっています。
大半は中粒程度の顆粒で、黄色から赤褐色の色をしているものが多いです。
いろいろな山砂があるのでどれか1種類使いやすいものを見つけて用意しておくと何かと便利です。


このほかにもバーミキュライトやパーライトが挙げられます。
これらは単品で使うことはありませんが、排水・保水性資材として土に混ぜられることが多い資材となります。


【単用土(3)】植物性資材

【植物性資材】

植物性資材もいろいろありますが、それぞれ特徴があり、いろいろ組み合わせて使うと土の性質をより良いものにすることができます。 ここでは代表的なものを挙げてみましょう。


【腐葉土】
主に落葉樹(広葉樹)の枯葉を発酵させたものです。
植物繊維を含み、微生物の住みかとなります。
肥料としても有名です。
《参考》 腐葉土(一覧)

【Tips】
ある程度の排水性と保水性を持っていますが大量に使う必要があります。
園芸には欠かせない資材の一つで、万能なので多めに用意しておくと良いでしょう。


【ピートモス】
ピートモスは植物が発酵して分解、残った繊維のようなものです。
湿原や泥炭層に堆積している水苔の細かな繊維がありますが、それに近い素材です。
《参考》 ピートモス(一覧)

【Tips】
とても保水性に優れていますが、一度完全に乾燥させてしまうと今度は撥水性を発揮しますので、 その場合は全体を一度水分になじませて復活させる必要があります。
酸性度はやや強めとなっており、多くのハーブには中和させてから使ったほうが良いでしょう。

大抵の園芸用土に配合されていて、配合土の保水性を高くしつつも表面の水を弾いてしまう気難しい資材。
市販のハーブ用土で種まきや挿し芽、ひいては水やりが失敗する原因はこれ。
一回完全乾燥させてしまうと強力な排水性資材(水を弾く)に豹変するため、 市販のクランベリーなどの鉢植えを水切れさせるとその後が悲惨なことになります。
苦手な場合はピートモスなしの土を自分で配合した方が無難です。
ただし保水性資材としてはやはり優秀で、植物性の繊維質としても欠かせません。
うまく扱えるようになればとても優秀な植物性資材です。
なお、ココナッツ繊維で作られたピートもあり、そちらは酸性が緩和されてます。


【バークチップ】
バークチップはココヤシや樹皮などを発酵させた木片です。
多孔質なので保水性と排水性を両立できる優れた資材です。
冬場の根覆いとしても有用です。
《参考》 バークチップ

【Tips】
大粒のものは室内の観葉植物の鉢植えに飾りとして使われています。
有機肥料と組み合わせると微生物の住みかとなってくれます。


【燻炭/草木灰 】
燻炭は主にモミ殻やソバ殻などを燻して炭化させたものです。
草木灰は草や木を燃やした灰で細かな粉末状です。
アルカリ資材であり、効き目も穏やかなので酸性の中和に使われます。
《参考》 燻炭/草木灰(一覧)

【Tips】
燻炭は多孔質で顆粒状なため、排水性と保水性を両立できます。
燻炭も草木灰も多少の養分を含んでいるため、肥料に少量くわえると良いでしょう。


このほかにも植物性資材としては米ぬか(油粕)などがありますが、そのままで使うと害になることのほうが多く、 一般的には発酵させた後に土に混ぜ、有機肥料の材料として使われます。


【単用土(4)】特殊用途

【特殊な資材】

中には特殊な用途に使われる単用土もあります。 こちらではその中でも比較的よくつかわれるものをピックアップしてみます。


【ゼオライト】 (根腐れ防止剤ほか)
ゼオライトは主に根腐れ防止剤として販売されています。
脱臭や雑菌の繁殖を抑える目的で土に配合されることが多い資材です。
《参考》 ゼオライト(根腐れ防止剤)

【Tips】
見た目は白く細かな軽石といったところで、多孔質の素材となります。
地面の排水性が悪いときや根腐れが心配なときは1割程度混ぜると良いでしょう。
多孔質なため、有機肥料の微生物の住みかになるように混ぜられることもあります。


【石灰】 (苦土石灰・有機石灰ほか)
園芸で使われる石灰は主に苦土石灰や貝石灰(カキ殻灰・貝灰)です。
苦土石灰は粉末や細粒状のものが多く、土のPH調整によく使われます。
《参考》 石灰(苦土石灰・有機石灰ほか)

【Tips】
牡蠣殻灰・貝灰は有機石灰で、効果の穏やかなPH調整剤としてのほか、肥料としても使われます。
牡蠣殻灰・貝灰は多孔質でもあるので排水資材としても使えます。


【有機肥料】 有機肥料は植物やその他の有機資材を微生物発酵によって分解した肥料です。
効き目が穏やかで肥料焼けも少なく、使いやすい肥料です。
また、肥料中の微生物によって土の中の繊維などの有機物を分解する役目も果たします。
粘土など、土中に有機物や微生物が少ない土壌もあるのでそのような場合には重宝します。
自分で有機肥料を作る際、そのベースとなる微生物材料として使われることもあります。
《参考》  有機肥料(各種一覧)


【裏ワザ】お手軽カンタン配合

軽石やら川砂やら腐葉土やら多種多様にそろえるのも意外と面倒だし邪魔……という場合は市販の配合土の掛け合わせで済ませましょう。
基本の土を作ったら、あとはPHや養分の調整をするだけです。

【排水性(通気性)用土】

一般的な培養土 × サボテン(または多肉植物)用土

ハーブ用とされている培養土もしくは花や野菜の土をベースにサボテンもしくは多肉植物用の土を混ぜます。


【酸性用土】

一般的な培養土 × ブルーベリー用の土
一般的な培養土 × 山野草の土
ブルーベリー用の土 × 山野草の土

一般的な培養土に酸性の培養土を混ぜます。
ブルーベリーの土や山野草の土、ツツジやサツキの土といったものが酸性用土になります。


このほかのお手軽配合としては、肥料が欲しい場合に肥料を直に与えると肥料焼けすることがあるので、 肥料が多めに含まれている野菜用の培養土を混ぜるのも良い方法です。

万能で失敗の少ない土にしたい場合は、
一般的な培養土 × 細粒の硬質赤玉土 +草木灰
で良いでしょう。
種まきも挿し芽も植え替えもこれでOKです。


【おすすめ培養土】 今まで使った培養土の中でこれが一番使いやすい。

家庭菜園用土 イケダオリジナル培養土 25L

花や野菜、ハーブに使える培養土です。
軽く扱いやすい土です。
特に排水性がほかの培養土より優れていてハーブにはぴったり。
肥料も強すぎず弱すぎずでちょうど良い感じです。

【Tips】
使ってみたところ、一般の培養土と比べてピートモスが少ないようで、水やりのアクシデントが起きにくい感じです。
培養土は保水性が強くて排水性が今一つなのが多いのですが、この培養土は排水性が良いのが特徴です。
実際に鉢植え用のメイン用土として使っていますが、セージなどの勢いがとてもよく成長しています。

現在、この土をベース5割とし、追加で軽石2割・桐生砂1割・川砂1割、 残り1割をを草木灰や燻炭などのPH調整材と腐葉土などの混合物にして使っています。