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一口に耐寒性ハーブと言っても品種によってそれぞれ差があります。
ギリギリ冬越しできるものから、かなりの極寒や悪条件まで耐えるものまであります。
そのような強健なハーブに他の植物を守ってもらうのも一つの方法です。

【防寒対策】他のハーブに守ってもらう

耐寒性が高めのハーブはありますが、その中でも特に耐寒性が強いものや頑丈なものは、 他のハーブを守るための防風壁にすることができます。
ハーブガーデン風の庭にはぴったりの方法で見た目も良いのでおすすめです。


Contents 目次

【防寒対策】風よけにハーブを植えよう
 ・風よけになるハーブとは?
 ・風よけにおすすめのハーブは?
 ・ハーブの生け垣を作ろう

【防寒対策】根元の冷えも対策しよう!
 ・根覆いになるハーブとは?
 ・根覆いにおすすめのハーブは?

【関連記事】
 ・冬越しの方法


【防寒対策】風よけにハーブを植えよう

【風よけになるハーブとは?】

CHECK! 風よけになるハーブ

・耐寒性が特に強い品種
・冬でも茂っている植物
・ある程度の大きさがあるほうが好ましい


風よけになるハーブとは、強い耐寒性があり、そこそこ葉が茂って高さと幅(大きさ)のあるハーブになります。
風を通さないためにはある程度茂っていることも必要となります。
基本的に常緑系のハーブが適していることになるでしょう。
条件としては例えばラベンダーやローズマリーのようなハーブが当てはまります。


冬越しを左右するポイントに冷たい風にあたるか当たらないかという点があります。
例えば同じマイナス5度でも、冷たい風が当たればもっと冷え込みます。
冬越しさせたいハーブに冷たい風が当たる場合には、より寒さに強いハーブを風上側に植えると良いでしょう。
鉢植えの場合も寒さに強いハーブの鉢を風上側においておくと良いです。


冬の冷たい風に耐えて他のハーブを守るには、より強い耐寒性が必要です。
耐寒性があっても地上部を枯らしたり葉を落としたりしているものは風よけにはなりません。
守りたい植物より小さかったり低かったりする場合も風よけにならないため、ある程度の大きさも必要です。


【風よけにおすすめのハーブは?】

CHECK! 風よけにおすすめのハーブ

・低木で茂み状になる
・常緑/冬季も葉が茂る
・ほかの植物より耐寒性が高い
 →ラベンダーとローズマリーが候補!


低木状で茂り、冬季も葉が残り、なおかつ耐寒性が高い種類となると挙げられるのがラベンダーとローズマリーです。
この2種類について少し説明してみましょう。


まずラベンダーについてですが、いろいろな品種がある中で適しているのは以下の2系統の品種となります。


【イングリッシュ系ラベンダー】 冬のイングリッシュラベンダー ラベンダーの中で最も耐寒性が高く、多くのハーブ全体の中でも相当耐寒性が高い種類となります。
中には北海道で品種改良された種類も存在します。


ややコンパクトで背は低いため、背の高い植物の防御には向きませんが、地表の寒さもかなりのため、寒冷地では頼もしい防壁になってくれます。
葉は小さいですが、その代わり密になります。

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販売時にはイングリッシュ系やアングスティフォリア系、もしくはコモンラベンダーと表記されている種類で、ラベンダーの中で最も人気のある系統です。
耐寒性は高く、相当な寒冷地でも何の対策もなしで地植えで越冬できる植物です。
そのかわり夏には弱く、特にヒッドコートは温暖地では夏を迎える前に枯れることもあります。


元々コンパクトなため、生垣として使う際には矮性品種をメイン素材に選んでしまうと小さすぎるのでサイズに注意します。
そのかわり、矮性品種は隙間を埋めるのに重宝します。
イングリッシュ系は大きくても株高が40〜60cm程度なので、50〜60cmに育つタイプを選ぶと良いでしょう。
成長はゆっくりめですが、地植えにして3年目にはそこそこ茂ります。


【ラバンディン系ラベンダー】 冬のラバンディン系ラベンダー ラバンディン系ラベンダーは交配種で、ラベンダーの中では暑さに強い系統として知られています。
暑さだけではなくすべてにおいて頑強なタイプです。


イングリッシュ系と比べると見た目からして頑丈で、がっしりして大株に育ちます。
イングリッシュ系より耐えられる温度は劣りますが、元の体力があるためある程度カバーできます。
葉も大きく、花穂の茎も太いのが特徴です。

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夏に強い種類ですが冬にも強く、何回か寒さに当てて耐寒性を強めることで、 北関東の山間くらいの寒冷地であれば防寒なしで育てられるようになります。
しかも多少の湿り気にも動じず、雪や霜が降る場所でも平気で育ちます。


ラバンディン系はラベンダーの中では大型に育つ部類で、特にシールラベンダーは背も株の幅も大きくなります。
イングリッシュ系ほど葉の密度はありませんが、イングリッシュ系より葉が大きく軟らかく、 株も大型になりますので風よけにするにはとても適しています。
成長も早いものが多く、地植えにして一年でかなり成長します。


まずはコンパクトなイングリッシュ系ラベンダーで足元・地表の冷たい風を防ぎ、その次にラバンディン系ラベンダーを置くと良いでしょう。
イングリッシュ系のほうがより寒さに強いため、万が一、極端な寒気でラバンディン系がギリギリの温度になっても守ってくれます。


ラベンダー系統を防寒に使う際の注意点は、屋根や樹木などから雪が落ちてくる場所では落雪で枝が折れやすいので気を付けてください。
普通に雪が積もる分には問題ありません。


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次にローズマリーですが、風よけという観点から基本的には立性の品種を選ぶことになります。
また、全体的に立性のほうが耐寒性の高い品種が多くなっています。

【関連記事】:耐寒性の高いローズマリーの種類


ローズマリーは常緑で、立性であればものによっては2m近くの高さにまで茂りますので風よけに最適です。
半匍匐性でも若いうちに主要な枝を上に誘引すれば高さを出すことができるので、茂れば風よけにすることができます。


ただしローズマリーは最初のうちは耐寒性がそれほどではなく、寒冷地では新芽や若葉が霜や低温で枯れてしまいます。
風よけに使う為には、鉢植えなどで何度か冬を体験させて耐寒性を高める必要があります。
もしくは薄い不織布などで全体を覆ってしまえば問題ありません。
寒さに慣れて耐寒性を獲得すればとても優秀な風よけになってくれますので生垣にもお勧めです。


以下に耐寒性が強く、比較的入手しやすいローズマリーを挙げてみます。
より詳しくは耐寒性の強いローズマリーの種類を解説したページがありますのでご参照ください。

【関連記事】:耐寒性の高いローズマリーの種類


【マリンブルー】【ミスジェサップ】 この2種類は立性の代表的な品種で、寒さにも強い品種です。
生垣にも使われることが多い種類で風よけには最適です。
ローズマリーで耐寒性が強いものというとアープが挙げられることが多いですが、 北関東の山間くらいであればこの2種類でも何回か寒さに当てて慣らせば防寒なしで耐えられます。
寒さに慣れれば−15度くらいまでは平気で、稀に−20度になるくらいなら耐えられます。


【ファーンオークスハーディー(ファーノハーディー)】 名前のハーディーとはもともと耐寒性が高いという意味で、 他にはアルカルデ・コールドハーディーやマデリンヒル(ヒルハーディー)などが挙げられますが、 国内で流通しているのはこのファーンオークスハーディーのみのようです。


これらのハーブは鉢植えの場合でも風よけにできます。
寒さに弱い植木鉢の風上側などに置くことでほかのハーブを守ることが可能です。
小さい植物を守るのであればコモンタイムも耐寒性が強く防寒に使うことができます。


他に耐寒性が強い植物というとコモンセージも挙げられることがありますが、コモンセージは冬になるとやや葉が寂しくなります。
また非常に枝が折れやすいので、雪が分厚く積もる場合や落雪にあたる場所の場合は避けたほうが良いでしょう。


CHECK! 風よけに使えるハーブ

・大型になる品種を選ぶと良い
・ラベンダー2系統か立性ローズマリーからチョイス
・寒さに慣らしてから使う



【ハーブの生け垣を作ろう】

風よけにおすすめなのがハーブの生け垣です。
特にハーブガーデン風の庭にしたい場合にはお勧めです。


高さのない畝のような形にしたい場合はラベンダー、ある程度の高さを保ちたい場合はローズマリーが良いでしょう。
生垣にする場合は60cm間隔でとよく言われますが、種類によって株の横幅が違うので一概には言えません。


イングリッシュラベンダーの場合は高さが出ず、低い畝のようになります。
地表を風が吹き抜けるのを防ぎたい場合におすすめです。
大きさは1〜2年目で40センチ幅くらいで高さも30〜40センチ程度です。
それより大きくなることを考慮しても、植え付けの株間は45〜60センチ前後が目安となります。


ラバンディンラベンダーの場合は種類によっては高さも出ます。
種類によるものの、大体の高さは60cm〜80cmほどになります。
幅の大きさは地植えにして1〜2年目で60センチ幅くらいですが、シールラベンダーなど大型種は80センチくらい茂ることもあります。
特に花の時期には花穂までが横広がりになるので、株間は余裕を見ます。
植え付け時の株間はグロッソなどが60〜80センチ、それ以上の大型種は80〜100センチ近くで良いでしょう。


ローズマリーの場合、横幅も高さも出てきます。
畝のようにすることもできますし、刈り込んでトピアリー風にすることも可能です。
ただし蒸れると中心部の葉が落ちてくるので、防風用といえども時々枝を透かしたほうが良いでしょう。


ローズマリーを生垣にするにはそのままだと脇枝が出にくく、横への広がりが足りないため、 若い枝の先端を刈り込んで脇芽の成長を促す必要があります。
脇枝を育てることを前提に80センチ以上の株間をとって植え付けるようにします。
ただし巨木化すると1メートルを余裕で越してきますので、密に植えすぎて育った場合は間引く必要が出てきます。


生垣の根元に隙間が空いてしまった場合は、 30センチ前後の高さにまで育つコモンタイムや矮性のイングリッシュラベンダーを植えることで隙間を埋めることができます。
植えた後で抜くのがためらわれる場合は鉢植えを置いておくのも良いでしょう。


この他にハーブの生け垣として時に勧められるのがヒソップですが、ヒソップには盲点があります。
ヒソップは根元から分枝しこんもりと茂るので夏の間は生垣として非常に美しいのですが、実は冬に地上部が枯れます。
特に寒冷地では秋ごろから枯れ始めて厳冬期には地上部がなくなりますので、冬の間は生垣の役目を全く果たせません。



【防寒対策】根元の冷えも対策しよう!

【根覆いとは?】

植物の根元・株元やその地面を覆って守ることを根覆いといいます。
冷えを防ぐ役目はもちろんですが、根元が霜柱で浮き上がってしまったり、根が土ごと凍ったりしてしまうことを防ぐ目的もあります。


また、冷たい風は意外と根元の部分にも当たりますし、地表付近は夜間はかなり冷え込みます。
特に低木系のハーブは根元は葉が少なく直接風が当たることもしばしばです。
地面や根は根覆いで防げますが、地上数センチの高さまでの幹や根元はむき出しなんて場合も。
この部分が凍ってしまうと株全体が枯れてしまうのでしっかり防寒したいところです。


【根覆いにおすすめのハーブは?】

根覆いになるハーブはその役目上、背丈が低く耐寒性の強い植物となります。
一般的にグラウンドカバーに使われるような植物であれば該当します。


また、根覆いほど地面すれすれでなくても、背の低いハーブや、あるいは背の高いハーブでも下のほうの株元は守りたいものです。
このような場合は背が低く茂るタイプの植物を植えて株元を守ります。


CHECK! 根覆いに使えるハーブ

・地表を覆うならクリーピングタイム
・株元や下のほうを守るならコモンタイム
・背丈によっては矮性のイングリッシュ系ラベンダー


根覆いにお勧めなのは匍匐性のタイムです。
一般的にクリーピングタイムと呼ばれるタイプで、種類も豊富です。
ロンギカウリスが有名で、北関東の山間でも日当たりさえよければ防寒なしで耐えきれます。
強い霜で表面の葉がやや焼けますが枯れることはなく、そのまま厳冬期でも茂っています。
びっしり密になって地表を覆ってくれます。

ロンギカウリス タイム(ハーブ/3号(9cm)ポット苗)


いっぽう、地表を覆うのではなく背丈の低い位置で茂るものとしてはコモンタイムがあります。
低木系ハーブの下のほうや株元の幹を守りたい場合はこちらが良いでしょう。
茂っていても木漏れ日が入る隙間はあるので日向側に植えて大丈夫です。

コモンタイム(ハーブ苗)9cm(3号)ポット苗


コモンタイムでは高さが足りないという場合は、イングリッシュ系ラベンダーで矮性のタイプを選ぶと良いです。
矮性の種類は高さがコモンタイムとさほど変わらず、30センチ程度となります。
こちらは影を作りやすく寒さに極端に強いので日向側よりは風上側に植えると良いでしょう。
イングリッシュ系で矮性の品種ではマンステッドが強健で育てやすく、おすすめです。

ラベンダー ハーブ 苗 【マンステット (スパイカ系)】 3号ポット苗


花壇など、一年草で良い場合はアリッサムなどのナズナ系統の花が耐寒性が強い種類となります。
これは冬でも花を咲かせているのでお勧めです。


極端な寒冷地の場合はクランベリーやコケモモが候補に挙がってきますが、これらは酸性土壌と湿った場所を好むため、 他のハーブとの相性に難点があります。


その他の種類で根覆いを考えると、ローマンカモミールは花の時期以外はコンパクトなので一見すると良さそうですが冬の間は葉が無くなっており、 あまり風よけには向きません。
ヤロウやサラダバーネットは冬季でも葉が茂っていますが、成長期に巨大化することと他の植物を圧倒して増える可能性が高いため、 根元の防御に植えるには危険が高いです。



【まとめ】


CHECK! 他のハーブに守ってもらうには

・耐寒性が強く冬でも茂っている種類
・風よけには大株に育つほうが良い
・ラベンダーかローズマリーが候補
・鉢植えの場合は風上側に耐寒性の強い種類を置こう
・根覆いもできる
・低い位置はタイムが最適
・矮性ラベンダーをうまく使おう


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