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料理用のハーブとして知られるヒソップは花が見事な株に育つのでとてもおすすめです。
とにかく手がかからず管理が楽で、庭に地植えにするととても見ごたえがあるのが魅力。
まずはヒソップの基本的な育て方、日常の管理について紹介します。

【ヒソップの育て方】 ヒソップの基本情報

ヒソップの育て方

ヒソップ hyssop (シソ科)

多年生・小低木
耐寒性有
立性から半匍匐性

乾燥気味を好む
アルカリ性の土壌を好む
日光を好む


ヒソップはこんなハーブ

 ・管理が楽
 ・暑さにも寒さにも強い
 ・挿し芽がカンタン
 ・花が見事

【ヒソップの育て方】 目次

Contents 目次

【育てる前に】育てる前に確認しておこう
 ・水はけ、用土について
 ・耐寒性について
 ・成長について

【ヒソップの選び方】良い苗を選ぶポイントは?
 ・苗の基本の選び方

【日常の管理】日常のお手入れのポイントは?
 ・水やりのポイント
 ・肥料のタイミング
 ・剪定、切り戻し
 ・植え替えのタイミング
 ・害虫について

【ヒソップの増やし方 】種まきや挿し木(挿し芽)は?
 ・種まきで育てる
 ・挿し芽(挿し木)で育てる
 ・苗から育てる


育てる前に

ヒソップは手もかからず育てやすい部類なので特別な準備は必要ありません。
地植えか鉢植えかで多少異なりますが、注意が必要なのはかなり湿り気が強い場所に植える場合くらいです。
多年生の低木系ハーブでありながら宿根草のような生態なので少し変わっていますが、育てるのは楽です。


【水はけ・用土について】

CHECK! 水はけ・用土のポイント

・水は連日与えない
・常時の湿気には排水対策
・養分過多には注意
・土は軽石などを混ぜて通気性確保


どちらかというと乾燥気味の環境に適しているため、鉢植えの場合は水やりの回数を少なめにします。
地植えの場合、あまりにも湿気の多い場所や粘土質の場合は、土に通気性のよい資材を混ぜ、周辺に配水用の溝を掘ります。
通常の梅雨や秋の長雨には耐えられますが、集中豪雨が幾日も続くようなことがあると枯れてしまいますので注意が必要となります。


水はけのよい土に関しては、市販のハーブ用土などの配合済みの園芸用土は意外と保水性が強いので、 小粒の軽石や桐生砂を半分くらい混ぜて排水性と通気性を確保します。
ローズマリーよりも根腐れが早いので水分過多には注意が必要となります。
ただし真夏に完全な水切れにを起こすと枯れやすくなります。夏以外は心配ありません。


ヒソップの場合、やや注意が必要なのが土の養分の量です。
肥料分が多いといわゆる肥料焼けを起こして枯れやすくなります。
根が傷むことが多く、回復も難しいので注意が必要です。
植え付けの際にいわゆる花や野菜の園芸用培養土だけで植えこむと、ものよっては肥料焼けします。
避けるためには養分のない砂などを混ぜて使ってください。


また、土に養分が多いと根焼けするだけではなく、根をかじる虫も発生しやすくなります。
ヒソップはローズマリーなどと比べると根元に虫が寄ってきやすいので注意が必要です。


日が当たるならば室内でも良く育ちます。
ただし、徒長とまではいかないもののやや枝が曲がりくねりやすくなりますので、ガラス一枚の素通しになるようにします。


地植えの場合、普通の庭土なら問題なく育ちます。PHもよほど強い酸性でなければ何とかなります。
乾燥を好むとされますが多少の湿気には耐えられます。
ただし常に湿っていると、豪雨や土砂の流入などの緊急事態が起きたときに根腐れで枯れてしまいます。
根腐れが始まるとローズマリー以上に早く枯死しますので、あらかじめ通気性の良い土に植え付けて予防します。


【耐寒性について】

CHECK! 冬越しのポイント

・冬は地上部が枯れる
・心配なら根覆いを
・株が大きくなれば大丈夫
・生きてるのでたまには水やりを


ヒソップの冬越しはほかの低木系ハーブと比べるとやや変わっています。
ヒソップは成長すると枝が木質化しますが、ラベンダーやタイム、ローズマリーといったほかの低木性ハーブと違い、 木質化した枝が秋口から枯れ始め、厳冬期には地上部が枯れて休眠します。
まるで宿根草のように、根やごく根元に近い部分の小さい芽だけで冬を越すことになります。
なお温暖な気候の場所や暖冬の年は、地上部に葉をつけたまま冬を越すこともあります。


冬越しの準備ですが、秋の終わりころから地上部が徐々に枯れ始めます。
枯れるものなので心配はいりません。
枯れた枝は翌年に邪魔になるので刈り込んで大丈夫です。
ある程度寒さが厳しくなっても地上部に緑の枝や葉が残っている場合は念のため霜よけを施します。
株が地植えで大きく育っている場合はなくても大丈夫でしょう。
鉢植えの場合は日の当たる軒下等に移動するだけで十分です。
なお、地上部がなくなっても生きていますので、気温が暖かめの日にはたまには水やりをしておきます。


寒冷地の場合、地上部はほぼ枯れて休眠します。
極寒期に土も凍るような場所の場合は、株元に根覆いを施します。
腐葉土やバークチップなどで覆い、風で飛ばないようにします。
鉢植えの場合は日当たりのよい軒下に置き、鉢を新聞紙や各種シートなどで覆うと良いでしょう。
春になると芽吹いてきます。


逆に耐暑性ですが、かなり強いです。
イングリッシュ系ラベンダーなどとは違い、真夏に日の当たるベランダに放置しても大丈夫です。
ただし完全に水切れさせると一気に枯れてしまうので、朝夕の涼しい時間に水を与えて防ぎます。
この時、樹脂やプラスチック製の鉢だと根が高温と水分で蒸れてしまいますので、素焼きの植木鉢へ植え替えておくことが望ましいです。


【成長について】

CHECK! 成長のポイント

・成長はかなり早い
・植木鉢は水切れ注意
・地植えにすると大型化する
・冬に枯れるので毎年サイズはリセットされる


成長はかなり早いほうですが、鉢植えの場合はかなりコンパクトなまま止まります。
手軽なサイズで重宝しますが花の数はかなり少なくなります。
成長が完全に止まったら根詰まりですので、一回り大きな植木鉢に植え替えたほうが良いでしょう。
根詰まりしてもローズマリーほどダメージはないので、鉢植えのうちは株を小さく抑えやすいですが、若干株が老化します。
地植えの場合は驚異的なスピードで成長しますが、冬に枯れるので毎年リセットされます。
また、環境が合うと稀に秋に少量の二番花が咲くことがあります。


地植えの場合はかなり大型化するため、植え付ける前にスペースをよく考えます。
高さが1mを超えることは稀ですが、横広がりに枝が張り出すため、左右のスペースはやや広めにとります。
鉢植えから地植えに移行した場合はいきなり大型化するので驚くかと思いますが、毎年冬には枯れるので極端な広さはなくて大丈夫です。
根元の地面に近い枝はやや匍匐気味に横へ広がります。


花の時期ですが、大体ラベンダーと同じくらいです。
イングリッシュ系ラベンダー、次がヒソップ、次がラバンディン系ラベンダーといった感じです。
花を期待できるのは多少株が育ってからで、少なくとも木質化したメインの枝(幹)が生えるようになってからとなります。
2〜3年目からになることが多いようです。


ヒソップの選び方

ヒソップの出回っている品種は少なく、花の色で通常の青紫・ピンク・白があるくらいです。
なお、アニスヒソップというハーブがありますが別の植物となります。


CHECK! 【苗の基本の選び方】

・株元から幾本も太い枝が分かれて出ている
・新しく元気の良い緑の枝が多い
・根元がしっかりしていて揺らいでいない
・葉に色の薄い斑点があるものは避ける(ハダニ)


ヒソップは時間が経った枝は木質化します。
株元が木質化していればある程度成長している証拠なのでまずはOKです。
また、花は新しい枝に咲きますので、青い枝が多いものを選びます。


ヒソップの新しい緑の枝は2種類あり、株元から勢い良く伸びるものと、木質化した枝から規則的に出る脇芽があります。
このうち、木質化した古い枝から出た脇芽は伸びにくい場合がありますので、株元からも新しい枝が出ているものを選んでください。
稀に木質化した太い枝(幹)が一本だけという苗がありますが、この場合は花がつきにくいため、 切り戻して翌年に根元から新しい枝が出るのを待つことになります。


全体的にカサカサしていて葉の色が薄い株は要注意です。
拡大して見ると点のように細かい斑点がある場合はハダニの害の疑いがあります。
ヒソップは害虫は付きにくいのですがハダニだけはやや害が多い傾向があります。
ハダニはなかなか根絶できないのでこのような株は避けます。


葉の先端のみが茶色く枯れているものは水切れや根詰まりを経験した株ですが、植え替えれば元気になるので 見た目が気にならないならさほど気にしなくて良いです。


ヒソップの花の色は青紫・ピンク・白があります。
通常販売されているのは青紫で、地植えにすると見ごたえのある株に育ちます。葉の香りは強めです。
ピンクのヒソップは青紫よりも株がコンパクトに育ちますが、株の体力は意外と頑丈です。
白のヒソップは清楚な感じで美しいですが性質はやや弱めです。葉の香りは良いほうです。


CHECK! 選ぶ際のポイント

根元から元気で若い枝がたくさん出ているものを選ぼう


日常の管理

ヒソップは基本的には頑丈なので、あまり手を掛けなくて大丈夫です。
押さえておくポイントだけ整理しておきましょう。


CHECK! 日常管理のポイント

・水やりは土が乾いてから
・真夏の乾燥にやや注意
・花が咲いたあとにはお手入れを


【水やりのポイント】

鉢植えの場合、土が中まで乾いてからたっぷりと水を与えます。
土が乾くまで時間がかかるので、結果的に水やりの回数は減ります。
葉が茂ってくると意外と水分を消耗するので、夏場は水切れに注意してください。
地植えの場合は植え付け時以外はほとんど水やりの必要がありません。


鉢植えの場合、乾燥を好む割には水切れで枯れることがあるので、完全な水切れはさせないようにします。
しおれてしまった場合、根が無事であれば地上部が枯れても株元から新芽が伸びてきますので、 芯まで完全に枯れた場合以外は涼しいところへ置いて水やりをしていると2週間くらいで新しい芽が出てきて復活できることもあります。
ちなみに、ピンクヒソップはこの水切れからの回復力が高く、ホワイトヒソップは回復しにくく、青紫はやや水切れ耐性が強めとなります。


【肥料のタイミング】

肥料は少量で大丈夫です。
肥料をそのまま与えると肥料焼けすることが考えられますので、 肥料よりは肥料の配合された市販の園芸用土(野菜の土やハーブの土)を株の周囲に足すくらいでよいでしょう。
与えるタイミングとしては、植え替え時や、花が終わって株の体力を消耗した時くらいでよいでしょう。
地植えの場合はほとんど必要ありません。


【剪定・切り戻し】

花を咲かせたい場合ですが、まず花穂は新しい茎の先端につきます。
花数を増やしたい場合は春先に株元から伸びた若い枝の先端を摘心すれば脇芽が出て数が増えます。
時期は4月の中旬くらいでよいでしょう。
地植えの場合はわざわざ摘心しなくても旺盛に繁茂します。


花が盛りを過ぎたら多少花が残っていても花穂を摘み取ってしまいましょう。
何か一つだけ手入れをするとしたらここが肝心となります。
株が大きい場合や花数が多くて面倒な場合は、花穂の下から剪定や切り戻しをします。
花柄を残しておくとアブラムシの発生源となり、株の体力が奪われてしまいます。


地植えの場合は特に旺盛に茂るので剪定したほうがよさそうに見えますが、 冬には地上部が枯れてリセットされるので神経質になる必要はありません。
枝や葉が込み入って蒸れていそうな場合のみ、枝を透かすくらいでよいでしょう。
秋が進むと地上部は枯れ始めるので、見た目が気になるなら枯れた枝を切り落としても大丈夫です。
花は翌年伸びた新しい枝にも咲きます。


【植え替えのタイミング】

鉢植えの場合、成長が完全に止まったら根詰まりですので植え替えを考慮します。
一回り大きな植木鉢にそのまま植え替えれば大丈夫です。
花の数は株の大きさに比例しますので、あまり小さな植木鉢ですと花が楽しめません。
許容範囲内で少しずつ大きな鉢にしていくと良いでしょう。


【害虫について】

害虫に関しては、芋虫・青虫の類は付きにくいです。
そのかわり、ハダニの害はやや多めです。
温度が温かくなり、乾いてくるとハダニが発生しやすくなります。 対策としては、春の終わりから初夏にかけては水やり時に土だけでなく葉にも水を掛けます。


バッタにも好まれますが、木質化した部分まではかじれないので秋口には葉が復活してきます。
稀にカイガラムシが茎につくことがありますが数は少ないので見つけ次第潰せば大丈夫です。
ヒソップ自体につく虫は少ないですが、なぜか虫を引き寄せるようで、株元・根元にいろいろな虫が身を寄せやすいです。
落ち葉等をそのままにしておくと虫の巣になりかねないのでまめに取り除いておきましょう。
また、養分の多い土に植えるとコガネムシの幼虫が発生することがあるため、養分の少ない砂や軽石が多めの土を使いましょう。


なお、春先の若芽は鳥につつかれることがあります。
先端の葉だけが若い茎ごとなくなる、あるいは芽の残骸が周囲に散らばっていた場合は虫ではなく鳥が犯人です。


ヒソップの増やし方

【種まきで育てる】

ヒソップの種は非常に細かくなっています。
発芽率はタイムよりはやや劣りますが、セージよりは発芽しやすいです。
そのため、やや多めにまいておいたほうが安心です。
鉢などに適当にばら撒きし、種が飛ばない程度にごく薄く土をかけておきます。
発芽までは水を切らさないようにしますが、芽が出たら水やりはやや控えます。
本葉が出てそれらしい姿になったら適当に間引き、しばらく待ってから元気な苗をポットや鉢に定植します。


ヒソップの葉はやや細長い形となります。
茎が若いうちは徒長しやすいので、十分に日光に当てます。
このころは鳥につつかれやすいので、心配ならば室内の直射日光の当たる窓辺においても良いです。
ただし、カーテンや網戸越しの光だとやや足りずに徒長するので、できればガラス一枚素通しの場所にしましょう。


【挿し芽(挿し木)で育てる】

ヒソップは水挿しでの挿し芽(挿し木)が成功しやすいハーブです。
木質化に移行し始めた若い茎を水に浸けておけば容易に発根します。
柔らかな緑の茎と、完全に木質化した太く茶色い茎は発根しにくいですので、 緑でも硬くなった茎や、薄いベージュに色が変わり始めた付近の茎が良いでしょう。
水に浸かる部分・茎の下のほうの葉を丁寧にむしり取ってから水に浸けます。
きれいにむしり取っておかないと根ではなく葉が出てきてしまいます。


根が出たら土へ定植します。
植え付けた初日はたっぷりと水をやり、そのあとは土が乾くまで待ちます。
その後は通常の水やりにします。


【苗から育てる】

苗を購入した場合、まずは一回り大きな植木鉢へ植え替えます。
通気性を考えると素焼きの植木鉢が良いでしょう。
植え付ける土は排水性が高めの土にします。


入手時の状態ですが、まだ株元がしっかりと木質化していないような若い苗の場合、花は翌年・翌々年以降になります。
入手して一年目は株が充実することを優先させましょう。
すでに木質化が進んで花が咲いている場合はかなりの確率で株の体力を消耗しているので、花が盛りを過ぎたら思い切って花ごと切り詰めます。
その後に少量の肥料分を含んだ土を根の周辺に追加しておきます。


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