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HOME > 土壌対策  > 粘土質の対処(2)
粘土質の土壌は多くの方の悩みで、主に川砂などを混ぜて対処されることが多いです。
川砂の他には軽石などの顆粒状の資材を混ぜることも重要になります。
実際に何をどれくらい混ぜればよいか、確認していきます。

粘土対策

【土壌対策】 粘土質の土壌を柔らかくする方法

粘土質の庭などの土壌改良には川砂を混ぜる方法が知られていますが、川砂だけでは力不足です。
粘土は硬く締まっているため、柔らかくほぐれるような性質にすることが理想です。
それら改善するには、複数の資材を混ぜる必要が出てきます。

ここでは必要となる資材とその解説、基本的な改良方法を解説していきます。

Contents 目次

【Start】粘土質の土壌を柔らかくする方法
 ・まずは土をほぐす
 ・資材をよく混ぜる

【Step:1】何を混ぜればよいか
 ・まずは川砂
 ・軽石などの顆粒系資材
 ・植物性の繊維質
 ・有機物や微生物

【参考】より効果を上げるために
 ・混ぜる順番には理由がある

【参考】関連情報
 ・粘土の場合
 ・土づくりについて
 ・根腐れ対策と復活方法


【Start】粘土質の土壌を柔らかくする方法

【まずは土をほぐす】

粘土の特徴はその粒子の細かさにあります。
そのため、ぎっしりと固く詰まってしまい、カチカチの塊になります。
せっかく改良資材を投入しても、粘土が塊のままではよく混ざりません。


そのため、まずは掘り起こしてよくほぐす必要があります。
スコップなどで掘ったら塊を小さく砕きます。
完全に乾燥して白くなっていると砕きにくいので、少量の水分を加えてほぐれやすくします。
ある程度ほぐれたら、園芸手袋をはめた手でこすり合わせるようにするとさらに細かくほぐすことができます。


【資材をよく混ぜる】

土が細かくほぐれたら、いよいよ改良資材を投入していきます。
資材はいろいろありますが、粒子の大きさや重量の違いにより、そのままでは分離してしまいます。
資材を加えたらよく全体を混ぜて均一にしましょう。
混ぜる順番を考えて加えていくとより一層効果が上がります。


POINT! 混ぜる順番は…

1.細かく軽い植物性繊維
2.草木灰や燻炭
3.川砂
4.小粒や細粒の顆粒
5.腐葉土や植物資材
6.各種調整資材
7.有機肥料の素


全部混ぜた状態が下記の画像です。
左が粘土を細かくほぐした状態、右が資材を混ぜた状態です。

粘土と改良後

色々な資材の粒が加わっているのが見えるかと思います。
また、土の色も無彩色に近い色から温かみのある茶色へ変化しているのがわかります。
市販の園芸用の培養土に近い見た目になりました。

この状態までくれば、大抵のハーブは問題なく育つようになります。


ひとまず混ぜる順番と材料は上記で大丈夫ですが、それぞれの資材について知りたい場合は続きで解説しますのでご一読ください。
混ぜる順番の理由に関してはページ下部で解説していきます。
《参考》:混ぜる順番には理由がある


【Step:1】何を混ぜればよいか

では何を混ぜるか種類ごとに見ていきます。


【まずは川砂】

粘土対策といえば真っ先に思い浮かぶのが川砂という方も多いでしょう。
川砂は排水性が良い資材の代表格です。
粘土質の土壌改良にはまず欠かせない次第の一つです。


川砂の特徴に、まとまりにくい、崩れやすいという性質があります。
粘土はガチガチに固まってしまうため、川砂が入ることでほろほろと崩れやすくなります。
粘土の改良にはこのほぐれやすいという性質も重要となります。


川砂は粒子が細かく、粘土とはよく混ざりやすい資材です。
ただし、表面の凹凸は少なく養分もないため、粘土対策に川砂だけでは力不足です。
他の資材と合わせることでより一層力を発揮します。


川砂の量は、改良したい粘土の総量に対して最低でも3割は必要となるでしょう。
用途は多いため、少し多めに用意しておくと重宝します。


【軽石などの顆粒系資材】

排水性と通気性を持たせるため、土壌改良に欠かせないのが軽石や山砂などの顆粒系資材です。
粒に穴が開いており、表面にも大小たくさんの凹凸があるのが特徴です。


この穴と凹凸が排水性と通気性の要となりますが、微生物が住み着く場所にもなります。
粘土と川砂だけですと微生物が住み着ける場所がないため、この凹凸のある資材は必須となってきます。


軽石は粒の大きさにより商品が分けられていることが多いですが、基本的には中粒から小粒を使います。
大粒ではただの砕石とあまり変わりありませんし、土となじみが悪くなります。
軽いため、そのままでは土の上の方に浮かんできてしまいますので、全体をよく混ぜることがポイントとなります。


軽石以外の顆粒系資材としては各種の山砂が挙げられます。
山砂は産地によって鹿沼土・桐生砂・日向砂などと呼ばれています。
やや黄色味を帯び、わずかに酸性寄りの土が多めです。
硬い部分と崩れる部分があり、粘土の性質に変化が加わります。


山砂は基本的には排水・通気性資材ですが、軽石よりは保水性もあります。
軽石よりも粘土とうまくなじみやすいのもポイントです。
軽石だけでは土の性質の幅が狭いため、山砂も混ぜて使ったほうが良いです。
粘土の総量に対し、軽石と山砂合わせて3〜4割程度用意しておくと良いでしょう。


【植物性の繊維質】

植物性の繊維質の代表的なものとしては腐葉土とピートモスが挙げられます。
また、PH調整などにも使われる草木灰や燻炭も植物性の繊維質を持っています。


腐葉土は主に広葉樹の葉を発酵させたもので、土に養分と繊維質を加えることができます。
また、微生物の住みかになり、多少の保水性もあります。
見た目にはかさばりますが重量はありませんので、土壌改良の場合は思っているよりも大量に投入することになります。


田畑の跡地の場合は別ですが、基本的に粘土質の場所は土の養分が少ないです。
また、川砂や軽石も養分がないため、 腐葉土で有機質や養分を補充していくことになります。


ピートモスは細かな植物繊維で、強めの酸性の資材となります。
基本的には強力な保水性能を保持するため、排水性の悪い粘土対策には不向きと思われるかもしれませんが、 細かな繊維質がないと粘土と他の材料がなじみにくいため、うまく取り入れたいものです。
土をふわふわにする性質もポイントです。


とにかく軽く細かいため、よく混ぜないとピートモスだけが塊になってしまいがちです。
ピートモスの塊は乾燥すると逆に強力に水をはじくようになってしまいますので、 塊にならないよう気を付けて混ぜましょう。
粘土もピートモスも細かいため、互いによくほぐせば比較的なじんでくれます。


ピートモスは酸性資材のため、草木灰などのアルカリ性資材で中和する必要があります。
流通量は少ないですが中性のココナッツピートなどもありますので、見つけたらそちらを使ってみるのも良いでしょう。
ピートモス系は扱いに癖はありますが、うまく使えれば粘土対策の強力な助っ人になります。


なお、バークチップの細かいものも植物性資材として優秀です。


PH調整剤などとして使われる草木灰や燻炭も植物性の繊維質を持ち、排水・通気性資材としても優秀です。
多孔質のため微生物の住みかにもなり、多少の養分も保持しています。
また、ピートモスを使っている場合は中和剤として必要になってきます。


燻炭は主にもみ殻の燻炭が使われます。
もみ殻そのものは強力な酸性で土にもなじみにくく、土壌改良には適しませんので必ず燻炭になったものを使ってください。
燻炭としてはもみ殻の他、最近はそば殻の燻炭も出回っています。


量としては、粘土の総量に対しピートモスや腐葉土を2割、燻炭を1.5割、草木灰を0.5割程度用意しておきます。
ピートモスが多い場合や全体的に酸性用土の場合は草木灰の量を増やします。


【有機物や微生物】

粘土質の土壌は、田畑の跡地でもない限り、基本的には有機物や微生物の少ない性質となります。
植物が育つには有機物や微生物が必要となります。
粘土の土壌改良に使われる川砂や軽石なども有機物や微生物がいないため、忘れずに加えるようにしましょう。


土を自然な団粒構造にしてくれるのは微生物で、微生物の食べ物として有機物が必要になります。
これらは腐葉土にも含まれていますが量が少ないため、有機肥料の素を1割程度くわえると良いです。
粘土対策の有機肥料は動物性のものよりも、植物性の資材を発酵させて微生物を加えたタイプが適しています。


微生物の食べ物として腐葉土を加えることで相乗効果が見込めます。
粘土対策は砂や軽石ばかりに目が行きがちで、有機物や微生物の存在は忘れられがちですが、しっかりとした土に育てるためにも必要です。


【参考】より効果を上げるために

【混ぜる順番には理由がある】

土壌改良の資材は混ぜる順番を考えるとより効果が高まります。

POINT! 混ぜる順番は…

1.細かく軽い植物性繊維
2.草木灰や燻炭
3.川砂
4.小粒や細粒の顆粒
5.腐葉土や植物資材
6.各種調整資材
7.有機肥料の素


では順番に見ていきましょう。


【1】細かく軽い植物性繊維
これはピートモスやココナッツピートになります。
粘土の粒子はとても細かいため、まずは細かな繊維になじませます。
粘土にいきなり軽石を投入するとせっかくの細かな凹凸を粘土の粒子が塞いでしまいます。


【2】草木灰や燻炭
続いて草木灰や燻炭を混ぜます。
苦土石灰も使われますが、一部の植物は石灰分を嫌うものもあるため、植物系の灰が無難です。
草木灰は粉のような性質なので、舞い散るのが気になる場合は少量の水を振りかけると良いです。

これらはピートモスの酸性度を中和する目的があります。


【3】川砂
川砂も比較的粒子が細かく粘土とも混ざりやすいほうですが、重量差があるのかよく混ぜないと層状に分かれることがあります。
そのため、ピートモスと粘土をなじませた後で投入したほうが混ざりがよくなります。
粘土とピートモスだけでは恐ろしい保水能力になるため、排水性資材として川砂はより重要になってきます。
これらを混ぜると全体がサクサク、フカフカした感じになり、粘土単体と比べると崩しやすい土になってきます。


【4】小粒や細粒の顆粒
ここでようやく軽石や山砂といった顆粒構造の資材を加えます。
上でも書きましたが、粘土にいきなり軽石を投入するとせっかくの細かな凹凸を粘土の粒子が塞いでしまいます。
粘土をピートモスや川砂となじませた後に投入したほうが良いです。


【5】腐葉土や植物資材
1のピートモスとはまた違った植物資材になります。
腐葉土は不足している養分や微生物を補う目的で混ぜます。
腐葉土の他、最近では細かなバークチップや発酵させたそば殻なども出回っています。


【6】各種調整資材
2の時点である程度のPH調整はされていますが、山砂の系統(鹿沼土など)や赤玉土を使っている場合、 やはり酸性に傾きがちですので追加でアルカリ性資材を入れて調整します。
石灰分を嫌わなければリンの補給にもなるカキ殻灰なども良いでしょう。

根腐れが怖い場合は根腐れ防止剤としてゼオライトという細かな顆粒状の資材を混ぜます。


【7】有機肥料の素
土の性質が整ったら、最後に微生物の供給源として有機肥料の素を加えます。
動物性の有機肥料は強すぎるため、粘土質の改良の場合は植物性の資材を発酵させて微生物を加えたタイプが適しています。

有機肥料の微生物を繁殖させるために多少の水分が必要となりますが、ぐしょぐしょにする必要はありません。
全体がしっとりするくらいで良いでしょう。
微生物の活動にはある程度の温度が必要になりますが、日数が経つと自然と微生物が増え、土を自ら改良してくれるようになります。


CHECK! 粘土用の土壌改良のポイント

粒子の細かい順に投入。
微生物の投入は土の性質が整ってから。