色が濃いだけでなく、花のサイズも大きく、咲くと非常に見栄えがするローズマリーです。
青い花が好きな人にはぜひおすすめしたいローズマリーの一つです。
ローズマリー・コリンガムイングラム(コーリンハムイングラム)の基本情報

ローズマリー Rosemary Collingham Ingram(シソ科)
多年生・小低木(常緑樹)
【耐寒性】-8〜-12度(※防寒時)
【サイズ】最大60p
※鉢植えは鉢の大きさに比例
【樹形】半匍匐性
【主な用途】
観賞
【花色】
濃い青
コリンガムイングラム(コーリンハムイングラム)とは?
【コリンガムイングラムの特徴】
コリンガムイングラムはローズマリーの中でも特に濃い青色の花を咲かせる人気の種類です。
濃い青花系というとモーツァルトブルーが挙げられることが多いですが、コリンガムイングラムも遜色がないどころか、
より濃く、鮮やかで大きな花を咲かせる美しいローズマリーです。
立性から半匍匐性とされ、成長はゆっくり目ですが緩やかに枝をうねらせながら伸びていきます。
かなりはっきりとした青い色の花を咲かせるので、庭でも美しいアクセントとなってくれます。
成長はローズマリーにしてはゆっくりな方で、鉢植えにも適しています。
【参考】ハーブの苗/ローズマリー(立性):コーリンハムイングラム3号ポット
コリンガムイングラムとコリンウッドイングラム(ウッドパープル)は、似たような名前ですが全く別の品種です。
両方ともかなり濃い青系の花を咲かせる品種ですが、葉の厚みと幅が異なります。
コリンガムのほうが花数は少なめですが花自体は大きく、不透明ではっきりとした青です。
ウッドのほうが花数は多く、花の色も透明感があり、葉は細めとなります。
耐寒性はウッドのほうが高いですが、コリンガムもそこそこ耐え、寒い時期には赤い葉が混じります。
樹形は似たような樹形になりますが、ウッドのほうが枝が細く、コリンガムのほうが幾分ガッシリした印象になります。
【補足】
コリンガムイングラム(コーリンハムイングラム)は日本で流通しているローズマリーではポピュラーですが、
海外では見つからないようで、日本独自の品種ではとの見方もあります。
当サイトでは独立した一品種と仮定して解説を続けます。
よく似た品種はページ下部で考察しておりますのでそちらをご覧ください。
コリンガムイングラムについて詳しく!
【Chapter:1】コリンガムイングラムってどんな植物?
・コリンガムイングラムの花
・コリンガムイングラムの樹形
・コリンガムイングラムの香り
・コリンガムイングラムの葉
【Chapter:2】コリンガムイングラムの性質は?
・コリンガムイングラムの生育環境
・コリンガムイングラムの耐寒性
【Chapter:3】コリンガムイングラムの育て方は?
・コリンガムイングラムの育て方
・コリンガムイングラムの花が咲かない時は
【参照】 コリンガムイングラムが欲しいときは? ほかの種類との見分け方は?
【参照】 コリンガムイングラムの名前と品種について
【Chapter:1】コリンガムイングラムってどんな植物?
【コリンガムイングラムの花】
コリンガムイングラムはローズマリーの中でも1・2を争うほどの濃い青の花を咲かせます。
木が若いうちは花数が少ないですが、花のサイズが大きく、咲くと非常に見栄えがします。
花が咲いて時間が経つと透明感がなくなり更に濃い青に変化します。
※ローズマリーの花の色に関して詳しく知りたい場合は比較表をご覧ください。
《 関連記事 》 お役立ち情報 > ローズマリーの花の色比較表
【コリンガムイングラムの樹形】
コリンガムイングラムは立性〜半匍匐性とされ、枝はややうねりながら伸びていきます。
頑丈ですが樹勢はあまり強くなく、低い位置でランダムに茂る形になります。
【コリンガムイングラムの香り】
葉の香りはいわゆるローズマリーの香りですが、少しぼやけていて青みの強い香りになります。
【コリンガムイングラムの葉】
他のローズマリーよりも厚みがあり、色も鮮やかなダークグリーンです。
冬の寒さに当たると赤い葉が混じります。
水切れなどで葉が落ちやすく、油断するとスカスカになりやすい印象です。
【Chapter:2】コリンガムイングラムの性質は?
・日あたりを好む
・通気性のよい土を好む
・暑さにも寒さにもそこそこ強い
【コリンガムイングラムの生育環境は?】
ローズマリーですので、平均的に頑丈で、環境にはよく適応します。
枝がすこしうねりますので、庭へ地植えにする場合はスペースはある程度広めにとったほうが良いでしょう。
コリンガムイングラムはほかのローズマリーと同様に日あたりを好み、通気性が良くて濡れてもすぐ乾く土を好みます。
PHは少しアルカリ性よりの土が良いとされますが、通常の庭土程度でも育ちます。
心配なら草木灰や燻炭などを混ぜて中和しておくとよいです。
基本的には排水性の良い土ならばまず問題ありません。
【コリンガムイングラムの耐寒性】
耐寒性はローズマリーの中では普通で、何もしなくても−5度以上は耐えられます。
寒い気温に長時間晒されると鮮やかな赤い葉が混じるようになりますが心配はいりません。
雪に関しては、降雪そのものには耐えられますが、落雪にあたると折れやすいです。
他の立ち木、屋根の上などから雪の塊が落ちてくると枝が折れることがありますので注意してください。
元々うねりがちで、雪の重みで枝がだらしなく広がってしまいますので、雪が積もった後は枝の雪を払い落し、
枝を軽く振ると枝が上向きに戻ります。
冬を屋外で過ごす場合、体力を温存するのか葉の数が増えにくくなります。
冬の寒さと冷たく乾いた空気で水切れを起こしても葉が落ちやすくなります。
夏の高温乾燥の水切れでも葉が落ちるので、気をつけないとスカスカの株姿になりますが、葉がスカスカでも枯れる心配はしなくて良いでしょう。
一方、耐暑性もそこそこ強く、頑丈です。
ただし、暑さと日差しには耐えられますが水切れで葉が落ちやすい種類ですので、注意が必要です。
【Chapter:3】コリンガムイングラムの育て方
【コリンガムイングラムの育て方】
【1.植え替える】
ポット苗を入手した場合、まずは植木鉢に植え替えます。
土の通気性と排水性が肝心なため、鉢底には小粒の軽石などを敷き、
植え付ける土は園芸用土に川砂や小粒の軽石などを混ぜたものを使用します。
園芸用土単品では、保水性が良すぎるため、砂を混ぜます。
また、肥料分が多いと見た目はきれいでも弱い苗になりますので、園芸用土を養分の少ない砂などで緩和する目的もあります。
植木鉢に植え替え、ある程度成長して落ち着いたら地植えに移行しても良いでしょう。
枝が多少うねるため、地植えの場合は十分なスペースを確保します。
土は排水性を確保し、養分は少なく、よく日の当たる場所に植え付けます。
【2.水やりの間隔を掴む】
植え替え直後は一度だけたっぷりと水を与えます。
最初の1回は、土が水を吸い込み、植木鉢がずっしり重くなるまで与えます。
二度目以降は、土が内部まで乾き始め、植木鉢の重量感が減ってきてから与えるようにします。
強い水切れを起こしてしまうと葉が落ちやすい種類ですので、乾燥する真夏と真冬は注意して様子を見ましょう。
地植えの場合は植え付け直後の一度だけで、あとはよほどの乾燥期でない限り水やりはしなくて大丈夫です。
【3.日あたりを確保する】
ローズマリーは陽当たりを好みます。
日当たりが悪いと日光を求めて枝が迷走して伸び、曲がりくねることがあります。
コリンガムイングラムはもともと枝が緩くうねるため、日光が足りないと徒長しやすいうえ、
徒長しても枝ぶりでは気付きにくいため注意が必要です。
【4.剪定する】
コリンガムイングラムはローズマリーの中では若いうちの成長が緩やかなため、剪定よりは摘心で様子を見ます。
放っておくとまっすぐ上に1本伸びるだけになりますので、枝の先端を摘心して脇芽の成長を待ちます。
摘心を繰り返して脇芽が増えたら枝に育つのを待ち、伸びる兆候が出たら剪定して枝を増やしていきます。
【5.植え替える】※鉢植えの場合
鉢植えである程度育つと成長が止まります。
成長が止まると花が咲くようになりますが、数シーズンで根詰まりを起こします。
葉が黄色くなって落ちるようになったら根詰まりが進行している可能性があるため、大きな植木鉢に植え替え(鉢増し)ます。
【※コリンガムイングラムの花が咲かない場合】
全体的にローズマリーは成長期には花をつけにくくなります。
また、コリンガムイングラムは若いうちは花数が少なく、
咲いても枝先に一輪二輪、あるいは一房だけというシーズンがしばらく続きます。
気長に待ちましょう。
花はその年によく伸びた枝があれば、翌年にその先端や脇芽周辺に花芽をつけます(つまり二年目以降)。
剪定で常に枝を切っていると、花芽のつく枝も切り落とされてしまい、花数が減ります。
花を楽しみたい場合は、全体の枝を切り落とすのではなく、透かすように枝を残しながら切りましょう。
【総合】
ローズマリーは全体的に頑丈で手がかからない植物ですが、コリンガムイングラムは葉が落ちやすいので少し気難しい部類に入ります。
葉が少なくなっても枯れることはありませんので心配はいりません。
強い水切れを起こさないように気をつければ落葉は少なくなります。
とにかく花が大きく色もハッとする青で濃いため、とても見栄えがして美しいローズマリーです。
【参照】コリンガムイングラムが欲しいときは? 見分け方は?
【入手方法】
ローズマリーはたくさんの品種が存在しますが意外とタネの種類は多くありません。
そのため、コリンガムイングラムが欲しい場合は苗を購入することで確実に入手できます。
【参考】ハーブの苗/ローズマリー(立性):コーリンハムイングラム3号ポット
【ハーブの専門店で購入する】
一番確実な方法です。
ローズマリーは品種も多く、ほとんどの姿が似ているため、専門店でないと品種が判別しがたいようです。
コリンガムイングラムなどの品種を特定して買いたい場合は専門店で買ったほうが良いです。
栽培している農場で購入するのが一番確実ですが、広い農園を確保する必要上どうしても遠隔の地方のショップが多いため、
ネットで購入するのが楽です。
ローズマリー立性【コーリンハムイングラム】苗
ローズマリー一覧(1)
ローズマリー一覧(2)
【園芸店やホームセンターの園芸コーナーで購入する】
コリンガムイングラム(コーリンハムイングラム)は日本ではポピュラーな品種ですが海外では見かけないようです。
由来もはっきりせず、謎めいた品種とも言えそうですので、唯一の手掛かりはこの名前のみとなります。
よく似た名前のコリンウッドイングラムと間違えないよう、名前はよく読んで買いましょう。
コリンガムイングラムが欲しい場合は以下の見分け方も参考にしてよく確かめてください。
【コリンガムイングラムの見分け方】
ハーブの専門店ではない園芸店や種苗店、あるいはホームセンターの園芸コーナーでコリンガムイングラムを探す場合、
その特徴で探し当ててみましょう。
圧倒的な花の色の濃さと大きさ、花以外の時期では、やや厚みがあってぽってりした色が濃くて暗いダークグリーンの葉が特徴です。
他に手掛かりが欲しいという時は以下のような部分を観察してみてください。
【特徴1】葉の形で見分ける
コリンガムイングラムの葉はほかのローズマリーよりも厚みがあり、ぽってりしています。
少しツヤがあり、反り返りも少なめです。
寒い時期には赤い葉が混じることがあります。
葉がそっくりな品種は国内流通タイプのセバンシーとスプレ&アップライトなります。
【特徴2】樹形で見分ける
立性〜半匍匐性品種のため、枝は少しうねり気味に伸びていきます。
濃い青花系品種は半匍匐性が多いため、樹形での判別が必要となります。
半匍匐性品種の中では枝ぶりはがっしりした印象ですが、モーツァルトブルーほどではありません。
葉がそっくりなスプレ&アップライトは苗のような小さい時は素直に上を向くので、コリンガムイングラムのほうがうねりが見られます。
【特徴3】香りで見分ける
葉を痛めない程度にそっと触れて香りをかいでください。
いわゆるローズマリーの香りですが少しぼやけ気味で青みのある香りになります。
【特徴4】花で見分ける
売られている苗の状態で花が咲いていることは稀ですが、コリンガムイングラムの花は圧倒的に濃い青なので見分けはつきやすい方です。
また、咲いてから時間が経つと不透明感が増し、色もさらに濃くなってきます。
他の濃い青系品種の花と比較しても透明感はなく、パッとわかりやすい濃い青となります。
さらに花の一つ一つのサイズが大きいのも特徴です。
コリンガムイングラムは日本のローズマリーの中では比較的ポピュラーな種類となり、そこそこ頑丈でお勧めの品種です。
他のおすすめの種類が知りたい場合は一覧ページを用意してありますのでご参照ください。
【関連記事】:目的別おすすめの品種・種類
【参照】コリンガムイングラム(コーリンハムイングラム)について
【日本国内だけの品種かも?】
コリンガムイングラム(コーリンハムイングラム)の綴りは【 Collingham Ingram 】です。
しかし、検索すると国内で流通しているものしか見当たらないようです。
よく似た名前のウッドパープルことコリンウッドイングラムは【 Collingwood Ingram 】で、こちらは人名が由来となります。
ウッドはベネンデンブルーと混同される品種でコルシカ系の品種になります。
当サイトでは主にコリンガムイングラムと表記しております。
※主にイギリスの地名で【〜(グ)ハム】ではなく【〜ガム】とカナを振ることが多いため(例:バッキンガム)
もしや地名ではと思い検索したところ、イギリスに【 Collingham 】という地名が幾つかあるようです。
ミスジェサップ、シシングハースト、ベネンデンブルーの現行種などとは全く似ていない姿ですが、
もしかすると英国系なのでしょうか。
コリンガムイングラムですが、姿だけ見ると国内流通している謎のセバンシーに瓜二つです。
花が大きいこと、圧倒的に濃い青であること、半匍匐性、寒くなると赤い葉が混じる、葉が落ちやすいなど、非常に似通っています。
隣に並べると見分けがつきにくいです。
花以外はスプレ&アップライトにも似ていますが、全体は謎セバンシーにそっくりです。
【コリンガムイングラム】
日本でのみ流通しているらしい品種。
【謎セバンシー】
日本でのみ流通しているらしい品種。
【セバンシー】
海外では主流で、日本でも流通している品種。
ちなみになぜセバンシーが【謎セバンシー】かというと、国内には少なくとも2種類のセバンシーが存在しています。
片方は海外サイトでも見かける明るい青紫のセバンシーで、これは海外で主流、国内でも手に入るセバンシーです。
もう片方が国内で主流らしい濃い青花のセバンシーなのですが、画像検索してもこのセバンシーはほぼ国内のサイトでしか出てきません。
国内で作出されて本家セバンシーにあやかって名付けられたのではと思っていたのですが、もしかするとコリンガムイングラムかもしれません。