寒冷地の庭をハーブガーデンに・・・まんねんろうの咲く庭で

menu

HOME > ハーブ図鑑  > ローズマリー  > アープ
ローズマリー・アープは、最も寒さに強いローズマリーとして知られる種類です。
寒冷地でローズマリーを育てたい場合には選択肢に上がることでしょう。
頑丈で手がかからず、暑さにもそこそこ耐えるため、育てやすい品種になります。

ローズマリー・アープの基本情報

ローズマリー・アープとは

アープ Rosemary Arp(シソ科)

多年生・小低木(常緑樹)
【耐寒性】-15〜-20度
(※育て方による)
【サイズ】最大160p
※鉢植えは鉢の大きさに比例
【樹形】立性

【主な用途】 料理・観賞・衛生
【花色】 かなり淡い薄紫

ローズマリーの育て方はこちら

アープとは?

【アープの特徴】

POINT  アープの特徴

・ローズマリーの代表的な品種
・最も耐寒性が高い
・やや柑橘系寄りの香り
・色が淡く柔らかい印象


アープはローズマリーの中でも特に耐寒性が高いことで知られる種類です。
立性で全体的に頑丈さもあり、育てやすい品種といえます。
寒冷地で庭にローズマリーを植える場合には筆頭にあげられる種類です。
花の色はかなり淡い色ですが、葉の色も他の品種より薄くなります。
そのためか、穏やかな外見のローズマリーです。

【参考】ハーブの苗/ローズマリー(立性):アープ3号ポット


アープは強耐寒性として知られますが、海外の記録で−23度まで耐えているようです。
ただし、いくらアープでも購入してすぐに屋外に放置しては枯れてしまいます。
アープが枯れたという場合は育て方を見直す必要がありますので、詳しくはこのページにて後述します。
逆に耐暑性もそこそこあり、穏やかな見た目に反して頑丈なローズマリーです。


料理用としても優秀で、ローズマリーの中では穏やかな香りのため、トスカナブルーやマリンブルーでは香りが強いと感じる方はアープが良いでしょう。
他の品種より爽やかで、クセのないさっぱりした香りとなります。


アープについて詳しく!


Contents 目次

【Chapter:1】アープってどんな植物?
 ・アープの特徴
 ・アープの花
 ・アープの樹形
 ・アープの香り
 ・アープの葉

【Chapter:2】アープの性質は?
 ・アープの生育環境
 ・アープの耐寒性
 ・アープの育て方

【参照】 アープが欲しいときは? ほかの種類との見分け方は?


【Chapter:1】アープってどんな植物?

【アープの花】

アープはローズマリーとしてはオーソドックスな薄紫ですが、さらに色が淡く薄くなります。
花数は多い方ではありませんが、全く咲かないということもなく、ポツポツと咲かせてくれることが多いです。

※ローズマリーの花の色に関して詳しく知りたい場合は比較表をご覧ください。
《 関連記事 》 お役立ち情報 > ローズマリーの花の色比較表


【アープの樹形】

アープは立性の代表的品種で枝先は上へ伸びる性質を持っていますが、多少は低い位置の脇枝が横に広がることもあります。
そのため、横幅もある程度あり、ボリュームのある茂みのようになります。
料理用目的で収穫を増やしたい場合は低い枝も残して茂み状に育てると良いでしょう。
生垣などで上に伸ばしたい場合は低い位置の枝は整理します。
マリンブルーほどのボリュームは出ませんが、苗が若いうちに摘心することで脇芽を増やし、 トスカナブルーやマジョルカピンクよりは横幅を出すことができます。


【アープの香り】

葉の香りはやや弱めですが、料理向きの香りとなります。
一般的な料理用のローズマリーよりはスパイシーさは控えめで、その代わり、柑橘系よりといえるような爽やかさが加わります。
ややマイルドな香りのローズマリーが欲しいときには良いでしょう。


【アープの葉】

アープの葉はローズマリーの中でも中間からやや大きめくらいです。
色は柔らかなグリーンで、他の品種と比較すると淡い印象を受けます。
特に寒さや乾燥など厳しい環境で育つと葉の色がシルバーみを帯びた薄い色になりがちです。

【Chapter:2】アープの性質は?


POINT  アープの性質

・日あたりを好む
・通気性のよい土を好む
・暑さにも寒さにも強い
・頑丈だが突然の枯死には注意


【アープの生育環境は?】

頑丈な種類のため、環境にはよく適応します。
庭へ地植えにすると旺盛に茂りますので、スペースはかなり広めにとったほうが良いでしょう。
素直な立性ですがそこそこ横幅も出ます。

アープはほかのローズマリーと同様に日あたりを好み、通気性が良くて濡れてもすぐ乾く土を好みます。
寒冷地は土壌が酸性寄りで湿り気が多い場所や粘土質の場所が多いため、 アープをはじめとするローズマリーを植える場合は事前の土壌対策が必要となります。
砂と顆粒状の資材、繊維質を良く混ぜ込み、土の通気性と排水性を高めておきましょう。
PH調整は速効性のある植物灰や燻炭のほか、長期緩効性として貝殻灰を含めても良いでしょう。

寝雪などで常時水分が供給されてしまう環境の場合は、排水用の溝を掘って水分を遠ざけるなどの配慮が必要です。


【アープの耐寒性】

耐寒性はローズマリーの中で最も高いと言われます(厳密には国内で流通している中で)。
入手して最初の年でも無対策で−5度以上、寒さに慣れればごく軽い防寒対策だけでも−15度以上の寒さに耐えられます。
海外では−23度まで耐えた記録がありますが−25度では枯死したようです。
ただし−20度近くの温度に耐えるには、ある程度寒さに慣らしながら育てる必要があるため後述します。
なお、寒さや降雪そのものには耐えられますが、屋根の上などから雪の塊が落ちてくると枝が折れることがありますので注意してください。


寒冷地で冬を屋外で過ごす場合、水やりの問題が出てくるため植木鉢では難しく、地植え一択と思って良いでしょう。
アープを選択するということは少なくとも−15度以上の寒さになる地域かと思います。
厳冬期の冷え込みが−15度〜−10度前後までであれば、マリンブルーやミスジェサップも選択肢に入ってきます。


なお寒冷地での育て方や冬越し、耐寒性のあげ方に関してはこのページ以外にも詳細ページがありますのでご参照ください。
《 関連記事 》 寒冷地での育て方 > 目安となる気温


一方、耐暑性も強く、夏場の管理は特に心配はいりません。
ただし、寒冷地での冬越しで体力を使い、春に大量の花を咲かせるなどして体力が低下していると、 夏に猛暑が続くと消耗して秋口にいきなり枯れることがあります。
体力が落ちていそうな場合は花を減らし、冬も防寒して体力温存に努めます。


【アープの育て方】

※アープを選択するという時点で、−15度以上の耐寒性に期待しての入手かと思いますのでその前提で解説いたします。


苗の入手は主に春か秋になるかと思いますが、苗はたいていの場合、温度管理された暖かなハウス内で育てられていることが多いため、 最初の冬には耐寒性を満足に発揮できません。
最初の年は無理せず、涼しい環境に慣らす程度の方が良いでしょう。


寒冷地の場合は、最初の一年は鉢植えで管理した方が安全です。
地植えにしたい場合は二年か三年ほど慣らした後の方が良いでしょう。


最初の年は、苗を入手したらすぐに少し大きめの植木鉢に植え替えます。
鉢は素焼き鉢の一種で【駄温鉢】【朱温鉢】と呼ばれるものが寒さにも強いため、これらに植え替えます。
保温性と適度な通気性があるため適しています。
寒冷地の寒さでは素焼き鉢・テラコッタですと割れる可能性があります。
樹脂鉢では寒さがダイレクトに根に伝わってしまいますので適しません。


植え替えたらそのまま育てます。 肥料と水分は少なめに管理します。
以下は、最初の年の対策になります。


秋になり、気温が一桁になり始めたら、植木鉢を寒風と霜の避けられる壁際の軒下などへ移動します。
その年の最初の寒風や霜に当ててしまうと枯れてしまうので、この時期には注意が必要です。
最初の寒風と霜を乗り越えたら、その場で気温の低下に慣らします。
日照さえ確保できれば−5度前後まではそのままで大丈夫です。


−5度を突破する頃合いになったら、植木鉢を新聞紙などでくるむか、鉢カバーなどに入れます。
植木鉢には支柱を立て、薄い不織布か白い寒冷紗を巻いて霜と寒風から守ります。
十分な日照を確保し、日中の温度がある程度上がるのであれば、夜間の温度が−10度前後まではこの状態で大丈夫なので慣らしていきます。


突発的な寒気が入るような天気予報が出たときは、涼しい玄関や、窓などから日当たりの確保できる納屋や車庫などに移動させます。
移動させた場所が暖かいと耐寒性が消えてしまうため、暖房などは避けましょう。


最初の年は鉢植えのため、最低気温が−10〜−12度くらいで慣らします。
これより冷え込む日が続く場合は、鉢を屋外から移動し、涼しい玄関や日当たりの確保できる納屋や車庫などで管理します。
気温が緩んだ日は屋外に戻します。
これを春まで続けます。


引き続き、二年目の管理について解説します。


翌年は、鉢植えのまま続行する場合は一回り大きな植木鉢に植え替えます。
地植えに移行する場合は、春のうちに地植えしましょう。
場所は冬場でも日照が確保でき、強い寒風が当たらない場所が好ましいです。
地面の排水性を良くしてから植え付けます。
寝雪や時雨れなどで常時水分が供給される環境が予想される場合は特に通気・排水対策が重要になります。


しっかり根を張って頑丈に育つと木に体力がつきます。
暖かい時期に旺盛に成長したら、秋に枝の先端を軽く剪定して整えておきます。
異常に細い枝なども取り除いておきましょう。
秋の新芽は寒さや霜で焼ける可能性があるため切ってしまって構いませんが、翌春の花は少なくなります。


二度目の秋になったら、鉢植えの場合は前年と同じ管理で大丈夫です。
地植えに移行した場合は、秋の最初の寒風と霜の前に支柱を立て、薄手の不織布や白の寒冷紗を軽く巻いて予防します。
そのまま寒さに慣らすところまでは前年と同じです。
慣れれば気温がマイナスの一桁程度であれば、防寒具を取り払っても大丈夫です。
できる限り、安全圏内で寒さに慣らせた方が良いでしょう。
地植えで厳冬期を迎える場合や突発的な寒気が入る場合、強い風がなければ布を二重にするなどして対処します。


二年目は最初の年よりも2〜5度分は冷え込んでも大丈夫です。
強い霜で新しく柔らかい葉や新芽、枝先付近が焼けて枯れることがありますが、古い葉が元気であれば大丈夫です。


暖かいうちに十分に育ち、秋口から徐々に寒さに慣れてきていれば、初霜を除き、−12度くらいまでは無対策で来られるはずです。
2年目は可能ならば−12〜−15度前後で慣らしたいところです。
天気予報よりも気温が下がることがあるため、心配であるなら−10度を超えたあたりから軽い防寒対策を復活させるのもありです。
前年度よりは耐寒性が上がっているため、前年よりも寒い温度で慣らします。


気候や土壌環境、生育具合にもよりますが、三年目あたりから地植え・最低気温−15度を無対策で乗り切れるようになります。
水やり(水切れ)の問題があるため、できる限り地植えのほうが良いでしょう。
−15度前後に慣れれば防寒対策をした上での−20度が視野に入ってきますが、横殴りの地吹雪が続くような場所は難しいと思われます。


アープを寒さに慣らす手順としては以上になります。


→ 参考:ローズマリーの育て方

【参照】アープが欲しいときは? 見分け方は?

【入手方法】

【ハーブの専門店で購入する】
敢えてアープを選択するという時点で耐寒性に期待してのことと思いますので、専門店で確実にアープと言えるものを購入したほうが良いです。
耐寒性が強いものとしては、アープ、次点でマリンブルー、ミスジェサップあたりが候補になります。

【参考】ハーブの苗/ローズマリー(立性):アープ3号ポット


ローズマリー一覧(1)
ローズマリー一覧(2)


【園芸店やホームセンターの園芸コーナーで購入する】
アープは比較的メジャーな品種であるため、特に品種名が書かれずに売られている場合が多いです。
立ち性ではアープ、マリンブルー、在来種、レックス、ゴリジア辺りがひっくるめてローズマリーとして売られているのが実情です。


なおローズマリーでは最も耐寒性が強いという触れ込みで販売されていることが多いですが、ちょっと見た目では他の品種と区別がつきません。
アープが欲しい場合は以下の見分け方も参考にしてよく確かめてください。


【アープの見分け方】

ハーブの専門店ではない園芸店や種苗店、あるいはホームセンターの園芸コーナーでアープを探す場合、 その特徴で探し当ててみましょう。
全体的になんとなく色が淡いような気がする……という場合はアープの可能性があります。
ただし、色が悪い、黄色がかっているという場合は単に弱っているだけなので避けてください。

それでも何か手掛かりが欲しいという時は以下のような部分を観察してみてください。


【特徴1】葉の形で見分ける
アープの葉は大きさや厚み、形は標準的です。
葉が大きく幅が広いものはトスカナブルーかレックスです。
アープの葉は緑色ですが、どことなく柔らかい印象の緑で、若い葉の特徴的な白粉が多めです。
冬場や乾燥期は葉の色はさらに薄くなり、銀色味を帯びた薄い緑に傾きます。


【特徴2】樹形で見分ける
立性の代表品種のため、アープの幹や枝は上へ伸びたがります。
ただし比較的脇枝は出やすく、トスカナブルーやマジョルカピンクよりは横幅があります。
逆にマリンブルーよりはボリュームは控えめとなります。


【特徴3】香りで見分ける
葉を痛めない程度にそっと触れて香りをかいでください。
ローズマリーらしい香りはしますがやや控えめです。
スパイシーさが少ない分、なんとなく柑橘系のような爽やかさが加わります。
マジョルカピンクのような油臭さやパインのようなクセはありません。


【特徴4】花で見分ける
売られている苗の状態で花が咲いていることは稀ですが、アープの花はかなり淡く薄い色です。
光の当たり具合によっては白に近く見えることもあります。


アープはローズマリーの中では基本の種類となり、特に耐寒性に秀でるため寒冷地においてはお勧めの品種です。
他のおすすめの種類が知りたい場合は一覧ページを用意してありますのでご参照ください。
【関連記事】:目的別おすすめの品種・種類



 【広告】アープの販売サイト

ローズマリー一覧(1)
ローズマリー一覧(2)