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ローズマリー・トスカナブルーは、とても良い香りがするため料理用に人気の種類です。
立性でオーソドックスな色の花で、いかにもローズマリーらしい姿になります。
大型で葉も大きく、常緑樹としても見栄えのする品種になります。

ローズマリー・トスカナブルーの基本情報

ローズマリー・トスカナブルーとは

ローズマリー Rosemary Tuscan Blue(シソ科)

多年生・小低木(常緑樹)
【耐寒性】-5〜-10度(※防寒時)
【サイズ】最大180p
※鉢植えは鉢の大きさに比例
【樹形】立性

【主な用途】 料理
【花色】 中間の濃さの薄紫

ローズマリーの育て方はこちら

トスカナブルー(トスカーナブルー)とは?

【トスカナブルーの特徴】

POINT  トスカナブルーの特徴

・ローズマリーの代表的な品種
・大型でまとまった立性の姿になる
・料理向きの香り
・耐寒性は弱くない
・葉はやや大きめで幅広


トスカナブルーはローズマリーの中でも特に料理用として人気の種類です。
立性の大型で成長が早く、剪定からの回復も早いのでたくさん収穫できます。
ローズマリーの中で最も香りのよい品種で、他の品種よりも甘みと華やかさを感じる香りです。
花の色はオーソドックスで、ローズマリーらしいローズマリーと言えます。

【参考】ハーブの苗/ローズマリー(立性):トスカナブルー3号ポット


トスカナブルーとマリンブルーの違いはいくつかあります。
トスカナブルーのほうが葉が幅広で、香りには甘みがあります。
同じ立性ですが、マリンブルーのほうが横広がりになりやすく、トスカナブルーのほうがすっきりとした立ち姿になります。
花の色の濃さは同じ程度ですが、マリンブルーの方が若干青み寄りで、トスカナブルーは花の下唇の縁のギザギザがありません。
料理の使い方としては、香りづけにはトスカナブルー、臭み消しにはマリンブルーが良いでしょう。
一番大きい違いは耐寒性で、寒冷地の屋外で地植えの予定の場合はマリンブルーのほうが良いでしょう。


トスカナブルーについて詳しく!


Contents 目次

【Chapter:1】トスカナブルーってどんな植物?
 ・トスカナブルーの特徴
 ・トスカナブルーの花
 ・トスカナブルーの樹形
 ・トスカナブルーの香り
 ・トスカナブルーの葉

【Chapter:2】トスカナブルーの性質は?
 ・トスカナブルーの生育環境
 ・トスカナブルーの耐寒性

【Chapter:3】トスカナブルーの育て方は?
 ・トスカナブルーの育て方

【参照】 トスカナブルーが欲しいときは? ほかの種類との見分け方は?


【Chapter:1】トスカナブルーってどんな植物?

【トスカナブルーの花】

トスカナブルーはローズマリーとしては中くらいの濃さの薄紫色の花を咲かせます。
株が若いうちは花数も少なく、葉が茂るように育てると花が咲きにくくなりますが、 株が育って生育が落ち着いてくればぽつぽつと花をつけるようになります。
また、他の品種よりも花の下唇の縁のギザギザが目立たず、丸みを帯びています。

※ローズマリーの花の色に関して詳しく知りたい場合は比較表をご覧ください。
《 関連記事 》 お役立ち情報 > ローズマリーの花の色比較表


【トスカナブルーの樹形】

トスカナブルーは立性の代表的品種で枝先は上へ伸びる性質を持っています。
素直に上へ伸びていくために、横幅はマリンブルーほど出ません。
料理用目的で収穫を増やしたい場合は剪定して脇芽を育て、茂み状にすると良いでしょう。
大型になりますが、先端を刈り取って脇芽を増やすようにしないと枝数は増えません。


【トスカナブルーの香り】

葉の香りはやや強めで、爽やかな中にも少しスパイシーなグリーン系の香りとなります。
さらに、他の品種と違って甘く華やかさを感じるのが特徴です。


【トスカナブルーの葉】

トスカナブルーの葉はローズマリーの中でもやや大きめで、反り返りも少なめでまっすぐな印象の葉です。
また、他の品種よりも葉の幅が広いのが特徴です。

【Chapter:2】トスカナブルーの性質は?


POINT  トスカナブルーの性質

・日あたりを好む
・通気性のよい土を好む
・暑さにも寒さにもそこそこ強い
・地植えにすると化ける


【トスカナブルーの生育環境は?】

頑丈な種類のため、環境にはよく適応します。
庭へ地植えにすると旺盛に茂りますので、スペースは広めにとったほうが良いでしょう。
素直な立性ですが、素直に上を向きすぎて横幅を出しにくいため、茂らせるには剪定して脇枝を出させる必要があります。

トスカナブルーはほかのローズマリーと同様に日あたりを好み、通気性が良くて濡れてもすぐ乾く土を好みます。
PHは少しアルカリ性よりの土が良いとされますが、通常の庭土程度でも育ちます。
心配なら草木灰や燻炭などを混ぜて中和しておくとよいです。
基本的には排水性の良い土ならばまず問題ありません。


【トスカナブルーの耐寒性】

耐寒性はローズマリーの中では低いほうとされますが、−5度程度までは大丈夫です。
入手して初期の頃は−5度程度に冷え込むと葉焼けや、葉が黒銅色へ変化するなどの症状が出ますが、 一度春まで乗り切れば翌年からは問題は起きにくくなります。
寒さに慣れてくれば、たまに−10度近くになる程度であれば耐えられるようになります。
基本的に陽射しさえ確保しておけば、寒冷地以外では屋外で冬越し可能です。
ただし連日−10度近くになるような場所では本格的な防寒対策が必要となり、それ以上の寒冷地では鉢植えで室内管理のほうが無難です。


寒冷地で冬を屋外で過ごす場合、寒風が当たらず、日差しの当たる軒下などの場所が好ましいです。
根元には根覆いをしておきます。グラウンドカバーになる植物を植えるのも手です。
そのうえで、不織布や薄手の白い寒冷紗などを巻いて霜と風から守ります。
それでも外側の葉や若い枝先は霜焼けになりますが、中心部が元気であれば大丈夫です。
ある程度しっかり育てて、自分の枝葉で中心部を守る(外側の枝葉は犠牲にする)ような形での越冬になります。


なお寒冷地での育て方や冬越し、耐寒性のあげ方に関しては詳細ページがありますのでご参照ください。
《 関連記事 》 寒冷地での育て方 > 目安となる気温


一方、耐暑性は非常に強く、元々暑さに強いローズマリーの中でもさらに頑丈な方です。
連日の40度でも大きめの鉢植えや地植えであれば、水切れさえ注意すれば十分耐えてくれます。


【Chapter:3】トスカナブルーの育て方


【トスカナブルーの育て方】

【1.植え替える】
ポット苗を入手した場合、まずは植木鉢に植え替えます。
勢い良く育つため、うっかりしていると鉢底穴を根が貫通してきます。

土の通気性と排水性が肝心なため、鉢底には小粒の軽石などを敷き、 植え付ける土は園芸用土に川砂や小粒の軽石などを混ぜたものを使用します。
園芸用土単品では、保水性が良すぎるため、砂を混ぜます。
また、肥料分が多いと一気に育ちすぎて見た目はきれいでも弱い苗になりますので、園芸用土を養分の少ない砂などで緩和する目的もあります。

植木鉢に植え替え、ある程度成長して落ち着いたら地植えに移行しても良いでしょう。
地植えの場合はかなり巨大化するため、十分なスペースを確保します。
かなり高さも出てきますので、周囲に日陰を作る可能性があります。
土は排水性を確保し、養分は少なく、よく日の当たる場所に植え付けます。


【2.水やりの間隔を掴む】
植え替え直後は一度だけたっぷりと水を与えます。
最初の1回は、土が水を吸い込み、植木鉢がずっしり重くなるまで与えます。
二度目以降は、土が内部まで乾き始め、植木鉢の重量感が減ってきてから与えるようにします。
地植えの場合は植え付け直後の一度だけで、あとはよほどの乾燥期でない限り水やりはしなくて大丈夫です。


【3.日あたりを確保する】
ローズマリーは陽当たりを好みます。
日当たりが悪いと日光を求めて枝が迷走して伸び、曲がりくねることがあります。


【4.剪定する】
トスカナブルーは生育旺盛なため、放っておくとまっすぐ上に1本伸びるだけになりますので、 剪定し、脇芽から枝の成長を促すことで枝数を増やします。
切った場所の直下の芽が二本伸びますので、あまり上の方で剪定すると頭でっかちになるので注意しましょう。
生育スピードが速いので、できるだけ若いうちに下の方で剪定しておくことで頭でっかちになるのを防ぎます。

頭でっかちになってしまった場合は、思い切って下の方まで切り戻します。 この時、太く木質化した部分で切ることになりますが、切る部分よりも下に元気な脇芽が幾つかある状態を確保した上で切ります。 脇芽がない部分で切ると新しい芽が出てきませんので、状況が悪いと枝の枯死につながります。


【5.植え替える】※鉢植えの場合
鉢植えである程度育つと成長が止まります。
成長が止まると花が咲くようになりますが、数シーズンで根詰まりを起こします。
葉が黄色くなって落ちるようになったら根詰まりが進行している可能性があるため、大きな植木鉢に植え替え(鉢増し)ます。

トスカナブルーは大きく育ちやすいため、あまり大きくしたくない場合は鉢の大きさは1サイズずつ大きくしていきます。
どうしても同じサイズの鉢にしたい場合は、根の一部だけを取り除き、根の絡まりはあまり崩さないように植え替えます。
この場合は、地上部の枝も思い切って剪定して減らしておきます。
根を大きくいじる場合は、成長の緩い涼しい時期に行う方が事故は少ないようです。


【総合】
料理用として育てる場合、株が小さいうちは枝の先端を摘心することで脇芽・脇枝を増やして収穫量を増やすようにします。
収穫するようになると自然と剪定している状態になるので摘心はしなくても大丈夫です。
また、ローズマリーは全般的に、寒さが厳しく乾燥も強いような環境で育てると精油の分泌が減るようで香りがなくなってしまいます。
葉の香りを生かしたい場合は暖かい場所でやや乾き気味程度、少量の肥料分もある状態で育てたほうが良いでしょう。


逆に花を鑑賞したい場合は、寒さが厳しく肥料もなく乾燥が強い状態で育てます。
トスカナブルーは花が咲きにくいわけではありませんが、若い苗を入手してから開花までやや時間がかかります。
環境にもよりますが3シーズンくらいは待つ必要があります。


大型品種のため、地植えにすると一気に伸びます。
素直に上に伸びますが、上にしか伸びないので剪定で形を整えましょう。
収穫を兼ねて枝を摘んでいれば自然と脇芽は発生してきますが、樹形がいびつになった場合は切り戻して整えます。

→ 参考:ローズマリーの育て方

【参照】トスカナブルーが欲しいときは? 見分け方は?

【入手方法】

ローズマリーはたくさんの品種が存在しますが意外とタネの種類は多くありません。
そのため、トスカナブルーが欲しい場合は苗を購入することで確実に入手できます。

【参考】ハーブの苗/ローズマリー(立性):トスカナブルー3号ポット


【ハーブの専門店で購入する】
一番確実な方法です。
ローズマリーは品種も多く、ほとんどの姿が似ているため、専門店でないと品種が判別しがたいようです。
トスカナブルーは料理用に適しており、料理を目的に買う場合は専門店で確実にトスカナブルーと言えるものを購入したほうが良いでしょう。
他のローズマリーも料理に使えますが、ごく一部、 マジョルカピンクやパインなどのように料理に入れがたい香りの品種もありますので注意が必要です。

ローズマリー立性【トスカナブルー】苗
ローズマリー一覧(1)
ローズマリー一覧(2)


【園芸店やホームセンターの園芸コーナーで購入する】
トスカナブルーは日本では昔から存在するメジャーな品種であるため、特に品種名が書かれずに売られている場合が多いです。
姿かたちもごくオーソドックスであるため、園芸店などでも結構な確率でほかの品種がトスカナブルーと記されて販売されていることがあります。
もしくは、ローズマリーとしか書かれていないものも多々見受けられます。


トスカナブルーが欲しい場合は以下の見分け方も参考にしてよく確かめてください。


【トスカナブルーの見分け方】

ハーブの専門店ではない園芸店や種苗店、あるいはホームセンターの園芸コーナーでトスカナブルーを探す場合、 その特徴で探し当ててみましょう。
ズバリ、香りと葉の幅です。
また、ごく普通のローズマリーで品種名が書いてなければだいたいの場合、マリンブルーかトスカナブルーのいずれかの可能性が高いです。

それでも何か手掛かりが欲しいという時は以下のような部分を観察してみてください。


【特徴1】葉の形で見分ける
トスカナブルーの葉はほかのローズマリーよりもやや大きめで、幅広になります。
幅広な品種はトスカナブルーとレックスが挙げられますが、レックスは極端な幅広になるため、程よい幅広のものがトスカナブルーになります。


【特徴2】樹形で見分ける
立性の代表品種のため、トスカナブルーの幹や枝は上へ伸びたがります。
マリンブルーは横幅も出てボリュームがありますが、トスカナブルーは素直に上へ伸びたがります。
大型でがっしりしているため、ミスジェサップなどの繊細な英国系とはシルエットが異なります。


【特徴3】香りで見分ける
葉を痛めない程度にそっと触れて香りをかいでください。
ローズマリーらしい香りに加え、甘みがあり、華やかさを感じる香りが強いです。
他の品種にはなかなかない香りです。


【特徴4】花で見分ける
売られている苗の状態で花が咲いていることは稀ですが、咲いている場合は中くらいの濃さ(薄さ)で特徴のない薄紫の色になります。
やや青み寄りのマリンブルーと比較すると、ピンク寄りの薄紫になります。
また、特徴として、花の下唇の縁のギザギザがほとんどなく、丸くのっぺりした形になります。


トスカナブルーはローズマリーの中では基本の種類となり、初めて育てる場合は特にその育てやすさからお勧めの品種です。
他のおすすめの種類が知りたい場合は一覧ページを用意してありますのでご参照ください。
【関連記事】:目的別おすすめの品種・種類



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ローズマリー立性【トスカナブルー】苗
ローズマリー一覧(1)
ローズマリー一覧(2)