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寒冷地でハーブ類を庭の地植えで冬越ししたい場合、晩秋と初冬を乗り切れば意外と何とかなります。
コツはいきなり寒さに当てるのではなく徐々に寒さに慣らしていくこと。
こちらでは寒冷地の庭に地植えで冬越しさせる方法を挙げてみました。

雪に耐えるスイートブライアー

寒冷地での冬越しの仕方 【地植えの場合】

地植えで冬越しするためには、その年最初の寒風と霜を防いでから、あとは気温の低下に少しずつ慣らしていくことで耐寒性を高めると良いでしょう。
こちらでは地植えで冬越しするためのポイントとまとめてみました。


Contents 目次

【Start:】手順と方法を確認する
 ・地植えでの冬越しの手順

【Step:1】地植えで冬を越そう
 ・用意するもの
 ・植え付け場所と土壌を確認
 ・地植えでの冬越しの流れ

【Step:2】冬越しのポイント
 ・地植えならではのコツ
 ・地植えならではの注意点
 ・慣れれば地植えのほうが冬越ししやすい

【まとめ】
 ・まとめ
 ・関連記事


【Start:】手順と方法を確認する

【寒冷地での冬越しの手順】

それでは寒冷地・冷涼地でのハーブの冬越しの流れを見ていきましょう。
大まかな流れは以下のようになります。


Start1.苗を入手する
2.植え付け場所を決める
3.植え付ける
4.気温低下に備える
5.霜に備える
6.寒さに慣らせる
7.厳冬期に備える
8.徐々に緩める
Goal.春になる


各項目の詳細はページの中盤で説明しますので、ここではとりあえず上記のような流れだけ覚えておいてください。

【地植えで冬を越す準備】
地植えの場合は鉢植えと違って移動することができませんので、風や霜に当たらないように工夫しましょう。
一度冬越しを経験した苗は翌冬はほとんど冬枯れの心配はなくなりますので、まずは初めての冬を無事に乗り切ることを目標にします。

【土壌対策をしておこう】
地植えの場合は如実に地面・土壌に生育が左右されます。
たいていのハーブは通気性のある土壌を好みますが、寒冷地だと気候も相まってやや湿り気の多い土壌の場所が多くなります。
そのような場合はあらかじめ土壌改良をしておくと良いです。


【Step:1】地植えで冬を越そう

【用意するもの】

それでは地植えで冬を越す方法の説明です。 まずは必要なものを頭に入れておきましょう。
《 参考記事 》 寒冷地対策  > 冬越しの必需品


CHECK! 用意するもの

・包むもの(不織布、寒冷紗などの各種シート)
・支柱
・根元を覆うもの


【シート類/包むもの】
シート類はハーブの地上部を冷気や霜などから守るために使います。
シートを直接植物に巻く方法もありますが、枝や葉にダメージが出たり癖が付いたりすることも考えられるので支柱に留めたほうが無難です。
背の低い植物や細長い花壇の場合はトンネル状にするのも有効です。
《 参考記事 》 準備するもの  > シート類


【支柱】
支柱はシートを設置する際に必要となります。
まっすぐな棒タイプ、アーチ状のタイプなどがあります。
1株ごと個別に設置する場合は、朝顔用の円形支柱が便利です。
地面に刺さらない場所に設置する場合は、支柱の足と固定具、重石を兼ねたパーツが販売されています。
《 参考記事 》 準備するもの  > 支柱類


冬越しに必要なものについて、より詳細を知りたい場合は冬越しの必需品ページをごらんください。
《 参考記事 》 寒冷地対策  > 冬越しの必需品


【植え付け場所と土壌を確認】

地植えのばあいは場所と土壌に大きく左右されますので、植え付ける前によく確認しておきます。
冬越しに適した場所の選定ポイントを挙げてみます。

CHECK! 冬越しに適した場所

・よく日が当たる
・強い風が当たらない
・霜が当たらない
・やや乾燥気味の土壌


【日あたりが良い】
日光に関しては南向きで一日中当たっているのが理想ですが、朝から昼くらいまで当たっていれば何とかなります。
例えば家の東側などでも十分ですし、一時的に木の陰に入るくらいならなんとかなります。
逆に家の南側でも長時間日陰の場合は厳しくなります。
【関連記事】 植え付ける場所選び > 日あたり


【強い風が当たらない】
風に関しては、冬の冷たい風が当たる場合は気温が下がり始めたころにいきなり枯れることがあるので注意が必要です。
だいたい最初の冷たい一番風でやられますので、それさえ無事に乗り越えれば何とかなります。
風向き・当たり具合に関しては家の構造物の配置によって変わるので、それぞれのご家庭によって異なります。
ただし、夏の間は蒸れることもあるので、まったく風が通らない場所というのは考え物です。
風上側により一層耐寒性の強い植物を植えるのもおすすめです。
【関連記事】 植え付ける場所選び > 風あたり


【霜が当たらない】
霜に関しては注意が特に必要です。
出たばかりの若葉や新芽は初霜で焼けてしまう可能性が高くなります。
地植えの場合は軒下に移動させることができないため、霜に弱い種類は防霜シートや不織布をかけて対処します。
霜に比較的強い場合や回復力がある場合は、朝日ですぐに霜が解けるような場所に植えれば心配ありません。
【関連記事】 風や霜への対策 > 霜への対策


【乾き気味の土】
ラベンダーやローズマリーなど人気の低木性ハーブはたいてい乾き気味の土を好みます。
乾き気味というのは水分を含まない土ではなく、水に濡れても通気性が良くてすぐ乾く土といったほうが正しいでしょう。
寒冷地で一日中風花が舞う場合や残雪がいつまでも残っている場合は常時水分が供給されてしまいます。
このような場所の場合は特に通気性が良くすぐ乾く土壌にしておいたほうが無難です。
裏ワザとして、すぐそばに大量の水を吸い上げる植物を植えてしまうという方法もあります。
また、斜面の下のほうや地面が窪んでいる場所も水はけが悪いので排水対策が必要となります。
【関連記事】 土づくりについて


上でも書きましたが、たいていのハーブは通気性のある土壌を好みます。
しかし寒冷地だと気候も相まってやや湿り気の多い土壌の場所が多くなります。
そのような場合は土壌改良が必要になります。
ただし大掛かりなことは必要ありませんので安心して大丈夫です。
【 参考 】 土壌対策 > 土づくりについて


具体的な土壌対策ですが、まずはよく掘り返します。
直接空気にさらすことで乾きますし、雑草の根もここで取り除いておきます。
特に粘土の場合は数日おきに何度も掘り返し、土の塊をほぐしておきます。
寒冷地の場合は粘土質の場所が多いので、そのような場合は以下のページを参照してください。 【 参考 】 土壌対策 > 粘土の場合


土がほぐれたら通気性のよい資材を混ぜ込みます。
小粒の軽石砂・川砂・桐生土などの山砂・腐葉土などを混ぜ込みます。
ラベンダーやローズマリーなど地中海性のハーブが主体の場合は草木灰や燻炭などのアルカリ性資材も少し混ぜ込んでおきましょう。
粘土の場合は軽石などの多孔質の顆粒を多めに混ぜます。
根腐れが心配な場合はゼオライトを混ぜておくとよいでしょう。


資材を混ぜたらよく掘り返します。
数日おいて何度か掘り返し、最後は平らにならしてしばらく置きます。
大体掘り起こすと凹凸ができるので、水がたまるような場所がないように修正しておきます。
どうしても水がたまる場合や傾斜の上から水が流れてくる場合は、植え付ける周辺に水が達しないよう、少し離れた位置に溝を掘ります。
あまり深い溝でなくて大丈夫ですが、埋まってしまった場合は再度溝を削っておきます。


水はけを確認し、地面が落ち着いたら植え付けて大丈夫です。


【地植えでの冬越しの流れ】

それでは具体的に鉢植えでの冬越しの流れを見ていきましょう。
1〜3までが事前準備、4からが冬越しスタートとなります。
なお、あくまで十分な耐寒性を持つ植物という前提ですのでご注意ください。


【1.苗を入手する】※事前準備 まずは冬越ししたい苗を用意します。
種から発芽させても苗を購入するのでも構いません。
ただし、秋以降に温室育ちの苗を購入した場合やあまりにも苗が小さい場合は、その冬は室内で過ごしたほうが良いでしょう。
種まきの場合、秋まきと指定がある種類は基本的に耐寒性が強いので、芽が小さくでもあまり心配はいりません。


【2.植え付け場所を決める】※事前準備 地植えの場合、一度植え付けると移動はなかなか難しいので場所は慎重に選定します。
日あたりの確保や風や霜を避けられる場所などが好ましいです。
寒冷地だと気候も相まってやや湿り気の多い土壌の場所が多くなりますので、あらかじめ排水性の良い土壌へ改良しておきましょう。


【3.植え付ける】※事前準備 根の定着を考えると、基本的に秋までに植え付けを完了しておきます。
土壌の水分が多いと厳冬期に土ごと凍りやすくなりますので、植え付けの際は排水性の良い土壌資材を少し多めに混ぜ込みます。
なお、ローマンカモミールは晩秋の植え付けでもなんとか定着してくれます。


【4.気温低下に備える】 ここからいよいよ冬越しになります。
晩秋頃になりますが、一日の最低気温が1桁になったらその年最初の寒風を予防します。
この最初の寒風で枯れる場合が多いので天気予報に注意してください。
この最初の寒風はいきなり5度くらいまで気温が下がるため、耐寒性が強い植物でもまだ寒さ慣れしていないので危険です。
寒風が吹く前に、薄手のシートを植物にゆるく巻くか、支柱を立てて筒状にかぶせます。


【5.霜に備える】 寒冷地の場合、最初の寒風からさほど間を置かずに最初の霜が降ります。
夕方夜露が降りるようになったら、霜が近いサインです。
2度辺りから露が霜に変わりますので、気温低下に備えて最低気温5度辺りで霜対策もしてしまいましょう。
風対策の時はシートを筒状にかぶせていると思いますが、霜対策では上部も塞ぎましょう。

なお、地植え以前に鉢植えで冬越し経験がある場合は、厳冬期までは対策なしで過ごせるものもあります。
とはいえ厳冬期では作業するのも寒いので、早いうちに済ませてしまったほうが作業的に楽です。


【6.寒さに慣れさせる】 風と霜を避けられるように対策したら、そのまま寒さに慣れさせます。
寒さに慣れるまでは薄手の不織布や白の寒冷紗などで防寒しましょう。
徐々に気温が下がっていく分には枯れることはあまりありませんが、突発的な寒気が入ると弱ってしまうことがあるため、 そのような時は防寒シートを2重にして凌ぎます。
風当たりが強い場合は、追加で風上側に防風シートを設置しておくのも良いでしょう。


気温が−8〜−12度くらいで長期間慣らすと比較的安全に耐寒性を強めることができます。


【7.厳冬期に備える】 1月の半ばあたりから寒さが強くなり、2月の上旬にかけて最も寒くなります。
必要に応じてシートを2重にするなどの対策を追加します。
湿り気の多い寒冷地では地面も土ごと凍ります。
根元には腐葉土や敷き藁、バークチップなどで根覆いを施しましょう。
あまりにも寒い地域では、防寒対策を施したさらにその外側に支柱を立て、透明なシートを張って簡易的な温室にすると良いですが、 完全に塞いでしまうと蒸れるので、換気できるように多少の隙間は開けておきます。


【8.春まで耐える】 冬も半ばを過ぎればある程度寒さに慣れてきていますので、ちょっとした雪や寒さ程度では心配ありません。
ただし、屋根からの落雪などで枝が折れることがあるため注意してください。
ほとんどのハーブは雪に埋もれてしまっても大丈夫です。
防寒対策は突発的な寒気が入る時だけ気を付ければ、春までそのままで良いでしょう。


【Goal.徐々に緩める】 2月も半ばを過ぎれば冬越しはほぼ成功ですが、突発的に気温低下することはまだありますので防寒対策を全部取り払うのは考え物です。
この頃に北関東で−10度を超えることはあまりありませんが、念のため防寒シート1枚くらいはそのまま残しておきましょう。
ただし暖かい日は逆に高温になりますので、シートを使用している場合は中が蒸れないように十分な隙間を開けておきます。
ローズマリー、ラベンダー(イングリッシュ系およびラバンディン系)、タイムは十分な耐寒性を保持しているため、 防寒対策は終了して大丈夫でしょう。


【補足:早春以降】 気温が上がっても遅霜は毎年あります。ひどい場合は5月になっても見られることがあります。
耐寒性が強いハーブであれば一冬越せば軽い霜で全滅することはありませんが、暖かくなってから伸び始めた新芽はやられてしまいます。
その場合はやられた新芽は剪定して取り除き、もう一度伸びるのを待ちましょう。
新芽を守りたい場合や、新しく手に入れた苗を春に植えた時や種まきして芽吹いたもの、半耐寒性の植物などといった場合は、 霜の心配がなくなるまで防霜シートを設置したままにしておきます。


【対策のポイント】 防風シート・防霜シートを設置しても根元付近に隙間ができがちです。
ある程度は根覆いで防げますが、根元の太い茎部分・中心の幹が凍らないように注意してください。
植物の中心部分は自分自身の葉が茂ることによって寒風から守られている面もあります。
暖かい季節のうちに十分茂らせて体力をつけておくことが必要です。


【冬越しを緩める目安】 2月半ばになると最低気温が上向いてきますが、まだ防寒対策はそのままにしておいたほうが良いです。
3月に入れば極端な寒さが連日続くようなことはなくなるので、シート類は一枚薄くしても大丈夫でしょう。
ローズマリーは2月の終わりには芽が動き始めるので、この頃には日光を確保しておかないと徒長します。
また、タイムの芽が動き出すのはそれよりも遅いですが、ローズマリー以上に日光を好み徒長しやすいので注意してください。
3月も下旬になれば耐寒性の強いハーブについてはだいたいの防寒対策は撤去して大丈夫でしょう。
ただし初春に例年以上に気温が上がって新芽が大量に芽吹いた場合は寒さで新芽がやられることがあります。


4月以降、春らしくなり気温も上がり、次の苗を植える季節になりますが、寒冷地ではまだ霜が降りますので注意が必要です。
一度冬を越しているハーブであれば気温が低いこと自体には耐えられますが、春になってから伸びた新芽は霜に弱いです。
遅霜が降りる5月頭までは上部に防霜シートを軽く張るか、 新しい苗を植え付ける場合は遅霜が降りなくなってからのほうが良いでしょう。


【冬越しに成功すると?】 一度冬を経験すると翌年の冬は耐寒性が高まっています。
タイムやローズマリー、ラバンディン系ラベンダーは一度冬越しすれば翌年は−12度くらいまではほぼ無対策で冬を越せます。
3回くらい冬越しすれば−16度くらいまでは放置していても耐えられるようになります。
新芽や外気の当たる表面は多少霜で焼けますが、春になれば復活します。
ロンギカウリスタイムやイングリッシュ系ラベンダーはほとんど防寒対策は必要なくなります。


【Step:2】冬越しのポイント

【地植えならではのコツ】

地植えでの冬越しは大抵の場合、鉢植えよりも大きな株となります。
寒くなるまでに体力を蓄えていた方が良いので、株が大きいことは利点となります。
ただし、水や肥料を与えすぎると柔らかく弱くなってしまうため、どちらも控えめで育てておきます。


地植えは移動ができないため、その場で寒さに耐えることになります。
最初の寒風と霜対策に薄いシート1枚、寒さが強まったらシートを2枚など、覆うもので調節していきます。


根覆いですが、低木系のハーブの場合、根元を腐葉土やバークチップ、敷き藁などで覆うことが一般的です。
他のおすすめとしては、ロンギカウリスなどの耐寒性の強いグラウンドカバー植物を根元に配置するのも良いでしょう。
庭植え・地植えならではの方法ですし、季節には花も楽しめるので一石二鳥です。


【地植えならではの注意点】

上でも書きましたが移動させることができないため、突発的な気温低下に注意する必要があります。
地植えの大株は耐寒性が高まりやすいので、ある程度寒さに慣れたころであれば耐えられますが、 初めての冬越しで、さらに初冬のうちはまだそこまで耐寒性が高まっていないので注意しましょう。
この場合はシート類で厳重に保温・防寒に努めます。


また、寒冷地はその気候や地形のせいか、土の水分が多い場所や粘土質の場所が多くなります。
気温が低下すると霜柱で根の浅い植物は浮き上がってくることがありますので、根元を土ごと押さえつけておきます。
さらに厳冬期には土ごと凍ることも多く、根が傷みやすいので注意しましょう。
暖かい季節のうちに排水対策をしたり、水はけのよい土と入れ替えておきましょう。
特に積雪地は雪が水分を常時補給してしまうので排水に注意が必要となります。
屋根からの落雪など、大量の雪が積もる場所周辺に溝を掘るなど対策しておきましょう。


【慣れれば地植えのほうが冬越ししやすい】

ハーブを育てて楽しむ場合、一見すると鉢植えのほうが手軽に見えますが、慣れていないと無事に冬越しできる確率は意外と低いです。
鉢植えの場合、株が小さく体力が低いこと、根や土が全体から冷やされてしまうこと、あまりに寒い時に水やりをすると凍ってしまうこと、 逆に水やりを控えて枯らしてしまうことなど、冬場の管理が難しい面があります。
その点、庭に地植えであれば、一番難しい極寒期の水やりと水切れの問題は解消されると思ってよいでしょう。


ローズマリーやタイム、ラベンダーといった代表的なハーブは基本的に元々耐寒性が高いものが多く、 寒さに慣れれば庭に地植えしたほうが無事に冬越しできます。
これらは一度冬を経験すると自然に耐寒性を強めますので、次回以降の冬はさほど神経質にならずに冬越しすることができるようになります。
1〜2回ほど冬を経験すれば、極端な寒冷地以外では霜よけなどをしなくても冬を越せるようになるでしょう。


【まとめ】

CHECK! 寒冷地での冬越しの仕方 【地植えの場合】

・土壌の排水性を確保する
・株が大きいほうが体力があって有利
・初めての寒風と霜に注意
・根覆いで根の凍結と霜柱を予防



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