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寒冷地でハーブ類を鉢植えで冬越ししたい場合、意外と難しい対策は必要ありません。
ささやかなポイントをいくつか組み合わせることで無事に春を迎えることができます。
こちらでは寒冷地の屋外で鉢植えを冬越しさせる方法を挙げてみました。

ハーブガーデン風の庭

寒冷地での冬越しの仕方 【鉢植えの場合】

鉢植えで冬越しする場合、鉢そのものが冷えないように気を付けるとうまくいきます。
いつでも移動できるという点も鉢植えならではの有効ポイント。
まずは鉢植えで冬越しを経験してみると良いでしょう。


Contents 目次

【Start:】手順と方法を確認する
 ・鉢植えでの冬越しの手順

【Step:1】鉢植えで冬を越そう
 ・用意するもの
 ・鉢植えでの冬越しの流れ

【Step:2】冬越しのポイント
 ・植木鉢ならではのコツ
 ・植木鉢ならではの注意点

【まとめ】
 ・まとめ
 ・関連記事


【Start:】手順と方法を確認する

【鉢植えでの冬越しの手順】

それでは寒冷地・冷涼地での鉢植えの冬越しの流れを見ていきましょう。
大まかな流れは以下のようになります。


Start1.苗を入手する(※種まきでもOK)
2.植え替える
3.苗を大きく育てる
4.寒風を避ける(移動1度目)
5.霜を避ける(移動2度目)
6.寒さに慣れさせる
Goal.春まで耐える


各項目の詳細はページの中盤で説明しますので、ここではとりあえず上記のような流れだけ頭に入れておけば大丈夫です。



【Step:1】鉢植えで冬を越そう

【用意するもの】

それでは鉢植えで冬を越す方法の説明です。
まずは必要なものを頭に入れておきましょう。
《 参考記事 》 寒冷地対策  > 冬越しの必需品


CHECK! 用意するもの

・素焼きの植木鉢
・包むもの(新聞紙や不織布、各種シートなど)
・緊急時(急激な温度低下時)の退避場所


【素焼きの植木鉢】 素焼き鉢は保温性と通気性があるため、冬越しに適しています。
一回り大きい植木鉢を重ね、鉢カバーのように使うこともできます。
素焼き鉢の中でも、寒冷地で使う場合は朱温鉢や駄温鉢という種類がおすすめです。
樹脂製の植木鉢は寒さを通しやすく根が土ごと凍る危険性があり、寒冷地の冬越しには適しません。
《 参考記事 》 【道具の選び方】 > 植木鉢


【シート類/包むもの】 シート類は通常はハーブの地上部を霜などから守るために使いますが、鉢植えの場合は鉢を包むことで根元の防寒になります。
植物の地上部本体を守る場合は、大きめの鉢植えであれば朝顔などの円形支柱を使うとシート類を留め付けやすくなります。
シートを直接植物に巻く方法もありますが、枝や葉にダメージが出たり癖が付いたりすることも考えられるので支柱に留めたほうが無難です。
《 参考記事 》 準備するもの  > シート類


【退避スペース】 通常よりも強い寒気が入ることが予想される時などは、安全のために一度冬越しをストップして退避させます。
玄関などにスペースを確保しておいてください。
このとき、暖かい場所に数日おいてしまうと耐寒性が弱くなってしまうので注意が必要です。
適した場所がない場合は、簡易温室を作れるビニールシートが販売されているのでそれを使うのも良いでしょう。


冬越しに必要なものについて、より詳細を知りたい場合は冬越しの必需品ページをごらんください。
《 参考記事 》 寒冷地対策  > 冬越しの必需品


【鉢植えでの冬越しの流れ】

それでは具体的に鉢植えでの冬越しの流れを見ていきましょう。
1〜3までが事前準備、4からが冬越しスタートとなります。


【1.苗を入手する】※事前準備 まずは冬越ししたい苗を用意します。
種から発芽させても苗を購入するのでも構いません。
ただし、秋以降に温室育ちの苗を購入した場合やあまりにも苗が小さい場合は、その冬は室内で過ごしたほうが良いでしょう。


【2.植え替える】※事前準備 苗は一回り大きな素焼きの植木鉢へ植え替えます。
できれば冬より前に植え替えておくと良いです。
鉢が大きめのほうが根が冷気の影響を受けにくくなります。


【3.苗を大きく育てる】※事前準備 苗を用意した時期が早いならば、暖かいうちにできるだけ大きく元気に育てておきましょう。
秋にも成長時期があるので、晩秋でなければ多少の成長はします。
秋以降は肥料と水を控えめにします(与えすぎると柔らかく弱くなるので注意)。


※これ以降は気温を目安に段階的に対策を進めていきます。
→ 気温の目安と対策 を詳しく知りたい場合はこちら


【4.寒風を避ける(移動1度目)】 ここからいよいよ冬越しになります。
晩秋頃になりますが、一日の最低気温が1桁になったらその年最初の寒風を予防します。
この最初の寒風で枯れる場合が多いので天気予報に注意してください。
寒風が吹く前に、鉢植えを壁際などの風の当たらない場所へ移動させます。
最低気温が5度を下回るとかなり危険なので、そこまで下がる前に移動を終えておきます。
このまましばらくはその場所で気温の低下に慣れさせます。
《 参考記事 》 寒冷地対策  > 気温の目安と対策


【5.霜を避ける(移動2度目)】 最低気温が5度を下回ると突発的な温度低下で霜が降りる場合があります。
夜間が2度辺りから露が霜に変わります。
深い軒下など、屋根のある場所に移動して霜を避けましょう。
初冬のうちはまだ寒さに慣れていないので霜で傷む可能性が高くなります。

屋根のある場所が確保できない場合は、支柱を立ててシートを巻くなどして植物を守りましょう。


【6.寒さに慣れさせる】 風と霜を避けられる場所へ移動したら、そのまま寒さに慣れさせます。
寒さに慣れるまでは薄手の不織布や白の寒冷紗などで防寒しましょう。
徐々に気温が下がっていく分には枯れることはあまりありませんが、突発的な寒気が入ると弱ってしまうことがあるため、 そのような時は防寒シートを2重にしたり、涼しい玄関などへ鉢を移動させたりして凌ぎます。


【Goal.春まで耐える】 1月の半ばあたりから極寒期となります。
鉢植えの場合は特に鉢が冷えすぎないように注意します。
下手をすると土ごと根が凍るので、あまり寒い場合は植木鉢を覆って保温します。
この頃には冷気そのものや多少の霜には耐えられるようになっていますが、根元が凍ってしまうと枯れてしまいます。
雪はあまり心配いりませんが、屋根からの落雪などで枝が折れたり鉢がなぎ倒されたりしないように注意してください。
2月も半ばを過ぎれば冬越しはほぼ成功です。


【気温の目安と対策】 気温は10月ごろから徐々に下がり始めますが、防寒対策が視野に入ってくるのは最初の寒風が吹く11月頃となります。
おおよそ、一日の最低気温が5度に近づいてきた頃です。
このころにまず鉢植えを寒風や霜の当たらない場所へ移動します。
なお、目安になる温度については別ページで詳しく解説しています。
《 参考記事 》 寒冷地対策  > 気温の目安と対策


5度が目安の対策したら、次は霜の可能性が出てくる2度までに防霜対策をします。
霜で芽や葉がやられてしまう場合があるので、この時点で植物の地上部にふんわりと不織布などをまいておきます。
ビニールなどをしっかりまいてしまうと蒸れてしまいますし、色が暗くて厚いシートなどは日光不足になりますので、 この時点では薄いシートで十分です。


夜間に常時マイナスになるようになったら根や土が凍る可能性が出てきますので植木鉢にもシートや紙をまくか、 鉢カバー、一回り大きな植木鉢に鉢ごと入れます。
このころは昼間の気温もあまり高くありませんので、可能な限り日当たりのよい場所に鉢を移動します。
霜も風も当たらない南の軒下&壁際などがおすすめです。


夜間に長時間マイナス5度以上になると植木鉢は無対策の場合、中の土が全部凍りますので鉢が冷えないように注意します。


【中断の目安】 一時的に冬越しを中断することが必要な場合もあります。
天気予報などで突発的な気温低下が予想された時は、あらかじめ鉢植えを室内の明るく涼しい場所へ退避させます。
玄関などでよいでしょう。
暖かい場所へ置いてしまうとせっかくの耐寒性が元に戻ってしまいますので避けます。
極端な寒気が去ったら再び屋外へ戻します。


【冬越しに成功すると?】 一度冬を経験すると翌年の冬は耐寒性が高まっています。
苗も暖かい季節に再度成長するので、元気そうであれば翌年の冬は地植えでの冬越しにチャレンジしてみてもよいでしょう。


【Step:3】冬越しのポイント

【植木鉢ならではのコツ】

【鉢の並びにポイントがある】 鉢植えの場合、気温が下がってきたらあまり寒くない場所へ移動させるのが基本です。
この時に鉢植えならではのコツがあります。
それは鉢の置き方です。


CHECK! 鉢の置き方のコツ

・耐寒性の強いものが外側
・茂っていて風よけになるものは風上側
・弱い苗が内側、もしくは暖かい壁側
・大きい鉢植えで日光を遮らないように注意
・屋根からの落雪には注意


軒下等に複数の鉢を移動した場合、その置き方で鉢の冷え方がかなり違います。
風上側や外気が当たる側にはより耐寒性の強い品種を置き、内側に守りたい鉢を置きます。
些細なことですがかなり威力があります。
なお、他の鉢の日あたりを遮らないように注意してください。



南向きの日当たりの良い軒下などの条件に恵まれた場所を確保できるならば、 寒冷地でもこの置き方だけの対策で冬越し可能です。
心配ならば霜よけと鉢を2重にするなどの対策をすると良いでしょう。
ただし軒下の場合、屋根からの落雪による被害だけは気を付けてください。


【鉢植えならではの注意点】

鉢植えならではの注意点は主に2つです。


一つ目は、根や株元が冷えやすいという点です。
地植えであれば根が全体から冷気によって冷やされることはないのですが、鉢植えの場合は植木鉢が全方向から冷やされます。
そのため、気温があまりにも低下すると鉢の中身が凍ってしまいます。
耐寒性が強い植物でも根が凍ってしまうと枯れやすくなるので注意が必要です。
鉢を2重にしたりシートを巻く、あるいは鉢カバーや段ボールなどを使って鉢の温度低下を防ぎましょう。
昼間は風と霜をよけつつも十分日光に当てて鉢の温度を上げておきます。


特に植木鉢が小さいと冷えやすいため、 小さな鉢はまとめて背の低い箱やジュート(もしくはキャンバス)生地の袋などに入れると管理が楽です。
背の高い箱へ入れてしまうと日光を妨げますので低い・浅いほうが良いです。
とにかく根と根元の太い茎部分・中心の幹が凍らないように注意してください。


もう一つ重要なのが、水やりです。
ハーブの中には、地上部が枯れて休眠する植物もあります。
地上部が完全になくなるものもあり、うっかりすると空の鉢植えと間違ってしまい、水やりをすっかり忘れてしまうことがあります。
休眠していても生きているため、ある程度の水分は必要になります。
地植えであれば自然と周囲の土から水分が供給されますが、鉢植えでは水を与えないと足りなくなります。
生育期より必要な水分量は少ないものの、水切れには注意が必要です。


【まとめ】

CHECK! 寒冷地での冬越しの仕方 【鉢植えの場合】

・鉢は素焼きの植木鉢で!
・初めての寒風と霜に注意
・鉢の並べ方がポイント
・鉢を冷やさないようにする



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