粘土質の庭ならではの土壌対策や、地植え・鉢植えそれぞれの具体的な防寒・水やりのコツを分かりやすく解説します。
地面の凍結と霜柱への対策
地面がカチコチに凍って根が傷むのではないか、霜柱で株が浮き上がってしまったときはどうしたらよいかなどの疑問や不安を解消するために、 地面の凍結(凍みる/しみる)や霜柱を防ぐマルチングや、根が浮き上がってしまった場合の対処を覚えておきましょう。
【Chapter.1】地面が凍る
・地面の凍結
・霜柱とは
・土壌に注意
【Chapter.2】凍結や霜柱への対策
・霜柱への対策
・地植えの凍結対策
・鉢植えの凍結対策
・厳冬期の水やりの工夫
【Chapter.3】凍結対策に必要な道具
・凍結対策に必要な道具
・シート類
・根覆い
・土壌資材
寒冷地でハーブを育てるうえで考えなければならないのが地面そのものの凍結と霜柱による害です。
しっかり備えて、大切なハーブの根を守りましょう。
【Chapter.1】地面が凍る
【地面の凍結】
温暖地の方には信じられないかもしれませんが、寒冷地では地面が凍ります。
【凍みる(しみる)】といわれる現象で、表面に氷が張るのではなく、霜柱が浮き上がるのでもなく、地面そのものが含んでいる水分もろともカチコチに凍ります。
ひどい場合は植わっている植物の根も一緒に凍ってしまい、大ダメージを受けてしまいます。
耐寒性が高い植物でも根が凍傷を受けてしまうと枯れてしまいます。
また、地上部が枯れて休眠する宿根タイプのハーブは、この地上部がないという見た目のために根元の対策をうっかり忘れがちで、根の凍結による枯死が多くみられます。
地上部がないから、休眠しているからといって油断できません。
地面の凍結は−4度前後から危険が高まります。
気温が長時間マイナスになる地域では地面の凍結を頭に入れておきましょう。
【関連記事】:寒冷地対策 > 目安となる温度
【霜柱とは】
霜柱は、地中の水分が毛細管現象のように地表に吸い上げられて凍ったものです。
この時、霜柱のある地表は冷たいですが、意外と下の土は地表より暖かく、凍っていないことが多いです。
地面が凍るような強い寒さではなく、気温が0度からマイナスになるかならないか前後の温度で発生しやすくなります。
そのため、霜柱そのもので植物の根が凍ってしまうようなことは稀です。
霜柱が植物にダメージを与えるのは、霜柱の冷たさよりも、霜柱が根の浅い植物を持ち上げてしまうことによります。
地中にあった根が浮き上がることによって地表の寒い風に直接さらされたり、霜柱が解けた後に地上に取り残されて根が乾いてしまったりすることでダメージを受けやすくなります。
地面の霜柱ではなく、植物に降りるほうの霜についての対策は詳しいページがありますので合わせてご覧ください。
【関連記事】:寒冷地対策 > 霜への対策
【土壌に注意】
地面の凍結や霜柱は、発生しやすい土壌があります。
マルチや根覆いも大切ですが、そもそも凍結や霜柱が発生しにくい土壌にしておくことも大切です。
地面の凍結は、水分が多く、土壌が細かく締まった土で発生しやすくなります。
つまり、水分の多い粘土質の場所ではカチコチに凍りやすくなります。
暖かい季節のうちに土壌改良をしておくことで被害を少なくできます。
【関連記事】:土壌対策 > 粘土質の土壌を柔らかくする方法
霜柱は水分の多いところで発生するように思われがちですが、粘土などの場合は意外と霜柱にならず、土がそのまま凍ります。
砂地や砂利が多い場所、踏みしめられて硬くなっている場所にも霜柱は発生しにくいです。
霜柱はどちらかというと、腐葉土などの有機物が多く空気を含んで土が柔らかい場所や、赤土を多く含む土壌で発生しやすい傾向があります。
暖かい季節であれば植物が育ちやすい土ともいえるので、土質はあまりいじらず、冬場の対策だけでも良いでしょう。
【Chapter.2】凍結や霜柱への対策
【霜柱への対策】
霜柱は、極端な低温では起こりにくく、どちらかというと地表の温度が0度からマイナスになるかならないかくらいで発生しやすくなります。
また、腐葉土などが多く軽い土で起きやすいため、粘土質の多い山間の寒冷地よりも、中間〜温暖地の庭で気温が下がった時のほうが発生しやすくなります。
日なたと日陰の境目や住宅周りの温かい場所で発生しやすいため、気温が氷点下になるかならないかの微妙な時こそ注意を払います。
- 寒冷地よりも中間地で起きやすい
- 粘土質よりも有機物の多い土で起きやすい
- 気温が微妙な冷え具合の時が危ない
- 地面を保温して防ぐ
- 根が浮き上がったら押さえつけて対処
霜柱を起こさせないためには、藁やマルチなどのシートで覆って地表の温度を下げないことが有効です。
また、土に川砂や軽石などを混ぜると霜柱が起きにくくなります。
ローズマリーやラベンダーはもともと砂礫質の地方に生えている植物ですので、地表の浅い土を砂の多い配合にしてしまうのも一つの方法です。
暖かい季節のうちに土壌改良しておきましょう。
【関連記事】:土壌対策 > 土づくりについて
匍匐性の植物が植わっている範囲が霜柱で浮き上がってしまう場合は、透明のマルチシートで保温するのも一つの方法です。
地面を覆うのは黒マルチや黒の寒冷紗が定番ですが、植物が植わっている場合は日光が必要になるため、透明のシートのほうが適しています。
霜柱によって植物が持ち上げられてしまった場合、そっと植物の根を土に押し戻し、土をかぶせて定着させます。
その後、株立ちの植物であれば、根の周囲に適度な大きさに切った通気性のあるシートを敷き、上にバークチップや軽石などの多少の重みのあるものを乗せます。
匍匐性タイムなどであれば、軽く踏みつけて土に押し込んでおきます。
霜柱によって表土が持ち上げられ、溶けると沈下しますが、これを繰り返すと春には地表がボコボコになります。
春の植え付け前に平らにならしましょう。
【地植えの凍結対策】
地面の凍結は地植えの植物には大きな脅威となります。
根まで木質化しているような植物への影響は小さいですが、根が柔らかい植物は凍傷のようになってしまいます。
ゴボウ根のハーブ(イタリアンパセリほか)や根菜類などは影響が大きくなります。
地面ごと凍結するような場所は気温も地温も低すぎるため、マルチシートを地面に一枚敷いたくらいでは凍結対策には足りません。
このような場所は、藁などを敷き詰めた上から黒マルチなどで保護します。
秋に地面に広範囲に種をまいた場合などは、敷き藁とマルチをしたうえで、地上部に支柱とシートでトンネルを掛けます。
地上部のシートはある程度光を通す、白の寒冷紗などがよいでしょう。
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地面の凍結は、水分が多く土質が細かい場所、つまり粘土質の場所で起きやすくなります。
暖かい季節のうちに顆粒状の土壌資材をよく混ぜて細かく耕しておくと軽減できます。
腐葉土などの有機質を多く含むと保温になりますが霜柱の危険性が上がりますので、少量加えるにとどめておきましょう。
【関連記事】:土壌対策 > 土づくりについて
【鉢植えの凍結対策】
鉢植えで冬越しが難しいのは、根が凍りやすいためです。
地植えと違い、根の周辺が全方向から冷たい空気にさらされるため、土も根も冷やされてしまいます。
土そのものが問題というよりは、気温の冷えそのものが問題になってきます。
植木鉢を冷やさない工夫をすれば大丈夫です。
お手軽なのは、根元に根覆いを施したうえで、より大きい植木鉢と二重にするか、新聞紙などでくるむことです。
より防寒性の高い専用の鉢カバーも販売されています。
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植木鉢では水やりで問題が発生することがありますので、続きの章で解説します。
【厳冬期の水やりの工夫】
厳冬期の水やりに関してですが、まず地植えでは必要ありません。
特に寒冷地では、一日中しぐれたり、寝雪から水分が供給されがちで、どちらかというと水分過多になりやすい環境です。
むしろ水はけに注意を払いましょう。
水やりに注意が必要なのは鉢植えになります。
あまりに低温の状態で水やりをすると、土ごと凍ってしまいます。
一般的には、温かい時間に明るいうちに乾き切るくらいの量を与えるとされますが、冬場の空気は乾いており、少量の水では根まで水分が届きません。
より正しくは、暖かい日に十分な量の水を与え、夜間は鉢を覆うなどして凍らないように努めます。
水やりの頻度は乾燥状況にもよりますが、週に2〜3回程度になります。
また、寒冷地の温度では屋外に鉢植えを放置すると割れることがあります。
特に素焼き・テラコッタは割れやすく、目に見えないような細かなヒビに水分が入って凍ると割れがちです。
より硬い朱温鉢・駄温鉢を使いましょう。
寒冷地では一日中しぐれていることも多く水やりの必要はなさそうに思えますが、だいたいの鉢植えは軒下などの雨風が当たらない場所にいますので、水分補給になっていません。
うっかり水やりを忘れて枯らさないように注意しましょう。
特に1月末から2月上旬は、地方によっては乾いた風が吹き荒れ、あっという間に乾燥します。
ローズマリーのミスジェサップやアープ、コモンタイムなど、耐寒性が強い植物は最低気温が−5度くらいまでは昼間に水やりをしても大丈夫です。
雪が積もる地域では、雪の塊を持ってきて根元に仕込んでおくとじわじわと水分補給をしてくれますので活用しましょう。
どうしても冬場の水やりが難しく鉢植えを枯らしてしまうという場合は、思い切って水分を好む強耐寒性の植物を育ててみましょう。
ワイルドストロベリーは寒冷地だと地上部がなくなってしまいますが、気温を気にせず水やりができます。
世の中には氷漬けのほうが元気な植物も存在します。
クランベリーやコケモモなどの小さなベリー系は水分と強烈な寒さが大好きです。
クランベリーやコケモモにいたっては−20度でも平気なので、毎日屋外で適当に水やりをして大丈夫です。
赤い紅葉が氷漬けになっている様子は見ていても美しく、あえて屋根からしずくが滴ってくる場所に置くのも面白いものです。
【Chapter.3】凍結対策に必要な道具
地面の凍結や霜柱の被害を軽減するためには、マルチなどの根覆いやグラウンドカバーが必要になります。
これらはできるだけ通気性が確保できる資材を選びます。
バークチップや切り藁など、植物性資材の保温力も優れていますが、これらを使う場合は春先に処分を忘れないようにしましょう。
冬越しに必要な資材については関連ページに詳しくまとめてあるのでご覧ください。
【関連記事】:寒冷地対策 > 冬越しの必需品
【シート類】
地面対策の場合のシートは、主にマルチングシート(通称マルチ)や寒冷紗が使われます。
シートが飛ばないように地面にピンで差し込むか、レンガなどの重しが必要になります。
地温を保つために黒のマルチが使われることが多いですが、日光を取り入れたい場合は透明のマルチも使えます。
これらはビニールシートであるため、空気を通しません。
蒸れが気になる場合は穴あきのマルチを使うか、自分であけましょう。
- 地面対策といったらマルチ
- 日光が必要なら透明シートもあり
- シートが飛ばないように注意
- 通気性を確保する
- 場合によっては敷き藁を併用
地面が凍るような寒冷地の場合、マルチシート1枚では保温力が足りません。
このような場合は、敷き藁などの厚みがあるものを敷き、その上からマルチシートを掛けましょう。
【根覆い】
根覆いとしては腐葉土やバークチップ、藁(わら)が代表的です。
植物性の根覆いは隙間に空気を含み、保温力に優れています。
このうち、腐葉土や切り藁は軽く風で飛んでしまうため、上からバークチップや軽石などで押さえる必要があります。
保温力では優秀ですが、性質として湿気を吸い込みやすく、また、虫などが冬眠の場所に選んだり卵を産み付けたりすることがあります。
そのため、根覆いに使った植物性資材は春になったら虫が湧く前に処分しましょう。
保温力ではやや劣りますが、根元を直接寒風や霜にあてないという意味では、軽石も優秀です。
通気性があるのも利点です。
また、土の表面を軽石や砂などの養分がない無機質なもので覆っているとコガネムシなどが卵を産みにくくなります。
そのため、腐葉土やバークチップで根覆いをした上から全体を軽石で覆うというのも一つの方法です。
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根覆いには耐寒性の強い匍匐性のタイムを使うという手もあります。
ロンギカウリスやウーリータイムは強耐寒性で霜にも強いため、他の植物の足元に植えてしまいましょう。
これらのタイムは霜柱で浮き上がっても軽く踏みつけて土に押し戻しておけば大丈夫なので、冬場は頼もしい助っ人になります。
【土壌資材】
そもそも地面が凍るような場所はたいてい粘土質なので、土壌改良すれば凍結の度合いも軽減されます。
砂質の場所は凍結しにくいため、暖かい季節のうちに川砂や軽石などを混ぜ、土壌改良しておきましょう。
寝雪などから常に水分補給されてしまうこともあるため、排水性は大切になります。
粘土質の改善には植物性の繊維質も有効です。
ただし、腐葉土などの有機物が多くなりすぎると今度は霜柱が立ちやすくなりますので、量はほどほどにします。
霜柱はどちらかというと植物の生育に適した土壌で立ちます。
暖かい季節であれば問題ないので冬の間だけ対処する形でも良いですが、霜柱が解けた後に地面がぐちゃぐちゃになるような場合は、
砂や顆粒状の資材を混ぜて排水性を高めておきましょう。
【関連記事】:土壌対策 > 土づくりについて
【関連記事】:土壌対策 > 粘土質の土壌を柔らかくする方法
【まとめ】
・地面の凍結はマイナス4度前後から注意が必要
・霜柱を見つけたら、早めに優しく押し戻して鎮圧する
・鉢植えは外気から守るためカバーや二重鉢で対策する
・冬場の水やりは暖かい日の日中に十分な量を与える
・春先には根覆い(有機物)を撤去して害虫を防ぐ
地面の凍結や霜柱は、植物の「根」に直接ダメージを与える見えない脅威です。
マルチングや敷き藁、必要に応じた土壌改良を取り入れることで、被害を最小限に抑えることができます。
寒さの厳しい冬でもポイントを押さえて管理し、安心して春を迎えましょう。