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HOME > ハーブ図鑑  > タイム
料理に欠かせないタイムは花もかわいらしく、園芸・観賞用としても人気のハーブです。
コンパクトにまとまるので鉢植えにも、あるいは地植えにも適しています。
ここではタイムの基本的な情報と一部の品種の特徴をご紹介します。

タイムの基本情報

タイムとは

タイム Thyme (シソ科)
和名:タチジャコウソウ

多年生・小低木(常緑樹)
耐寒性:-8〜-12度(※防寒時)
サイズ:品種による
立性および匍匐性

主な用途: 料理・観賞・殺菌・防腐
主な花色: 薄紫・ピンク

タイムの育て方はこちら

目次

タイムの特徴と性質を簡単に紹介します。立性や匍匐性といった種類や、用途別の選び方も含めて解説します。


Contents 目次

【Chapter:1】タイムってどんな植物?
 ・タイムの特徴
 ・タイムの性質
 ・耐寒性は?

【Chapter:2】タイムの種類は?
 ・立性と半匍匐性と匍匐性
 ・代表的な品種は? 選び方は?

【参照】 おすすめの品種は?
【参照】 タイムの育て方


【Chapter:1】タイムってどんな植物?

【タイムの特徴】

POINT  タイムの特徴

・シソ科の植物で多年生の低木
・立性、匍匐性がある
・花も葉も細かく数が多い
・葉をもむと強い香りがある


タイムは淡いピンク〜薄紫の花と米粒のような小さな葉をもつ植物です。
花はシソ科の植物特有の形で、色は品種によって様々ですが基本的には淡いピンクとなります。
料理やハーブティーに好まれ、また強い殺菌・防腐作用もあるとされます。
葉は年間を通して常緑ですが、厳冬期はやや赤みを帯びます。
匍匐性の品種はグラウンドカバーとして人気があります。


背が低く草のように見えますが、低木です。
伸びたばかりの枝は緑色で草のように見えますが、翌シーズンから木質化して頑丈になります。
木質化を嫌う方もいますがタイムは元々樹木で、特に立性は木質化した部分がしっかりしないと全体を支えられないため、 太く木質化した部分こそ重要です。
品種によって樹形が異なり、上方向に広がる立性、地面を這う匍匐性があります。

【タイムの性質】

POINT  タイムの性質

・特に日あたりを好む
・通気性のよい土を好む
・水切れには注意
・寒さにも霜にも強い


ハーブのほとんどは日光を好みますが、タイムは特に日差しを好むタイプです。
そのため徒長しやすく、室内では窓際に置いたとしても、網戸越しの光では徒長します。
逆に言えば、真夏の強い日差しでも遮光の必要がないほど、光を欲しがります。


土は乾燥気味を好むとされますが、排水性よりも通気性が大事となります。
土の湿気に関しては、極端な湿気のある土壌でなければ問題なく育ちます。
乾燥気味を好むのは確かですが意外と水切れに弱いため、湿気に関してはあまり心配はいりません。
粘土質でも軽石や砂などを混ぜて通気性を確保すれば意外と大丈夫です。


水切れが心配になるのは真夏の猛暑です。
タイムは排水性の良い土を好む割には水切れに弱いので注意が必要です。
通気性の良い土は乾燥の進行も早いため、高温の乾燥期は朝だけの水やりだと間に合わないことがあります。
熱そのものには強いため、真昼の熱い時間に水やりをして大丈夫です。
また、特にレモンタイム系は水切れに弱いので真夏の管理は注意しましょう。


【タイムの耐寒性は?】

タイムは一般的なハーブの中でも耐寒性は高いほうです。
ある程度育った株の場合、品種にもよりますが軽い防寒対策を施せば−8〜−12度くらいまでは問題なく育ちます。
数年経ち、寒さに慣れていればよほどの寒冷地でもなければ防寒対策なしでも大丈夫です。
ただし鉢植えの場合は根が土ごと凍ってしまうことがあるため、−15度近くになるようであれば鉢を覆うなどの防寒をすると安心です。


寒さ自体で枯死することはあまりありませんが、極端な冷気や強い霜に直接当たった部分は葉が焼けてしまいます。
春になると戻りますが、見た目が気になる場合や心配な場合は薄い不織布や白の寒冷紗などをかけると良いでしょう。
根元は腐葉土やバークチップ等で根覆いをすれば大丈夫です。


一般的にクリーピングタイムの名で園芸店で販売されているロンギカウリスは、葉が霜焼けを起こすことはありますが、 地植えである程度育っていれば無対策で−15度くらいまでは乗り切れます。
立性の場合はコモンタイム系が寒さに強く、鉢植えでもかなりの耐寒性を発揮します。
レモンタイム系はコモンタイム系より劣ると言われますが、こちらもある程度育っていれば−12度くらいまでは乗り切れます。


なお、タイムは寒くなると葉が赤みを帯びてきます。
厳冬期はやや灰色っぽいような色になります。
寒さ負けすると茶色っぽくなりますが、枯死していなければ春になると緑に戻りますので、早合点して枯れたと決めつけず、 春まで様子を見たほうが良いでしょう。


【Chapter:2】タイムの種類は?

【立性と匍匐性】

タイムはその樹形・育ち方によって大まかに立性・匍匐性に分けられます。
立性は名前の通り、幹や枝先が上へ伸びていくタイプです。
ただし、かなり強い日差しを必要とするため日光が足りないと容易に徒長し、半匍匐性のような樹形になることも多いです。
匍匐性は文字通り地面を這うように枝が伸びていくタイプです。
ローズマリーの匍匐性と違い、ほぼ立ち上がらず、グラウンドカバーなどに好まれます。
また、半匍匐性に近い樹形のものも存在します。
各タイプごとの特徴は以下の通りとなります。


【立性】
 料理用・ハーブティー用に多い種類で香りがよく、枝先が上を向いて育つタイプ。
 コモンタイムやレモンタイムが代表的。
 だいたい15〜30センチくらいの高さに収まることが多い。
 花は枝先に固まって咲くが、その近辺にも葉の付け根にわずかな花が付く。
 枝の重みで横広がりになることがあるので剪定で整える。
 コモン系はスープや煮込み系料理にお勧めで、乾燥させて保存できる。
 レモンタイム系はハーブティーに人気の品種でやや強めの柑橘系の香り。


【匍匐(ほふく)性】
 ツタのように地面を這うタイプで一般的にクリーピングタイムと呼ばれる。
 地面を這うように繁茂し葉がぎっしりと密集するためグラウンドカバーに好まれる。
 地面を這っているために高さはなく、せいぜい8p未満。
 花期のみ、先端がやや上を向いて花を咲かせる。
 地面が多少湿っていても耐えられ、耐寒性も相当高い。
 どちらかというと観賞用の種類が多い。


【半匍匐(ほふく)性】
 あまり表記されないが半匍匐性の樹形になるタイプも存在する。
 一度は立ち上がり、立性のような成長をしつつ、枝が横広がりになり、先端だけが上を向く。
 育て方や特徴は立性に準じるので、半立性とも言える。


【代表的な品種は? 選び方は?】

タイムの代表的な品種として挙げられるのは、コモンタイム・レモンタイム・ロンギカウリスです。
タイムはハーブの中でもかなり品種が多いほうになりますので、何を基準に選ぶかで迷うことも多いでしょう。
基本的には立性や匍匐性といった樹形、料理向きかハーブティー向きかどうかで判断しますが、 慣れないうちは育てやすさから選ぶのも手です。


選ぶ際に迷いがちな点として、クリーピングタイムやワイルドタイムが挙げられます。
クリーピングタイム・ワイルドタイム共に匍匐性全般を指す言葉であるため、 園芸店では品種名が書いてない場合も多いです。


大雑把に、クリーピングタイムとあった場合は観賞用のグラウンドカバー向き品種、 ワイルドタイムとあった場合は料理向きの香りの品種の可能性が高いです。
また、園芸店で一般的にクリーピングタイムの名前で売られているのはロンギカウリスが多く、ついで品種を分けていないコッキネウス系・ マジックカーペット系が多いようです。
もし学名が書いてある場合、コッキネウス〜やセルピルム〜とあったら匍匐性品種、 キトリオドルス(シトリオドルス)とあれば柑橘系の香りの品種となります。


続いて、代表的な品種をいくつか紹介します。初めのうちはこの中から選ぶと良いでしょう。


【代表的な品種】

【コモンタイム】
ごく一般的なタイムで、性質は相当に丈夫。耐寒性もかなり強い。
立性で花はピンクとされるが個体差もあり、白から薄紫まで多様。
香りは料理向きで成長も早い。スパイシーな風味だがスープストックには抜群の相性。
手がかからないのでタイムを初めて育てる場合にお勧め。
→ ハーブ図鑑:コモンタイム


【レモンタイム】
ごく一般的なタイムで、多くの品種がある。
立性で花はピンクとされるが個体差もあり、白から薄紫まで多様。
葉はコモンタイム系より大きい。 性質はコモン系よりやや弱く、枝がくねりやすい。
華やかな柑橘系の香りはハーブティー向きで、成長も早い。
→ ハーブ図鑑:レモンタイム


【フレンチタイム】
コモンタイムの料理用選抜品種で、コモンタイムよりも香りは華やか。
花数も多くやや大きめなので観賞用としてもおすすめ。
枝はやや横広がり気味に上を向くが、剪定しないと脇枝が出にくい。
花を放置しているとアブラムシが出ることがあるので早めに切り戻す。
耐寒性は強い。
→ ハーブ図鑑:フレンチタイム


【オレンジバルサムタイム】
立性でやや華奢な外見で葉も細め。
香りはまろやかな甘みのあるオレンジ系の香りでハーブティー用に人気。
タイムの中では背が高くなる方で、花は淡いピンクか薄紫。
葉はやや白っぽい青で、全体に華奢で繊細。
夏の突発的な暑さでやられることがあるが回復力はある。
→ ハーブ図鑑:オレンジバルサムタイム


【シルバークイーンタイム】
立性。レモンタイムの斑入り。
香りはレモンタイムそのもので、強い柑橘系の香り。
花はやや数が少ないがきれいなピンク。
何より斑入りの葉が美しく、観賞用としても人気。
厳冬期は葉が赤っぽくなる。


【ロンギカウリス】
完全匍匐性。園芸店でクリーピングタイムの名前で売られていることが多い。
香りはレモンタイムそのもので、強い柑橘系の香り。
踏みつけても香り、刻んだ葉は虫除けになる。
花はピンクでぎっしりと咲き、グラウンドカバーに最適。
節という節から発根して根付く。
→ ハーブ図鑑:ロンギカウリス


【ワイルドタイム(セルピルム)】
一般には匍匐性タイムの総称だが、狭義にはイングリッシュワイルドタイムかブロードリーフタイムをさす。
一番タイムらしいタイムともハーブの王様、あるいはマザーオブハーブとも呼ばれ、匍匐性だが枝先は上を向く。
香りはコモンタイム系のスパイシーな香りで料理向きの品種。


【参考:園芸店でよく見かける品種】

【フォックスリータイム】
白い斑が入るクリーピングタイムで、紅葉すると3色にも見える美しい品種。

【ドーンバレータイム】
斑入りのレモンタイムの近縁種。フォックスリーよりも鮮やかな黄緑系の色。

【レイタータイム】
細かな葉の匍匐性タイム。密になるため、やや蒸れやすい。

【オーレウス(ゴールデンレモンタイム)】
ゴールドリーフの匍匐性タイム。

【ココナッツタイム(コッキネウス・メジャー)】
赤花クリーピングタイムとも。やや濃いめの赤紫寄りのピンク花でコッキネウス・マイナーよりやや濃い。

【白花クリーピングタイム】
セルピルム・マイナー・アルバや、セルピルム・アルバが該当。 純白の花で、葉がとても細かい。

【バリエガータ】
レモンタイムの黄色系の斑入り品種。ゴールドクイーン(ゴールドレモンクイーン)に近い。

【シルバータイム】【シルバーポジー】
白い斑入り品種で、コモンタイム系とレモンタイム系があるため、要注意。
vulgarisとあればコモン系、citriodorusとあればレモンタイム系。

【ハイランドクリーム】
最近出てきた、クリーム(オフホワイト)の斑入り品種。
匍匐性でタイムにしては珍しく半日陰でもOKだが、耐寒性はタイムの中では控えめ(それでも十分強いが)。

【マジックカーペット】
レモンタイムマジックカーペットとも。匍匐性。
見た目はほぼロンギカウリスだが別品種らしい。

【オレンジタイム】
立性だが半匍匐性として売られている謎品種。
オレンジバルサムタイムを徒長させるとそっくりになるのだが……。
→ ハーブ図鑑:オレンジタイム

【オレンジスパイスタイム】
特徴的な細葉で、ピリッとした香りの品種。匍匐性。

【イブキジャコウソウ】
日本原産のタイムの一種で、匍匐性。基本はピンクだが白花も存在する。

【ワイルドタイム(プラエコクス)】
ワイルドクリーピングタイム。匍匐性できれいなピンクの花を咲かせる原種。
香りは少ない。
マザーオブハーブと呼ばれるワイルドタイム(セルピルム)とは違う品種で、プラエコクスは地を這い、 セルピルムは枝の先端がある程度立ち上がる。


【おすすめの品種は?】

タイムはいろいろな品種があります。
ここでは樹形別・用途別におすすめの種類・品種名を挙げてみました。
タイムの品種の特徴と詳細はこちらのページでご覧ください。

【樹形別】

【立性】
 「コモンタイム」「フレンチタイム」「レモンタイム」

【匍匐性】
 「ロンギカウリス」「コッキネウス」「ブロードリーフ」


【用途別】

【料理用】
 「コモンタイム」 「フレンチタイム」 「ブロードリーフ」

【ハーブティー用】
 「レモンタイム」 「オレンジバルサムタイム」

【グラウンドカバー用】
 「ロンギカウリス」 「マジックカーペット」 「コッキネウス」

【葉の観賞用】
 「フォックスリー」 「ドーンバレー」 「シルバータイム」 「オーレウス」

【花の観賞用】
 「フレンチタイム」 「ロンギカウリス」 「マジックカーペット」