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雨が降ると乾きにくい、常に湿気を感じる、泥や水がたまるなど、湿気の問題も程度も様々。
大がかりな対策が必要なのはわかるけど庭の一角くらいなら自分で何とかしたい。
ここでは一人でもできる排水対策を紹介します。

地中の水・地表の水・空中の水

代表的なハーブであるローズマリーやラベンダー、タイムなど、水気を嫌うハーブを植える場合、 あまりにも周辺の湿気が多いと生育が悪くなります。
また、湿気が多いのが空中か・地表か・地中かでも異なってきます。
ハーブが苦手な条件を確認してから排水対策を行ったほうが効果的です。


【地中の水が多い原因】
 ・土に浸み込む水分が多い
 ・水の消耗がない
 ・水の蒸発がない
 ・地中に水を通さない層がある(粘土層など)

【地表の水が多い原因】
 ・地中の水分が飽和していてそれ以上浸み込めない
 ・地表が水分を通しにくい層でおおわれている(粘土層など)
 ・外から水が供給されている(降雨や流入など)

【空中の水が多い原因】
 ・地面から水分が蒸発してくる
 ・風通しが悪く蒸れている
 ・近くに水そのものがある


ラクをしたい人に

水を消耗させる

大がかりな排水対策はかなり難儀で、自分の手でもできなくはありませんがかなり苦労をします。
そもそも水分や湿気が少なければそこまで大掛かりな排水対策は必要ないもの。
まずは水気を消耗して少なくしてしまいましょう。

【LV1:蒸発させる】
土に多孔質の軽石など通気性のよい資材を混ぜると水分が蒸発しやすくなります。

【LV2:掘り返す】
土を直接空気にさらして乾かします。
平らにならさないでそのままにしておくのがコツ。
労力がかかるのが難点ですが、意外と効果があります。

【LV3:吸い取る】
水気が好きなハーブや生育旺盛で地中の水分を吸う力が強い植物を植えます。
植えた植物の根元付近の土が乾きます。
葉が多い植物のほうが葉から水分を発散してくれます。
地中の水分に対しては実は一番効果的な方法です。

【LV4:せき止める】
どこからか水が流れ込んでくる場合はそもそも流入を防げば問題ありません。
ブロックやレンガでせき止めても良いですが雨量が多い場合はあふれてきたり、隙間から流れ込んできたりします。
その場合は隙間やその周辺をクリーピングタイムなどのグラウンドカバーで埋めておくと泥をせき止め、多少の水気も吸い取ってくれます。


それでも排水対策が必要な時は……

基本の排水対策

排水対策といっても、排水という言葉は字のごとくですが、外から水気の流入を防ぐという役割もあります。
庭全体をするのは大掛かりなので、一人で行う場合は植物を植え付ける周辺だけに区切って始めると良いでしょう。

【排水溝(簡易表層排水)】
溝を掘ってそこに水を逃がす、あるいは外部からの水をそこで遮断するためのものです。
深く広く掘ったほうが良いと思われがちですが、一時避難的な浅い溝でも効果はあります。
排水対策は深く浸み込む前の表層の水を逃がすだけでもかなり違うので、雨などの場合は庭の表面を浅く削った程度の溝でも効果が見込めます。
なお、溝は勾配を付け、低い場所へ水を逃がすようにします。

注意点:
植物を植えたいスペースの周りを溝で囲んで満足してしまうことがありますがこれはNG。
それでは掘った溝に水が溜まってしまい、余計に水を抱え込んでしまいます。
溝で囲むのではなく、より低い場所へ水を誘導するように道を掘ります。

【排水溝(表層排水)】
強い雨が続くなど、ちょっと土を掘った程度では土ごと流れて溝が埋まってしまうような場合や、外から水や泥が流れ込んでくる場合、 常設の水の逃げ場として深めの排水溝が必要になります。
掘っただけでは溝が崩れたり流れてきた土砂で埋まってしまうため、溝を防草シートや透水シートで覆い、軽石など排水性のある資材で埋め、 さらに埋めた排水資材が泥で埋もれないようもう一度シートで覆って上部を砂や軽石、砕石などで覆っておきます。

目安は60センチくらいの深さとよく言われますが、流れてきた泥で溝が埋まらないように注意すれば20〜30センチ程度でも効果があります。

ホームセンターなどではU字溝なども売っていますが大変重く、特に女性が自力で動かすのは困難です。
溝が浅くても構わないならば、樋が軽くておすすめです。
樋の場合は連結パーツもあるので複雑な回路も可能です。

【浸透桝】
水を地中深くへ逃がすためのものです。
深く掘るので多少労力がかかりますが、できなくはないレベルです。

簡易タイプ:
直径60センチ程度の穴を掘り、透水シートや防草シートで掘った面を覆い、軽石などを詰め込み、再度シートで覆ったら 表面をやはり軽石や砕石、砂利といった透水性のあるもので覆います。
もしくは網目状のものを塊にし、透水シートで包んで埋めるという方法もあります(地表の処理は同じです)。
穴の深さは通常は60センチ程度ですが、地中が分厚い粘土層だった場合は粘土の層を貫かないと水が逃げませんので、 粘土層をぶち抜くまで掘る必要があります。
まれに、縦に貫けなくても蛇やモグラの巣穴とつながっていて横方向へ水が逃げてくれる場合もあります(巣穴の主には申し訳ないですが)。

暗渠排水:
排水溝と浸透桝をつなげたタイプです。
排水溝は溝の中心に専用の穴の開いたパイプを埋め、浸透桝まで連結します。
浸透桝も簡易的なものではなく、浸透桝用のパーツがありますのでそれを埋め、排水溝から来るパイプと連結します。
水は深いほうへと流れますので、排水溝を深く掘った場合は浸透桝はさらに深く掘る必要があります。

【盛り土だけで対策できるか?】
どうにもこうにもいかない場合、地面より高く土を盛って植え付ける盛り土を勧められることがあります。
一見するとうまくいきそうに思えますが、硬く平らな粘土層の上に土を盛っても、雨などで土が流れて行ってしまいます。
土留めをすれば土の流出は抑えられますが盛り土に浸み込んだ水の流出も抑えてしまいますし、下が粘土層の場合は下方向へも浸透できず、 結局水を抱え込んでしまいます。
下の粘土層もある程度排水性のある資材を混ぜるなどして水の逃げ道を確保したうえで盛り土するなど、 あくまでも盛り土だけで対処しようとはせず、複数の対策を組み合わせる必要があるようです。


意外な盲点

泥の跳ね返りを防ごう

一口に水に弱いハーブ、水気を嫌うハーブといっても嫌うポイントは様々です。
その中で意外と盲点なのが地面からの泥はねです。
水に弱いとされていながらも、泥跳ねがなければ意外と平気というハーブも多いのでここはポイント。

【水跳ねとの違い】
例えばすぐ側がアスファルトやレンガ敷きで雨などの際に水が跳ね返ってくるという場合でも、水だけなら意外と問題になりません。
乾けば何もなくなるからです。
しかし、泥跳ねの場合は葉に泥が付着して水分も乾きにくくなりますし、付着した泥が葉の呼吸を妨げたり、葉そのものを傷めたりします。
放っておけばいつまでも泥が付きっぱなしになるのも痛手です。
水気に強い植物でも泥跳ねのある下葉は枯れやすいということもあります。

泥跳ねを防ぐには根元の土の露出を控えるのが一番ですが、植物なので土に植え付けるのは当たり前。
なかなか難しい問題です。
そこで簡単なのが根元を覆ってしまうことです。
この時、空気が通るようにしておかないと蒸れてしまうので要注意。
市販のカラー砂は根元の表面を詰めて覆ってしまうものもあるので避けたほうが無難です。

【根覆い】
根元の土を覆い隠すことを根覆いといいます。
通常は防寒対策として行われますが、泥跳ねにも効果的です。
通気性を確保しなければならないので、軽石などの多孔質や、バークチップなどがお勧めです。

【グラウンドカバー】
グラウンドカバーというと雑草対策などで地面をびっしり覆いつくす植物を指すことが多いですが、 植え付けたハーブ等の根元だけを覆えば十分です。
クリーピングタイムなどの地面を這う植物だけでなく、例えば背の低い草性の植物、パンジーやアリッサム、ワイルドストロベリーなどでもOK。

【予防シート】
水や空気を通すシートで土の表面を覆ってもいいでしょう。多少の水は跳ねますが泥は防げます。
防草シートや不織布、透水シートなどがあります。黒マルチは蒸れるので除外します。


タイプ別の対策

ハーブのタイプを知って対策しよう

水気を嫌うハーブに多い悩みが根腐れと蒸れです。
これらはハーブの品種による特徴のほか、地中の水が多いせいなのか、地表の水が多いせいなのか、 はたまた空中の湿気が原因なのかで対策が分かれてきます。
それぞれの場合の対策をいくつか挙げてみました。

【地中の水が多い】
そこそこ生育していたのが突然根腐れするという場合はたいていこのタイプ。
地中の水が多くてもたとえば斜面などで常に流れて新鮮な水であれば生き延びられるハーブもいますが、 平らな庭土の場合は古い水がいつまでも地中深くに居残ります。
通気性が悪く、土中の嫌気菌が繁殖しやすいのがネックです。
根がある程度深く張るタイプが被害を受けやすいため、低木になるタイプのハーブの多くが苦手とします。
例)ラベンダー、ローズマリー、ヒソップ
対策…生育旺盛な植物で吸い上げるのが一番
ちなみに、根が深く張るタイプでもゴボウ根で草性のダンデリオンやソレルなどは問題になることは少ないようです。
ラベンダーやローズマリーも大型化して水分の消耗が激しくなってくると意外と耐えますが、そこへたどり着くまでが厳しいです。

【地表の水が多い】
植え付けた当初から育たない、仕方なく植え替えようとしたらすでに根が溶けていたという場合はこのタイプです。
地表から深さ数センチくらいまでの浅い土壌での水気です。
根腐れだけでなく、センチュウの被害を受けやすいのもネック。
さらに泥跳ねの心配もあります。
花壇や鉢植え等でも植え付け用に市販の配合用土を使うと意外と保水性が良く、逆に水分過多になることもあるので要注意。
根が地表近くや地中に十数センチくらいまでしか張らない背の低い草性の植物が被害を受けやすくなります。
例)ディアンサス(ナデシコ)
対策…表層排水をする、排水性の高い土と入れ替える、盛り土をしてその上に植える
ちなみに、根は浅くとも横に広がっていくヨモギやノコギリソウなどは問題なく育つ場合が多いです。

【空中の湿気が多い】
空中の湿気が多いと土の表面も乾きにくくなりますので、間接的に影響があります。
また、低木性のハーブは葉が茂りすぎると株の通気性が悪くなって蒸れ、中心部の葉が枯れ落ちたり傷んだりします。
特に葉が密に茂るハーブはすぐに蒸れて枯れ上がってくるので注意。
例)イングリッシュ系ラベンダー
対策…株間を開けて植える、密になった枝葉を透かす、風通しを良くする
湿気が多い場所で枯葉をそのままにしておくとそこに湿気がたまり、カビが生えてきたり虫の温床になったりするので注意。

【泥跳ねに弱い】
どの植物も下のほうの葉は泥跳ねの被害を受けやすくなります。
湿気に弱い植物はもちろん、水気に強い植物でも泥の付着部分は葉が傷みやすくなります。
例)イングリッシュ系ラベンダー、アルケミラ、アレキサンドリアストロベリー
対策…根覆いやグラウンドカバーで予防する、下葉は思い切って取り除く、水で洗い流す
背の低い植物は地表に近い葉の裏に泥がたまりやすいので時々洗い流しておくと良いです。