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HOME > 実践編 > 害虫対策
ハーブは頑丈なため、野菜や果物よりは目立った被害は少ないですが、やはり虫はつきます。
また、特定の植物にだけ着く虫というものも存在します。
ここでは害虫について少し考えたいと思います。

代表的な虫の害

地植えの方がやはり被害の確率は高いですが、鉢植えでも虫はつきます。
地植えと鉢植えで虫の種類に差はありません。
ここでは主な害にピントを当てたいと思います。

根がやられる……!

調子よく育っていたのに、葉は齧られていないのに突然枯れた。
こんな時は根元や根そのものをかじられている場合があります。
代表的なのはヨトウ虫・根切り虫と根腐れセンチュウです。

【ヨトウムシ(夜盗虫)】【根切り虫】

どちらも庭いじりをしていれば見たことがある代表的なイモムシです。
薄い色のものは緑系の褐色で、色が濃いものは黒っぽくなります。
発見時は丸まっていることがほとんどです。
夜盗虫は根や茎のほか、葉も齧ります。
憎たらしい程に丸々肥えていることもしばしばです。
見つけ次第捕殺です。

鉢植えが夜盗虫の被害を受けているらしい場合、姿が見えなくても周囲にフンが落ちていたら疑います。
このような時は、植木鉢にたっぷりと水を与え、鉢の表面にしばらく水が溜まった状態にして待ちます。
多湿に強い植物なら鉢ごと数分間水の中に沈めても良いでしょう。
しばらく眺めていると窒息するのか、土の中から逃げ出してくるので発見できます。

【水責め】
水責め
鉢の表面に水をためて数分待つ。水が切れないよう注意。

【根腐れセンチュウ】

乾いた土の中にはあまりおらず、根腐れするような湿った土の場合に発生しやすくなります。
根がなくなるのでぐらつき、ひどい場合は簡単に抜けてしまいます。
全く根がない状態にまで喰われます。
根の表面が硬い場合は皮に穴を開けて内部にもぐりこみ、中を食べてしまいます。
根だけでなく根元の茎の中まで齧ることがあります。
本体は糸のように細く短い虫で、半透明に近い白い色をしています。
土の中でも根本付近や、植物の根元そのものに潜り込んでいますのでそのあたりをよく見てください。

根の付け根の茎の部分やその中心部まで齧られてしまった場合は枯れてしまうので諦めます。
まだ根が残っている・根元の部分はしっかりしているという場合は、根元をよく洗います。
短時間であれば石鹸で洗っても大丈夫です。
センチュウが根元や内部にもいなくなったのを確認したら新しい土と鉢に植え替えます。

センチュウにはマリーゴールド(Tagetes/マンジュギク)を近くに植えるという対策が良く知られています。
マリーゴールドの根から分泌される物質がセンチュウの動きをかく乱するといわれています。

【コガネムシ(幼虫)】

庭いじりをしていれば見たことがある代表的なイモムシです。
カブトムシの幼虫を小型化したような、白くて頭が橙色のイモムシです。
庭や畑に少しいるくらいならあまり被害はありませんが、大量発生したり、 1つの植物の根基に寄ってたかられた場合は被害が大きくなります。

植木鉢やプランター、花壇の場合の方が被害が大きく、土がやたらとふわふわになったら要注意です。
夜盗虫と同じく地中に潜んでいますので、鉢植えの場合は水攻めにすると這い出してきますので捕まえます。

どちらかというと有機質たっぷりの軟らかい土を好むようですので、 乾き気味で養分が少なく砂の多い場所を好むハーブの根元ではあまり見かけません。
野菜系のハーブなど養分たっぷりの土を使っている場合は一応注意しておきましょう。
表面に軽石などの粒子系の砂を敷き詰めておくと良いとも言われます。

地面に潜るイモムシ系は水攻めで発見できる


葉がやられる……!

昨日の夕方まで茂っていたのに朝になったら茎だけになっていた……よくあるパターンです。
葉が穴だらけにされる、表面だけをこすったように齧られる、葉というか芽がやられるなど、 色々なパターンがあります。

【青虫】

蝶や蛾の幼虫で青いイモムシをまとめて青虫としますが、アブラナ科のハーブはてきめんにやられます。
マスタードやルッコラなどが代表的です。
食用のハーブなので薬品も使いにくいため、見つけ次第つまみとるのが一番です。
鳥が好んで食べる虫ですが、逆に菜っ葉を好む鳥も多いので要注意。

【糸を張る青虫】

ハーブの葉や芽先にクモの糸のようなものがあって葉が食害されている……そんな時に疑うのがベニフキノメイガ。
小さなイモムシで見つけにくいですが、クモの糸のような巣があるのが特徴なので、覚えれば見つけやすくなります。
見つけ次第捕殺します。
どちらかというと虫の害の少ないタイムの若い芽もやられます。

【アゲハ(幼虫)】

ミカン科に付くのがアゲハとクロアゲハ、ニンジンやパセリに付くのがキアゲハです。
特にキアゲハは見た目もあって精神的ダメージ大。
パセリが一晩で食い尽くされるのは大抵これです。

山椒やヘンルーダ(ガーデンルー)につくのがアゲハとクロアゲハの系統です。
見た目はそっくりですがクロアゲハは巨大です。
幼齢のうちは鳥のフンにそっくりなのでうっかり見過ごさないように注意ですが、 鳥のフンとさえ覚えてしまえば気付くようになります。
終齢まで成長すると緑の巨大青虫になります。
うっかり刺激するとどの成長段階でもとても臭い角を生やして威嚇してきます。

終齢に達するとかなり巨大化するので、つぶすのは勇気がいります……小さいうちに見つけて対処したほうが良いでしょう。
苦手な場合は枝や葉ごと取り除き、虫を食べる鳥が集まる周辺にでもおいておきましょう。

【クロアゲハ(終齢)】
クロアゲハ
とにかく巨大。普通のアゲハの2倍近いサイズ。

【バッタ・イナゴ】

イモムシよりも大食漢なので被害は甚大です。
しかも飛び跳ねるので捕まえにくい。
子供のころに虫遊びが好きだった人以外には跳躍のパターンが分からないので手での捕殺は難易度が高いです。

食の好みはないようで、通常虫の害の少ないハーブでも容赦なく被害にあります。
セージなどは丸坊主にされることもあります。

【ハマキムシ】

蛾の幼虫です。
葉っぱをくるくると細く巻いてその中に入っています。
筒のようになった葉があったら要注意です。

主に綿やタチアオイ(マロウ)系統につきます。しかも大量に。
巻いてある葉や、葉に付着するフン、切り裂いた葉の破片が周囲にあったら要注意です。
鳥の目につかないので、筒状の葉っぱごと踏み潰すのが一番です。

・鳥のフンぽいものが見えたら要注意
・イモムシ系よりバッタ系の方が被害が大きい
・イモムシ系は鳥などの天敵がいる
・虫ではなく鳥が犯人のこともある

細かい虫が……

イモムシ系は見た目は苦手でも我慢してつまめば退治できますが、厄介なのはつまめないほど小さい虫です。
対処方法はズバリ発生させないこと。
基本的には乾燥させなければ発生頻度は減ります。
水やりの時にジョウロで上から水を掛けるのも良いでしょう。

【アブラムシ】

何にでも発生する厄介な虫。 乾燥していると発生しがちなので、冬場の乾燥時にも発生します。
木質化した硬い茎には付きにくいですが、若芽や花には付くので注意が必要です。
こすり落とすのが簡単ですがぽろぽろ落ちて生き延びたものがまた上がってくるのでイタチごっこです。
ナナホシテントウという偉大な天敵がいますが、蟻がいると退散させられてしまうので厄介です。
蟻さえ寄せ付けなければナナホシテントウで対処できます。

テントウムシが逃げられない程度の大きさの網目の袋を用意し、アブラムシのついた植物に被せます。
ビニール袋でも良いですが、蒸れたり窒息したりしない程度に小さな穴をいくつかあけておきます。
内部にナナホシテントウを入れ、逃げ出さないように袋の口を閉じておきます。
アブラムシとテントウムシの数にもよりますが、10日も経てばほとんどアブラムシを見なくなります。

【カイガラムシ】

こちらも乾燥すると発生しやすくなります。
葉の裏だけでなく木質化した硬い部分にもつくので厄介です。
白いイメージがありますが茶色などの種類もいますので思い込みに注意です。
退治はこすり落とすのが一番簡単です。
大量発生されると周辺がべたつき、そのままにしておくと病気になるので洗い流します。

【ハダニ】

赤く小さな粉にしか見えませんが、虫です。たまにクモの巣のような糸を持つものもいます。
葉や若い茎から液を吸って弱らせてしまいます。 こちらも乾燥すると発生しやすくなり、春先から初夏にかけて被害が大きくなります。
春になったら被害が出る前から葉に霧吹きでこまめに水を掛けるなどして予防します。

こすり落とそうにも葉の細かな凹凸に潜んでやり過ごされてしまいます。
植木鉢等であれば土がこぼれないように覆ってから逆さまにして水につけるのが手っ取り早いです。
無理な場合でも地上部を水洗いすると軽減できます。

【アザミウマ】

大きさはアブラムシ程度ですが形は細長く、目が悪いと見えにくいです。
かなりすばしこく、幼虫は危険を感じると飛び跳ねて逃げるためつぶすのもむずかしいです。
一気に大繁殖するので注意が必要です。

穴を開けて汁を吸われるため、植物は白っぽい粉のような斑点だらけになります。
ハダニやアブラムシが出るような環境では同じく発生しやすくなります。
不思議とハダニが大繁殖している株には少ないです。
こちらも株ごとまめに水洗いして対処しますが、根絶はハダニよりも困難です。

・春先以降は霧吹き等などで葉を湿らせておく
・被害が出たら丸ごと水洗いする

謎の虫が……

イモムシ系でもなくバッタ系でもなくアブラムシ系でもない……。
被害があるかどうかも分からないけれどもハーブの根元によくいる。
そんな虫もいるので念のため注意を払いましょう。

【コメツキムシ(幼虫)】

親は地味な色の甲虫ですが、幼虫がハーブの根元に住み着くことがあります。
暗褐色で艶があり、イモムシのように見えます。
草食性のものは根菜類をかじるようですが、肉食性のものがヒソップなど低木性ハーブの根元にも来ます。
この場合、根をかじるというよりは根元で枯葉を集めて地中までトンネルのような巣を作ります。
枯れ葉に潜む小さな虫を食べているようです。
糸でまとめられた管状の枯れ葉の粉があったら中にいますので巣ごと引っ張ると取れます。

対処法としては落ちた枯れ葉はこまめに取り除いておくことです。

【ムカデ】

小型のムカデが植木鉢の中に入り込むことがあります。
鉢をどかした時に下にいるだけでなく、植物の根元の隙間に入り込んで丸くなっています。
植物を食べに来ているのではなく、植物を食べに来ている虫を食べに来ているようです。

対処法としては餌となる虫を寄せ付けないのが一番です。

農薬以外で追い払うには?

ハーブは食用やハーブティー用と、口に入れる可能性もあるので農薬は使いたくないのが本音です。
見つけ次第捕殺する以外に、寄せ付けない方法もハーブならではのものがありますので紹介します。

【ピレスラム】

和名は除虫菊(ジョチュウギク)です。
赤い園芸用のものは薬効が乏しいようで、薬用植物の白い花のものを選びます。
若干気難しく上手く育たないこともありますが、うまく開花したら花を収穫、乾燥させます。
虫に来てほしくない場所に乾燥した花を細かく砕いて蒔いておきます。

【ガーデンルー】

独特の香りを持つ葉を生のまま細かくちぎり、鉢植えの下や根元等にばら撒いておきます。
葉を食害するような虫には効きませんが、鉢に這い上がってくるのを防ぐことができます。
また、鉢に巣くっているムカデやワラジムシ、蟻も出て行きますので、出て行ったら戻れないようにしておきます。

【ローマンカモミール】

生でも乾燥葉でも良いので煮出します。 苦くて飲めたものではないのですが、これを冷ましたら霧吹き等で植物に吹きかけて予防に使います。
土に与えてしまうとへの発育を抑制してしまうようなので、地上部に吹きかけるくらいにしておいた方が良さそうです。