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ガーデニングで悩む粘土質の土壌は多くのハーブにとって手ごわい相手。
特に寒冷地や山間は粘土質の所が多く、悩んでいる方も多いのでは?
以外にも少しの改善で多くのハーブが生育できます。 ここでは自力でできる対処方法を紹介します。

粘土対策

【土壌対策】 粘土質の改善方法

ハーブを粘土質の場所で育てている場合に多い悩みが根腐れです。 根腐れは排水性と通気性が悪い場合に発生しやすくなります。
それら改善するとともに、土の性質そのものも変えてしまいましょう。

土壌改良というと大変そうというイメージがあるかと思いますが、ここでは簡単に行えるものを紹介します。

Contents 目次

【Start】粘土の特徴と対策
 ・そもそも粘土だとなぜダメなの?

【Step:1】粘土の質そのものを変えてしまおう!
 ・どんな性質にすればいい?
 ・とにかく混ぜよう!
 ・実際の手順
 ・注意するポイント

【おまけ】より効果を上げるために
 ・土壌改良材も作ってしまおう

【参考】関連情報
 ・粘土質の土壌を柔らかくする方法
 ・排水の対策
 ・土づくりについて
 ・根腐れ対策と復活方法


【Start】粘土の特徴と対策

【そもそも粘土だとなぜダメなの?】

粘土の特徴はその粒子の細かさにあります。
そのため、ぎっしりと固く詰まってしまい、カチカチの塊になります。

固く詰まってしまった粘土質の土壌は排水性も通気性も悪く、根腐れの原因となる菌が発生しやすくなります。
さらに寒冷地の場合、水分量の多い粘土質の土は厳寒期に土ごと凍ってしまいがち。
耐寒性が強い植物でも根まで凍ってしまうとダメージが大きくなります。


【Step:1】粘土の質そのものを変えてしまおう!

【どんな性質にすればいい?】

※このページでは粘土質の土壌そのものについて解説しますが、とりあえず粘土を柔らかくする方法だけ知りたいという場合は、 詳細ページをご覧ください。
【関連記事】:粘土質の土壌を柔らかくする方法


粘土の特徴は粒子が細かくぎっしり詰まってしまうこと。
ならば粒子を粗くして隙間を作り、力を加えればすぐにほぐれるような土壌にすればよいわけです。


CHECK! 土の粒子の大きさが肝心

・粘土は粒子が細かい
・細かいとぎっしり詰まってしまう
・粒子に隙間があると水や気体が通りやすい
・大き目の粒子や顆粒を混ぜると改善可能


土の粒子に隙間ができれば水分は逃げやすくなり、通気性もよくなります。
そのため土が内部まで乾きやすくなり、根腐れしにくい土壌となります。


粘土の塊はほぼ粘土の細かい粒子のみでできており、たとえば腐葉土などの植物性の繊維や養分がとても貧弱です。
繊維質があると通気性を保つとともに微生物の住みかとなり、その働きで土がほぐれ、団粒状の土の粒を形成してくれます。


粘土の問題というと排水性が真っ先に頭に浮かぶと思いますが、実は土の通気性を高めると水分が蒸発しやすくなり、 蒸発して減る分の排水対策を兼ねることができます。
排水対策は大掛かりになりがちなので、手軽に済ませたい場合はまず通気性の確保から行うのがおすすめです。


CHECK! 粘土対策のポイント

・粗めの粒子を混ぜて隙間を確保
・通気性が肝心
・カチコチならばほぐす
・繊維と微生物があると団粒状にしてくれる


【とにかく混ぜよう】

庭の粘土を全て入れ替えるのはとても大変。
そこで粘土の質そのものを変えてしまうわけですが、 そのためには粘土にない性質をもったものを混ぜる必要があります。


CHECK! 粘土にはない性質をもったもの

・川砂……排水性・通気性
・山砂(桐生砂など)……顆粒構造
・軽石……排水性・通気性・顆粒構造・多孔質
・腐葉土……排水性・通気性・繊維質
・有機肥料……養分・微生物・繊維質     ……などなど


これらは園芸店やホームセンターでも手軽に手に入ります。
いわゆる花や野菜の培養土などとして売られている【土】ではないものです。
袋にはたいていの場合、単に川砂などと単体名が書かれているのでわかりやすいです。

《関連記事》  土壌資材について(培養土・単用土)


もちろん、場合によっては家庭にあるものでも代用できます。
どの家庭にでもあるわけではありませんが、例えば木のおがくず、草木灰、炭の破片や粉なども立派な改良剤になります。
有機肥料も例えば植木鉢に土を入れて野菜くずなどの生ゴミとまぶして暖かい場所に10日も放置すれば自分で作ることもできます。


また、土壌改良をより一層しっかりしたものにしたい場合は、以下のものも加えて混ぜるとよいです。
ただし多少のクセがあるので、分量には注意が必要となるものもあります。


CHECK! 効果がプラスになるもの

・燻炭(もみ殻やそば殻)……微生物・繊維質
・ピートモス……繊維質
・ゼオライト……排水性・通気性・顆粒構造・多孔質・防菌・防臭


以上のようなものを入手したら粘土を掘ってよく混ぜ合わせます。
空気を含ませるように何度も掘り返しましょう。
肥料だけはあまり多すぎると養分過多になって害のある雑菌まで増えるのでほどほどにしますが、 ほかの顆粒状の資材に関しては多すぎるくらいでちょうどよいでしょう。

【実際の手順】

それでは実際に庭の粘土を改良しましょう。
まずは掘り起こすことろからですが、広い範囲を一気に掘るのは大変なので、まず改良したいエリアを決め、 そのエリアの中心に大きめの穴を掘ります。
余力があるなら穴はいくつも掘って構いません。
作業はそこから徐々に周辺に拡大していくとよいでしょう。


なお、この時に雑草の根などは取り除いておきます。
また、穴を深く掘った時に古い花瓶の水のような独特のニオイがしたときはすでに根腐れ菌が繁殖しています。
この場合は作業はストップし、穴と掘り上げた土はそのまま数日は空気にさらしておいてください。
根腐れ菌は主に嫌気菌といわれていますので、空気に長時間さらせば減らすことができます。


穴の深さは植えたい植物にもよりますが、根が浅い草のような植物ばかりであるなら20〜30センチでも大丈夫です。
低木状のハーブなどでは深く根が張りますので40センチ以上掘っておいたほうが無難です。
両方が混ざるのであれば無難に40センチ以上掘っておきましょう。


穴を掘ったらそこに改良のための資材を投入します。穴が埋まるほどまで入れてしまって構いません。
資材を入れたら、掘り上げた土を穴に戻し、また穴の周囲の土を掘り崩しながら資材と混ぜます。
穴を外側に広く拡大しながら埋め戻しつつ混ぜていく感じです。
掘り返すエリアの深さは元の穴と同じくらいになるようにします。
資材が目立たなくなったらそれらの割合が少なくなった証なので再び資材を追加して投入します。


これを繰り返しながら改良したいエリア全体を掘り返して混ぜていきます。
同時に粘土の塊は細かくほぐします。
ちなみに、ごく狭い範囲だけを掘ってしまうとその穴に周囲の水が流れ込み、地中が見えない水たまり状態になってしまいます。
そのため、水を逃がすためにもある程度広めに掘り起こしたほうが良いでしょう。

【注意するポイント】

土壌改良するときに気を付けるポイントがあるので頭に入れておきましょう。

【!土の穴から悪臭!】……
土を掘り返していて腐ったようなにおいがした場合は、その場所の土中にはすでに 根腐れを起こす嫌気菌が繁殖している可能性が高くなっています。
そのニオイは例えるなら花を挿したままずっと取り換えなかった花瓶の水のニオイ。
この場合は多孔質の軽石にさらにゼオライトを加え、繊維質は燻炭を加えて土を混ぜ、 さらに何度か土を堀り反して数日間は空気と直射日光に触れさせておきます。


【!恐怖のピートモス!】
ピートモスやミズゴケは保水性が高いように思えますが、完全に乾燥させてしまうと水を弾くようになってしまいます。
また、ピートモスをよくほぐさずに塊のまま混ぜても水をはじいてしまいます。 こうなると養分も流れて行ってしまうので、土壌資材として使うには難しくなります。
市販の園芸用土・配合土などにもかなりの割合で含まれているので念のため注意してください。
土に混ぜる際はよくほぐして丁寧に混ぜ、全体に均一になじませるようにします。


【!恐怖の砕石!】……
地面が泥だらけの時によくまかれる砕石ですが、よく考えないでまくと地面にめり込んで沈んでいきます。
こうなると次に掘り起こすときに大型のスコップが地面に刺さりません。
一粒一粒小さなスコップと手で取り除く羽目になりますが、 地面が粘土だとちょうど目地のようにぎっしりと石を固めてしまって取り除きにくくなります。
粘土に砕石だけはまかないようにしましょう。本気で懲ります。
どうしてもまく場合はシートなどを張ってその上に敷き詰めるようにします。

【おまけ】より効果を上げるために

【土壌改良材も作ってしまおう】

ある程度の広さを土壌改良するとなると一日では終わらないと思いますが、その時間を使って同時に土壌改良材も作ってしまいましょう。
市販の土壌改良材は必ずしも粘土向けというわけではないので購入する場合はよく確認して購入しましょう。
自分で作ると粘土質にあった性質のものを安価で大量に作れるので、広範囲の庭に混ぜても足りる量を確保できます。
作った土壌改良材も混ぜ込めばより粘土質の庭も一層よい具合に改善できます。

土壌改良剤を作るには、大型の素焼きの植木鉢を使うか、あるいは庭の別の場所に大きな穴を掘って容器代わりにします。
容器は通気性を確保して水分を逃がす必要があるので樹脂製の植木鉢は避けてください。
容器が確保できたら以下の資材を順を追って混ぜてください。


【1】大量のピートモス+草木灰+水
ピートモスは細かな植物性繊維なのでとても有用ですが酸性が強いので草木灰で中和します。
ピートモスの色は明るい茶色ですが、全体を混ぜたときに色味が少し変わる程度の量まで草木灰を混ぜます。
灰が浮遊して作業しにくいので少量の水をまくとよいでしょう。
全体を均一に混ぜてください。


【2】庭の粘土+川砂+ソバ殻
続いて庭の粘土を加えます。目分量でピートモスの1/3くらいで良いでしょう。
川砂は少量、全体の1割くらいで大丈夫です。
粘土を細かくほぐし、少しずつ水を振りまきながら全体を均一に混ぜます。
手袋をはめて両手でこすり合わせるようにすると粘土がほぐれやすくなります。
もし入手できればソバ殻を混ぜると空気の入る隙間が増えるので1割程度混ぜてください。
なおモミ殻は分解しにくいうえに酸性が強いので今回は除外しています。
全体が良く混ざったら暖かい場所で数日寝かせます。
数日寝かせ、全体を混ぜてみてピートモスと土が良くなじんでいたら次の資材を加えます。
なじんでいない場合はさらに数日寝かせてください。


【3】有機肥料+燻炭+ゼオライト
良くなじんでいたら有機肥料と燻炭、ゼオライトを加えます。
すべて総量の1割くらいずつで良いでしょう。
有機肥料は微生物の発酵によって作られた肥料ですが、入手が難しい場合は腐葉土を大量投入してください。
ゼオライトは顆粒状の物質で、根腐れ防止剤の名前で販売されていることもあります。
入手できない場合は極細粒の軽石でも良いでしょう。 燻炭も多孔質で微生物の定着に役立つうえ、ゆっくりと酸性を中和する働きがあります。
これらを水を少しずつ加えながら全体を均一に混ぜます。
全体が良く混ざったらまた暖かい場所で数日寝かせます。
嫌気菌の繁殖を防ぐため、時折全体をかき混ぜておいてください。

→ 参考: 自分で有機肥料を作る


【※嫌気菌で発酵してしまった場合】
失敗すると嫌気菌が繁殖して発酵してしまうことがあります。
古くよどんだ花瓶の水のニオイがしたら根腐れ菌が繁殖した証拠です。
その場合は何度もかき混ぜて空気によく触れるようにし、少し乾かします。
多少乾いたら【4】の資材を混ぜて、数日間は混ぜながら様子を見ます。
ニオイが消えたら再度、有機肥料とゼオライトを加えてよく混ぜ、数日様子を見ます。


【4】川砂+山砂+小粒の軽石
全体がなじんだら通気性と排水性の確保のために顆粒状の物質を加えます。
3までの段階では繊維質のせいでかなりの保水力となっているため、そのままでは使えません。
川砂を再度、全体の1割程度混ぜます。 さっくりと混ぜ合わせたら山砂(桐生砂や鹿沼土などの総称)と小粒の軽石を合わせて3割程度の量を混ぜます。
全体を均一に混ぜたら再び湿らせて数日暖かいところで寝かせて完成です。


【使い方】
完成したら土壌改良したい場所の土に混ぜるだけです。
粘土の庭の場合、このページの上のほうで紹介したように土を掘り返しながら資材を混ぜていくと思いますが、 その時に一緒に混ぜると良いでしょう。


【ポイント】
粘土をほぐすには有用な微生物の住みかを確保するのが良いのですが、その住みかとなるのが多孔質の物質と植物の繊維です。
繊維は微生物が分解して有効な物質になるので、ある程度の量があったほうが良いでしょう。
腐葉土であれば繊維質を含みつつ発酵しているのでとても有効なのですが、見た目の量の割には繊維は少ないです。


ピートモスはほとんど繊維なので粘土対策には非常に有用なのですが、とても保水性が強く、 そのままですと害になることのほうが多いので扱いが難しい部類です。
また、本来ピートモスはなかなか分解されない資材となります。
上記の方法であればピートモスを土になじませつつ、微生物の住みかにしながら分解も期待できる材料にすることができます。
なおピートモスは酸性が強いので中和するアルカリ性の物質が必須となりますが、石灰だと加減が難しいので草木灰がおすすめです。


有機肥料の微生物を繁殖させるためにある程度の水分が必要となりますが、ぐしょぐしょにする必要はありません。
全体がしっとりするくらいで良いでしょう。
ある程度の日数を寝かせて完成させますが、時折かき混ぜると失敗が少なくなります。


CHECK! 粘土用の土壌改良剤のポイント

植物性の繊維を微生物に分解させて作る



世の中にはこんなものも……


CHECK! 粘土を掘るのが大変というときに

粘土や泥を掘るとわかりますが、スコップに粘土がへばりついて作業がはかどりません。
が、世の中には便利な道具もあります。
なんと穴あきシャベル。土がスコップ部分にへばりつきにくいです。ただし砂にはあまり向きません。粘土特化型シャベルです。

穴あきスコップ丸型 穴開き シャベル
アルミ柄ショベル“ラクワン穴明丸”