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HOME > 実践編 > 土づくりについて
土があればとりあえず育つハーブですが、適した土壌の方がやはりよく育ちます。
逆に苦手とする土壌もあり、残念ながら枯れてしまうことも。
ここでは基本の土づくりと幾つかのパターンを紹介していきます。

【ハーブの育て方】土作り

鉢植えの場合は土を混ぜ合わせて植え付けるだけですが、地植えの場合はまず植え付け場所を決めておく必要があります。
場所が決まったら念入りに耕して土をほぐし、場合によっては砂や軽石を混ぜて土の通気性を確保します。
土の成分はこだわらなくて大丈夫ですが、とにかくまずは土をよくほぐしておくことが大切です。


Contents 目次

【Start】土づくりのポイント
 ・土づくりの前に

【Step:1】基本の土の性質と配合
 ・ややアルカリ性寄りで乾き気味の土
 ・やや酸性寄りで適度に湿った土
 ・軽い土
 ・保水性と排水性が良く、適度に肥えた土

【参考】関連情報
 ・土壌資材について
 ・粘土の場合
 ・粘土質の土壌を柔らかくする方法
 ・排水の対策


なお、このページで解説するのはハーブ向けの土づくりについてです。
粘土質の土壌を柔らかく改良する方法については詳細ページがありますのでご覧ください。
【関連記事】:粘土質の土壌を柔らかくする方法


【Start】土づくりのポイント

【土づくりの前に】

CHECK! 土づくりのポイント

・よくほぐしておく
・通気性を確保する
・フカフカの土が理想
・養分は控えめで大丈夫


植え付ける土は多少の顆粒構造と繊維質を含み、よく掘り返してほぐされた状態を理想とします。
また、通気性と適度な排水性も必要となり、これらを兼ね備えた土の状態は軽い土と表現されることもあります。
大抵のハーブは軽い土を好みます。


葉物野菜と違い、多くのハーブは肥料に関してはさほど必要ありません。
あまり肥料が多いと葉ばかり育って花がつきにくくなりますので、野菜系の葉を収穫するタイプのハーブ以外は肥料を控えめにします。
また、肥料が過多になると地中で雑菌が繁殖しやすくなりますし、根が傷む原因にもなります。
植え付けの際は多少の腐葉土を混ぜる程度で十分です。
鉢植えの場合は植え替えのタイミングで多少の養分を補給すれば十分です。


なお、地面に植え付ける時に苗の根鉢の大きさだけの穴を掘る方が多いですが、根はどんどん広がっていきますので、 可能であれば少し広めに耕しておきます。
目安としては枝や葉が広がっている範囲となります。


地面が粘土の場合は詳細ページがありますのでご覧ください。
《関連記事》  粘土質の土壌を柔らかくする方法
《関連記事》  各土壌資材についてはこちらのページで詳しく解説しています


【Step:1】基本の土の性質と配合

【どんな性質にすればいい?】

土は色々な性質がありますが、植物が育つにあたっては通気性を確保しておくと失敗が少なくなります。
ハーブに関しては植物の種類ごとに適した土がありますが、 なじみのあるハーブでいえば、水はけがよく肥料分も控えめの土を好むタイプが多くみられます。
基本パターンをいくつか挙げてみます。


CHECK! よくあるパターンは?

・ややアルカリ性寄りで乾き気味の土
・やや酸性寄りで適度に湿った土
・軽い土
・保水性と排水性が良く、適度に肥えた土


それでは、それぞれのタイプの土について詳しくみていきましょう。


【1.ややアルカリ性寄りで乾き気味の土】

ローズマリーやタイム、ラベンダーなど人気のハーブの多くがこのタイプの土を好みます。
乾き気味の土というのは湿っていないという意味ではなく、排水性が良く、 濡れても乾きやすい土という認識で良いでしょう。
このタイプは肥料も少なめを好みます。


CHECK! このタイプの土のポイント

・排水性と通気性を高めに
・顆粒構造や多孔質を多めに混ぜる
・手軽に済ませるならハーブ用土×サボテン用土
・アルカリ寄りにするには炭や灰を混ぜる


CHECK! 配合例

【土の全量を10とした場合】
ベース用土:5/軽石:2/川砂:1/山砂:1/腐葉土:1
分量外として草木灰など:少々


土は庭土や市販の配合土をベースに、小粒の軽石・川砂・山砂(桐生砂もしくは鹿沼土)・腐葉土を混ぜたものが使いやすくておすすめです。
割合は全量を10とした場合、ベースの土を5割とし、他の材料の合計も5割となるくらいが良いでしょう。
これは厳密な割合でなくて大丈夫です。
市販の配合用土で手軽に改良するには、ハーブ用土にサボテンもしくは多肉植物用の土を混ぜると排水性が良くなります。


アルカリ性寄りにするためには、植え付けの数日前に石灰を少量混ぜ込むか、配合の際に草木灰や燻炭を加えます。
燻炭の場合は石灰や草木灰より多めに混ぜ込みます。
肥料はあまり必要としないので、ベースの土に含まれている分と配合した腐葉土で大丈夫です。


【2.やや酸性寄りで適度に湿った土】

上の【1】の逆タイプで、日本の山野や庭土に多いタイプです。
寄せ植えの際は【1】の土を好む植物と混植すると生育が落ちるので注意。
ハーブの中ではこのタイプを好むものはやや少なめですが、 寄せ植えに使いやすい代表的なハーブ(ワイルドストロベリーやチャイブなど) も含まれるので一応扱えるようにしておくと便利です。


CHECK! このタイプの土のポイント

・排水性と通気性は必要
・適当に混ぜていれば酸性になる
・多少の繊維質を加えると水持ちがよくなる
・少量の肥料を好む
・手軽に済ませるならハーブ用土×ブルーベリー用土


CHECK! 配合例

【土の全量を10とした場合】
ベース用土:5/赤玉土:2/山砂:1/腐葉土:2


よく使われる赤玉土・鹿沼土・腐葉土・もみ殻などは酸性寄りでピートモスも酸性なので、 適当に園芸用土を配合していると大抵は酸性寄りになります。
また、日本の土壌は全体的にやや酸性寄りなので、庭土を使う分にはまず問題ありません。


問題は適度に湿ったというところで、極度のジメジメは苦手です。
また、湿気を好む植物でも常時同じ水が居座っていると根腐れの危険があります。
常に湿っていても新しい水と入れ替わる必要があります。
そのためにはある程度の排水性が必要となります。


排水性と保水性の両方を補うには、酸性用土の中では山砂(鹿沼土・桐生砂など)が排水性の資材として優秀です。
また、この手の土を好むハーブは一般的には肥料はあまり必要とないとされますが、 育ててみた感想としてはむしろ逆で、少量の肥料を季節ごとに追加したほうが生育が良いです。
保水性と養分を調整するには腐葉土が使いやすくて良いでしょう。


なおハーブガーデン風にする場合、ややアルカリ寄りの土壌を好むハーブが多いため、近くにそのようなエリアがあると時間経過とともに酸性度が薄れてきます。
その場合はたまにピートモス等を少量追加で加えて混ぜ込むと良いです。
市販の園芸用土ではブルーベリーの土や山野草用の土などを混ぜても良いでしょう。


また、酸性用土は日本の国土に多いタイプの土ですので、アルカリ性寄りの土にするのが難しい場合は、 酸性土壌を好むタイプのハーブを植えれば大丈夫でしょう。
【関連記事】:酸性土壌を好むハーブ


【3.軽い土】

よく見かける表記ですが、軽いというのは重量のことではありません。
粘土のようなカチコチの塊にならず、よくほぐれていて、通気性の良い土という認識で良いでしょう。
軽く水はけのよい土、とか、軽くて地味の肥えた土、などというように使われる言葉です。


CHECK! このタイプの土のポイント

・排水性と通気性を高める
・よくほぐれている
・顆粒構造と繊維質を含む
・養分は腐葉土で十分


CHECK! 配合例

【土の全量を10とした場合】
ベース用土:4/軽石:1/川砂:2/山砂:1/腐葉土:2
分量外としてピートモス


川砂を入れると土がほぐれやすくなるため、ベースの土が粘土質の場合は川砂の割合を増やします。
土の粒子が細かすぎると粘土のようになってしまうので、小粒の軽石などの多孔質や、山砂(鹿沼土や桐生砂等)の顆粒状の用土を加えます。
多少の養分と繊維質も必要なため、腐葉土を加えてよく混ぜます。
養分は堆肥等を大量に入れると重い土となりますので控えめにします。


軽い土にするために細かな繊維質が必要になりますが、ピートモスは酸性が強いため、草木灰で中和するか、 中性のココナッツピートなどを利用すると良いでしょう。
これらの注意点として、水分保持性能が強力である反面、一度乾燥すると水を弾くようになってしまうため、 大量投入は避けたほうが無難です。
そのため、扱いに慣れないうちは分量外として、ほんの少量を加える程度にしておいたほうが良いでしょう。
なお市販の培養土をベースに使う場合は最初からピートモスが入っていることが多いため、ピートモスは追加で加えないほうが良いです。


【4.保水性と排水性が良く、適度に肥えた土】

保水性と排水性を両立するという矛盾を感じますが、 実の所、普通の土です。可もなく不可もなく、万能ではあります。
大抵のハーブがそこそこ育ちます。


CHECK! このタイプの土のポイント

・いわゆる普通の土
・市販のハーブ用土は大抵このタイプ
・大抵のハーブがそこそこ育つ


市販の大抵のハーブ用土はこのタイプの土になっています。
あとは必要に応じ、アルカリ寄りにするには灰などを、酸性にするには赤玉土やピートモスを混ぜるなどして調整します。


自分で配合する場合は市販のハーブ用土や庭土をベースに、排水性を高める場合は小粒の軽石や川砂を、 保水性を高めるにはピートモスや腐葉土を加えます。
ただしピートモスは酸性が強めなので、使用する場合は草木灰などで中和します。
排水性と保水性の両方を備える資材としては、桐生砂や燻炭、小粒のバークチップなどがあります。
市販のハーブ用土は意外と繊維質が多く、逆に顆粒構造の配合が少なめなので、軽石や桐生砂などを多めに混ぜるようにします。