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主に一年草・二年草のハーブになりますが、種を取ることができるものもあります。
もちろん多年草・低木のハーブも種をつけるものがあります。
比較的種を取りやすいハーブとその収穫について簡単に紹介します。

メイン画像:ハーブの花

種を取る場合

スパイスなどに使う目的で収穫する場合や、翌年以降の種まきのためには種を収穫します。
また、収穫には株を守るために不要な種を取り除く目的もあります。
ここでは種を利用するために収穫することを前提で解説します。



【Start】種の収穫について

【種を収穫しやすいタイプ】

種を実らせるハーブはいろいろありますが、種の収穫しやすい種類というものもあります。
また、種が良く熟する確率を上げる条件もあります。
以下に挙げるタイプは種が実りやすい傾向にあります。


CHECK! 種を収穫しやすいタイプ

・暖かい季節に種が熟するハーブ
・こぼれ種で増えるハーブ
・蜜源となる植物
・花が多いハーブ
・セリ科とアブラナ科は種が実りやすい


植物の種類によっても収穫のしやすいものがあります。
基本的に暖かい季節に種が熟する植物のほうが種の収穫に向いています。
ハーブの説明でこぼれダネで増えるというタイプはだいたい種も収穫しやすいです。


種は虫による受粉で確率が上がるものも多いため、昆虫の活動する季節のほうが実りやすくなります。
特に花が蜜源となり、昆虫に好まれるタイプは種が実りやすい傾向があります。


もともと種を収穫しやすい植物もあり、例えばアブラナ科のハーブとセリ科のハーブは収穫しやすいです。
大前提として、花の数が多い植物のほうが種を採れる確率は高く、小さな花が穂のようにぎっしり咲くタイプも種が採れやすくなります。


【収穫のタイミング】

CHECK! 収穫のタイミング

・よく膨らませてから収穫する
・種が黒や茶色になったらサイン
・可能なら茶色く枯れてから収穫する
・穂になるタイプは穂ごと刈り取る
・花が枯れた時点で数を減らしておく


種は良く熟してから収穫しますが、熟しているかどうかの見分けは、基本的には良く膨らんでいることになります。
種自体が膨らんだ後に黒く硬くなったり、包んでいるサヤや皮が茶色く変化するのも種が熟したサインになります。
そのため、可能であれば花穂が茶色く枯れる頃まで待てば大抵は良く熟しています。
ただ、あまり待ちすぎると種が自然とこぼれてしまいますので注意します。


種が採れるハーブは花数が多いものが多く、花が穂のように咲くタイプが主流となります。
この場合は花穂が枯れたら種をこぼさないように穂ごと刈り取ると良いでしょう。


花数が多くてもすべての花が種を実らすわけではなく、種が未熟なまま止まることも多いです。
そのため、種が実る兆候が出たら花穂の数を減らし、収穫したい花穂へ植物の体力を集中させると良いでしょう。


【用意するもの】

CHECK! 必要になるもの

・よく切れるハサミ
・シート類
・ビニール袋や紙袋
・密閉できる容器と乾燥材


【よく切れるハサミ】
花茎などは種が熟す頃には枯れて固くなり、切りにくくなります。
力を入れて無理に切ると、花茎を無駄に揺らし、せっかくの種がこぼれてしまいます。
よく切れるハサミを用意するか、ハサミが切れない場合は軽く研いで使います。


【シート類】
せっかくの種がこぼれてしまうのを防ぐため、地面にはシートを敷いておきます。
種はかなり細かいため、地面に落ちてしまうと拾うのは困難です。
こぼれ種から計画以上に生えてくるのを防ぐためにも有効です。


【ビニール袋や紙袋】
地面にシートを敷くほか、収穫したい花茎にビニール袋をかぶせ、その中で刈り取れば種がこぼれずに済みます。
紙袋でも良いでしょう。
また、いわゆるクラフト用紙の紙袋は、収穫した花穂や種を乾燥させる時にも便利です。


【密閉できる容器と乾燥材】
せっかく乾燥させた花穂や種が湿気を吸ってしまっては意味がありません。
特にスパイスとして使いたい種は乾いていた方が良いでしょう。
湿気を通さない密閉容器に入れ、乾燥材を入れておきましょう。


【収穫の仕方】

種が熟したら、大抵の場合はまず花穂ごと刈り取ります。
この時にせっかくの種がこぼれないように下にシートを敷きます。
もしくはビニール袋などを植物にかぶせ、その中で刈り取ると良いでしょう。


CHECK! 収穫の仕方

・花穂や花茎ごと刈り取る
・シートや袋を使って種がこぼれないように
・通気性の良い紙袋などに入れて陰干し
・袋の中で振ると種がこぼれる


なお、花穂や花茎を刈り取る際は、よく切れるハサミやカッターを使います。
切れにくい刃物を使うと手に力を入れたときに花穂が揺れ、種がこぼれてしまいます。
よく切れる刃物を用意するか、切れにくい時は刃を研いでからのほうが良いでしょう。


ページ下部にてハーブごとの収穫の方法を紹介します。


【種の保存方法】

種は収穫したら日の当たらないやや涼しめの場所へ保管します。
花穂や花茎ごと陰干ししてそのまま吊るしておいても良いですが、こぼれ落ちるのを防ぐために通気性のある紙袋を使ったほうが良いでしょう。
ただし湿気の多い季節に空気中の湿気を吸ってしまうこともありますので長期間の保存には向きません。
長期間保存したい場合は種だけ取り出したほうが良いでしょう。


種を花穂から取り出して種だけで保存する場合は、密閉できる瓶や小さなビニール袋に乾燥剤と共に入れ、 できるだけ暗く涼しい場所で保管します。


【株の保護のために種を取り除く場合】

種が実るにはかなりの体力を消耗するため、たくさんの種を付けると苗が傷んでしまいます。
そのため、種に利用目的がないならば種が実る前に取り除く方が賢明です。


花を鑑賞して楽しんだら、花が盛りを過ぎたら早目に花を摘み取ります。
花を早めに取り除くことで二番花や脇芽が出てくるハーブもありますので、 そのような種類は花が盛りを過ぎたら花茎の根元から刈り取ってしまいましょう。
花が枯れてからでは種の熟成が進んでしまいますので、花が枯れる前のほうが良いです。



【それぞれのハーブの収穫方法】

【種を収穫しやすいハーブ類とその収穫の方法】

もともと種を収穫しやすい植物もあり、例えばアブラナ科のハーブとセリ科のハーブは収穫しやすいです。
大前提として、花の数が多い植物のほうが種を採れる確率は高く、小さな花が穂のようにぎっしり咲くタイプも種が採れやすくなります。


【アブラナ科】ルッコラ・マスタード ほか

菜の花の仲間で菜種を採る種類もあるくらいで、種は取りやすいハーブです。
種はサヤに入っていますが、メインの中央の茎につくサヤの種が一番品質が良いです。
脇枝の花にも種は付きますが、品質は劣るので、メインの茎だけを採取するために脇枝は早めに取り除いてしまいましょう。


アブラナ科の種は、サヤが十分膨らみ、茶色くなったら完熟の頃合いです。
放置しているとサヤが裂けて種がこぼれますので、裂ける前に花茎ごと刈り取り、 種が落ちないように通気性のある紙袋等に入れて風通しの良い場所へ吊るして乾燥させます。
しばらくすると自然にサヤが裂けて袋に種が溜まっています。
サヤから種を取り出したい場合は十分乾燥してから袋ごと振ります。


【セリ科】イタリアンパセリ・スープセロリ ほか

イタリアンパセリやアニス、キャラウェイなど、キッチンハーブの多くが該当します。
脇枝の花にも種は付きますが、メインの中央の茎につくサヤの種が一番品質が良いです。
種を採るのは1枝だけでも十分なため、メインの茎だけを残し、脇枝は早めに取り除いてしまいましょう。
なお花茎がのびると葉の収穫はしにくくなりますので、種を採る株を1つだけ残し、他の株の花茎は取り除いても良いでしょう。


セリ科の種は、花が終わると先端部分に種ができます。
種が膨らみ、種を支える細い茎が茶色く枯れてきたら熟した頃合です。
スパイスに使うなら熟したほうが良いですが、翌年の種まきに使う場合は多少早目の収穫でも大丈夫です。
こぼれダネにならないうちに刈り取り、同じく通気性のある紙袋などに入れるか、 あるいは下に容器を置いてその上に逆さまに吊るして乾燥させます。
種をバラバラにしたい場合は乾燥してから袋の中で軽くもみます。


【キク科】ヤロウ(アキレア) ほか

キク科の花の場合、花びらではなく中心の黄色い部分に細かい花が集まっています。
熟すると中心部がバラバラになって細かい毛が生え、ひとつひとつに種がついているタイプが多いです。
ヤロウの場合は小さな花が密集して花房になっていますので、茎ごと刈り取ります。
どれも種が非常に細かく薄いため、ちょっとした空気の揺れで飛び散ってしまいますので注意が必要です。
風が当たらないよう、袋などをかぶせて収穫したほうが良いでしょう。
乾燥したら袋の外から揉むと種が剥がれます。


【シソ科】バジル・アニスヒソップ ほか

シソ科のハーブは大量にありますが、その中でも低木性よりも草本性のハーブのほうが種は採れやすく、発芽率も高い傾向にあります。
花が穂のように咲くものが多いため、花茎ごと刈り取り、よく乾燥させます。
こぼれないように袋やシートを活用しましょう。


花穂が枯れたら袋ごと振るか揉むかすると種が離れますが、 バジルの場合は種が熟してから雨などに当たると粘液で周辺にくっついて落ちにくくなっていますので、 手作業で取ることになります。


【チャイブ】

こちらも小さな花が穂のようになっていますので、花茎ごと刈り取ります。
1つの花の粒に3つ程度の薄い種が黒くなったら完熟です。
袋に入れて振ってもやや落ちにくいため、 残りは手作業で取ったほうが良いでしょう。


【ワイルドストロベリー】アレキサンドリアほか

ワイルドストロベリーでランナーが出ない種類(アレキサンドリアなど)の場合は、基本は株分けで増やしますが種でも増やせます。
果実が赤く熟し、表面に付着している種も丸々膨らんで茶色から赤の色をしていれば熟しています。
発芽率は良いので、そのまま果実から種を剥して湿った土に落としておけば芽が出てきます。


【ローズマリー】

ローズマリーの場合、花を放置しているとガクの中が膨らむものが出てきます。
膨らまないガクは取り除きます。
膨らんだガクの中の種が黒くなれば熟しているので、ガクごとつまみ取ります。
なお、あまり種を実らせると株が弱りますので、多花性の品種や四季咲きの品種は種の数を減らして管理します。


この他、種が採れやすいのはサラダバーネット、バーべインなどがあります。