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ハーブはアルカリ土壌を好むとされることが多いですが、日本の土壌の大半は弱酸性寄り。
特に山間部や、上流に酸性の温泉がある場所、火山が近いなどの場所は酸性度が強いこともあります。
中和したい場合は土にアルカリ性資材を混ぜてPHを調整しましょう。

酸性の場合

酸性土壌のPHを中性〜アルカリ性寄りにするには、アルカリ性資材を土に混ぜてなじませます。
アルカリ性資材といわれてもピンと来ないかもしれませんが、園芸用のPH調整剤はいろいろなものが市販されています。
ここではそれらを使って酸性土壌を改良する方法を説明します。


Contents 目次

【土壌対策】酸性土壌を改良しよう
 ・アルカリ性資材を混ぜよう
 ・アルカリ性資材の種類は?
 ・アルカリ性を保つには?

【豆知識】酸性土壌の豆知識
 ・酸性でも大丈夫なハーブは?
 ・酸性土壌の見極めは?
 ・何で酸性になるの?
 ・酸性に戻したい場合は?

【まとめ】
 ・まとめ
 ・関連記事


【土壌対策】酸性土壌を改良しよう

【アルカリ性資材を混ぜよう】

酸性土壌のPHを改良するにはアルカリ性資材を混ぜる必要があります。
園芸では一般に苦土石灰が使われますが、より手軽に使える植物灰(草木灰)、燻炭などもおすすめです。
極端なアルカリ性にしてしまうと土壌や植物の生育に害が出ることがあるため、中性寄り、 あるいはごくわずかにアルカリ性寄りの土壌を目指して改良しましょう。


土のPHを中和する方法は簡単で、アルカリ性資材を入手したらハーブを植え付けたい場所の土に混ぜてなじませるだけです。
混ぜる資材のアルカリ性の強さや性質によって混ぜる量や土となじむ時間が違いますので注意しましょう。
それぞれの資材の違いは次の項目で説明します。


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【アルカリ性資材の種類は?】

園芸で一般的に使われるPH調整剤はいくつかあります。
アルカリ寄りにするものは大別すると石灰と炭があります。
代表的なものを挙げてみましょう。


【苦土石灰(くどせっかい)】

最も良く使われるアルカリ性資材が苦土石灰です。
白い粉末や顆粒状のものが一般的です。
アルカリ性の性質が強く、あまり大量に混ぜ込むと土が固くなってしまい、植物の生育が悪くなるのでごく少量を使います。
即効性はありますが前述の通り性質が強いため、ハーブの植え付け時ではなく、1〜2週間程度前にあらかじめ土に混ぜてなじませておきます。
植え付けに赤玉土や鹿沼土、ピートモスを使った場合はかなり酸性寄りなので、アルカリ資材で中和したほうが良いでしょう。

※アルカリを好むものの石灰分は嫌うという植物もあるため、アルカリ性資材のすべてを石灰で賄うのはやめたほうが良いです。
※石灰分を嫌うタイプの場合は、燻炭などの植物性のアルカリ性資材で中和します。


【燻炭(くんたん)】

燻炭は植物性の資材で、主にモミ殻の燻炭やソバ殻の燻炭が使われます。
多孔質で通気性と排水性も良く、PH調整だけでなく排水・保水性資材としても重宝されます。
効き目はゆっくりで穏やかなため植え付け時に混ぜても大丈夫ですが、効果が出るまでやや時間がかかるため、 時間に余裕があるならあらかじめ土に混ぜておいた方が良いでしょう。
苦土石灰と違い、多少多めに混ぜても大丈夫です。

※燻炭はアルカリ性ですが、モミ殻のままでは酸性なので代用はできません。


【貝殻灰】カキ殻灰/有機石灰

カキなどの貝殻を焼いて作られた有機石灰です。
リン酸やカルシウムなどのミネラルを含むため肥料としても優れています。
多孔質で通気性と排水性も良く、PH調整だけでなく排水・保水性資材としても重宝されます。
効き目はゆっくりで穏やかなため、植え付け時に混ぜても大丈夫ですが、効果が出るまでやや時間がかかるため、 時間に余裕があるならあらかじめ土に混ぜておいた方が良いでしょう。

※アルカリを好むものの石灰分は嫌うという植物の場合は念のため使用を避けます。


【植物灰】草木灰

木や草を燃やした灰です。
炭ではなく灰で、細かな粉末です。
アルカリ性の性質は意外と強いですが害が出ることは少なく、苦土石灰よりも気軽に使いやすい資材です。
即効性もあるため植え付け時に混ぜ込んでも大丈夫です。
あまりにも軽く細かい粉末のため混ぜ込むときに舞い上がりやすいので、水をかけながら混ぜると良いでしょう。 多少の養分も含みます。


【木炭・竹炭】

園芸資材としてよりは燃料や脱臭剤としてのほうがなじみ深いと思われますが、PH調整剤としても使われます。
燃料ではないので細かく砕けており、主に土壌の排水性や通気性を高めるための資材としても利用されています。
雑菌の抑制も期待され、根腐れ対策などにも使われます。
粉末の灰より性質を長時間保持できます。


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【アルカリ性を保つには?】

土壌のPHをアルカリ性寄りにしても、時間が経つと中性に戻り、やがては酸性寄りになってきます。
せっかくアルカリ性寄りにした状態なので長く保ちたいものです。
そのためには資材の混ぜ方にポイントがあります。


CHECK! アルカリ性を保つポイント

・資材には即効性と緩効性がある
・即効性と緩効性の時間差を利用する
・植え替えや肥料の追加時などに少量プラス
・土が固くなったら中性の植物繊維をプラス


アルカリ性寄りの状態を長く保つには、即効性のアルカリ性資材と緩効性のものを両方混ぜ込みます。
即効性の資材で素早くアルカリ性寄りにしつつ、緩効性の資材でゆっくりとアルカリ性の成分を溶け出すようにします。


その方法は、苦土石灰や草木灰などの即効性のある資材で素早く中和しつつ、緩効性の燻炭やカキ殻灰も一緒に混ぜ込むことです。
燻炭やカキ殻灰はゆっくりとアルカリ性にしてくれるので、時間差が生じます。
特にカキ殻灰は成分が時間をかけて溶けだしてくるので、アルカリの性質を長く保ちたい場合にはよい資材です。


一度アルカリ性資材を混ぜたあとは、肥料を与えるときなどに追加で緩効性のアルカリ性資材を少量混ぜておけば大丈夫でしょう。


なお、あまり土にアルカリ性資材(特に石灰)を混ぜると、土が硬くなりがちで、養分も不足気味になりやすく、 保水能力も下がる傾向になります。
その場合は腐葉土や中性のココナッツピートなどの植物繊維を混ぜ、土をほぐれやすくします。


【豆知識】酸性土壌の豆知識

【酸性でも大丈夫なハーブは?】

多くのハーブはアルカリ性を好むとされますが、実際には中性程度でも育ちます。
中には酸性でも大丈夫なものや酸性を好むタイプもあります。
こちらでは比較的酸性でも大丈夫なタイプを紹介します。
《 関連記事 》 酸性土壌を好むハーブ


イタリアンパセリとチャイブは、アルカリ性を好むとされているものの実際には中性よりやや酸性気味でも大丈夫です。
この2種類はキッチンハーブとしても大活躍します。


ダンデリオン、グレコマも酸性寄りの土地でも問題なく育ちます。
これはそれぞれ西洋タンポポ、カキドオシですので放置しておくと雑草化します。
ヤロウ(アキレア)も大丈夫です。


バラ科のハーブはやや酸性寄りの土壌でも育つものが多いです。
ワイルドストロベリーが育てやすいですが、アルケミラ、サラダバーネットも大丈夫です。
この3種類は寒さにもとても強いので寒冷地にはお勧めです。
ハーブに近い樹木ですと、スイートブライアーなどの野バラ系統や果樹のラズベリーも大丈夫です。


ツツジ科は酸性がやや強めでも育ちます。
ブルーベリーが代表的ですが、クランベリー、コケモモもツツジ科です。


ハーブで酸性土壌を好むものとして有名なのはソレルです。
日本ではスイバ(スカンポ)と呼ばれますが、頑丈な性質から雑草化すると手ごわい相手となります。


なお酸性土壌を好む、もしくは酸性寄りでも大丈夫というハーブについての詳細はこちらのページで紹介していますのでご一読ください。
《 関連記事 》 酸性土壌を好むハーブ


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【酸性土壌の見極めは?】

基本的に日本の土壌は酸性寄りの場所が多いと言われています。
火山や温泉の近く、あるいは湿地のような場所は土壌の酸性度が高くなる傾向になります。
そのため、山間は酸性土壌の可能性が高いでしょう。


酸性土壌の見極めはPHを測ればわかります。
その他の方法としては、生えている植物で見当を付けるという方法もあります。


雑草ではスギナやギシギシ、スイバ、ヘビイチゴが勢いよく繁殖している場所は酸性寄りの可能性が高いです。
山間ではレンゲツツジや野バラ、椿、松、栗などがやや酸性寄りの場所を好みます。
このような樹木が群生しているかどうかでも判断できます。


湿り気が過剰な場所の場合、周辺や下草の根元に水苔が生えている場合は酸性が強めとなります。
酸性傾向だと水苔が勝手に生えてくるので、逆に水苔が全く見当たらなければ酸性はあまり強くないと判断できます。
基本的に水苔は一定以上の標高の寒冷地に生えてくるので、温暖地の平野部や河口部などの湿地帯ではあまり心配いりません。



【何で酸性になるの?】

土壌が徐々に酸性に傾いていく要因は雨によるものです。
いわゆる酸性雨です。
酸性雨は人工的な環境が原因のものもありますが、日本の場合は元々あちこちに火山が多いため、それらも大きな要因となっています。
火山ガスや水蒸気には硫酸などが含まれています。
火山は噴火しないまでも常に薄く噴煙や水蒸気を上げているため、酸性雨や酸性霧となって周辺に広がって降り注ぎます。


また、火山地帯は元々土壌が酸性なので、雨などで酸性の土を含んだ水が上流から流れてくることもあります。
目に見える川や谷筋がなくでも雨のたびに上から水分が流れ降りてくるため、常に酸性の水分が土壌に供給されています。
今は活動していない火山も多く、自宅近隣をただの山の麓だと思っていたら実は火山で昔から酸性土壌ということも十分あり得ます。


火山以外では、ある程度の標高があって涼しいような場所では湿地に泥炭やミズゴケが積もっている場合があります。
このような場所の水質も酸性傾向になるため、自宅の上流方面・斜面の上に湿地がある場合はやはり酸性の水分が供給されることになります。



【酸性に戻したい場合は?】

アルカリ性寄りにした土壌を酸性に戻したい場合、一番簡単なのは酸性土壌の資材(ピートモスなど)を混ぜることです。
ピートモスはかなり酸性が強いので手っ取り早いです。
半面、その特徴として保水性が高く、水はけに難が出る場合があります。
水はけが心配な場合はピートモスはごく少量にとどめ、鹿沼土や硬質の赤玉土を混ぜると良いでしょう。


酸性に戻す理由が例えばブルーベリーなどの果樹を育てたいという場合は、市販されているブルーベリー用土が酸性なので混ぜてしまいましょう。
もしくはツツジやサツキ用の培養土でも良いでしょう。


基本的には雨や土壌の影響で、何もしなくても時間経過とともに徐々に酸性寄りになっていきます。
ただし、緩効性のアルカリ性資材をたくさん混ぜてあるという場合は季節ごとに酸性資材を混ぜると良いでしょう。



【まとめ】

CHECK! 酸性の場合

・アルカリ性資材を混ぜる
・資材の即効性と緩効性の性質を利用する
・土が固くなったら植物繊維を
・石灰分には注意が必要な場合も


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