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植物を育てているとどうしても使用済みの土が出ます。
あるいは、庭に穴や溝を掘って余った土が山になることもあります。
処分に困る土は再生させて使ってしまいましょう。

古い土を再生して使う方法

古い土を再生して使う方法

使用済みの土はそのまま使うのではなく、状態を改善、再生する必要があります。
不要な根やごみを取り除き、雑菌の繁殖を抑えたら顆粒の状態を改善します。
ここではその詳しい方法を解説します。



【Start】土を使う準備

【まずは不要なものを取り除こう】

土を利用するにあたって不要なものはできる限り取り除いておきましょう。
例えば前に植わっていた植物の根や、雑草、邪魔な石などです。
特に雑草の根は念入りに取り除きます。


CHECK! 古い土の事前チェック

・古い根が大量に入っていないか
・雑草が入り込んでいないか
・余計な石が入っていないか
・害のある菌が繁殖していないか
・ふるいを使うと作業が楽


まず取り除くのは以前に植わっていた植物の古い根です。
特に根が完全に枯れ切っていない場合は土の中で腐りにくく分解されないので取り除きましょう。
根元の落ち葉なども虫の巣になっていることがあるので取り除きます。


雑草は再生力が強く、根が残っているとそこから復活してきますのでしっかり抜き取っておきます。
石は軽石や桐生砂などの顆粒はそのまま使いますが、庭土などを使って余分な石が入っていた場合は取り除いておきます。


古い根や余分な石を一つ一つ取り除くのは大変というときは、園芸用の【ふるい】を使うと作業が楽です。
網目は細かくなくて大丈夫です。粗目でも十分でしょう。
土をふるい分けると、細かな土は下に落ち、ふるいの上には顆粒状の物質や石、枝などが残ります。
石などは鉢底石や軽石などの使える物もありますので必要に応じて取っておきましょう。
細かな砂利などは元通りに混ぜてしまって大丈夫です。
《 参考 》  園芸用ふるい/替え網3枚入


なお、ふるいの網に古い根や繊維などが絡みついてしまい、取ろうと思うとなかなか取れにくいものですが、 そのような場合はふるいを逆さにして(網底が上になる)地面に数度、軽く打ち付けると取ることができます。


【殺菌や消毒はどうする?】

通常は殺菌や消毒の必要はありませんが、注意が必要なのは、前に植わっていた植物がセンチュウにやられた場合や、 根腐れした場合、あるいは各種カビや病気などで枯れた場合の土です。


消毒に関してはいろいろな薬品が売っていますが、ハーブの場合は料理用に使うこともあるため、薬品を使いたくないということもあります。
その場合は自然の力を利用します。


まず強い日光と空気に当てて乾かしましょう。
晴天の日にビニール袋などに入れて薄く伸ばしておくと良いです。
時折混ぜながら数日間は日光と熱で乾かします。
真夏の日などはかなりの威力で消毒殺菌になります。


より念入りにするなら一度袋を縛って密封し、真夏の日光に1シーズン晒します。
コンクリートやアスファルトの上だとなお良いです。
内部がかなりの温度に達するのである程度の雑菌や虫を退治することができます。
ただしあまり長時間密封すると嫌気菌が発生しますので、時折袋の口を開けて混ぜ返すようにします。


害のない殺菌・消毒資材を加えるなら、雑菌の繁殖を抑える燻炭、根腐れ菌対策になるゼオライトなどを混ぜるのも良いでしょう。
《 関連記事 》 土壌資材 > ゼオライト


なおセンチュウがいたことがある土は、上記のような対策に加えてマリーゴールドやピレスラム(除虫菊)の根(花や葉などでもOK)を 土に混ぜ込んでも良いでしょう。
これらは生きている間は根などから成分を分泌してくれるのでシーズンの間は楽しみ、枯れたら刈り取って土に漉き込みます。
《 関連記事 》 【ハーブ】ピレスラム【除虫菊】
《 関連記事 》 マリーゴールド ストロベリーブロンド3.5号ポット 2株セット


なおマリーゴールドは多年草タイプもありますが温暖地向けとなります。
ピレスラムは寒冷地でも大丈夫です。


【Step:1】土の質を再生しよう

【土の状態を見分けよう】

余分なものが取り除けたら土を良くほぐして土の粒の状態を見てください。
この時、細かい粉のような土ばかりだったり、逆に砂利のような大きめの粒だけだったりしたら注意です。
また、土が乾燥とは風合いの違うパサつきを感じるときも注意が必要です。


土の状態を確かめたら、改善のために土壌資材を混ぜます。
次の項で状態ごとの対策を説明します。


【土の状態を改善しよう】

土は団粒構造をもった状態になればベストです。
団粒構造を作るには、有益な微生物とその食物と住みかになる繊維、ある程度の顆粒状の土が必要となります。
再生したい土の状態に応じて混ぜるものを決めましょう。
《 関連記事 》 土づくりについて
《 関連記事 》 土壌資材


【細かい粉のような土しかない】 鉢植えによく使われる小粒の赤玉土は、しばらく植物を植えていると顆粒が分解されて粉のようになってきます。
粉になってしまうと水分が加わった時に粘土のような泥になってしまいます。
このようなごく細かい土ばかりになっていたら、川砂を少量と、鹿沼土や軽石などの顆粒状の土を混ぜましょう。


【砂利のような大粒しかない】 上のパターンとは逆に大きな粒しか残っていないという場合もあります。
水やりの時などに細かい土が流されてしまうとこのような状態になり得ます。
また、このような土は栄養分も残っていません。
大きな顆粒状の土しか残っていない場合は、小玉の赤玉土や庭土、あるいは市販の園芸用土などのいわゆる土と、腐葉土を加えましょう。


【土がスカスカ】 顆粒の大きさに関わらず、何年も植え替えずに植物が植わっていたような土は大抵の場合スカスカでぼろぼろの土となっています。
根詰まりしていたような場合は枯れた根の塊を振るとようやく土っぽいものが少しこぼれてくるだけなどということも。
この場合は必要な養分も微生物もなくなっているので、腐葉土や市販の園芸用土を混ぜ込みます。


【土がパサパサ】 手で触れたときに乾燥とは違う乾き方の場合、土の中の有用な微生物が死滅していることがあります。
土は微生物が有機物を分解して状態を保っていますが、例えば病害虫の発生時に殺菌や消毒をした場合、 共存している有益な微生物まで全滅させてしまうことがあります。
地植えでも雑草対策などで熱湯散布をした場合も頻度によっては起こりえます。
土がパサパサの時は微生物を補充するために多めの腐葉土や、少量の有機肥料を混ぜ込んで土を寝かせましょう。


【土が粘土】 排水用に庭に溝を掘って出た残土を利用しようなどという時、大抵の場合、土が粘土質です。
粘土の場合は顆粒・多孔質の物質と繊維質を混ぜ合わせます。

《 関連記事 》 粘土の場合



【不足しているものを補おう 】

土の質がある程度改善したら、あとは養分と繊維質を補えばOKです。
繊維質を分解するために微生物も必要となります。
これらは主に腐葉土や有機肥料を混ぜることで補えます。


繊維質を混ぜた土 画像は粘土質の土にピートモス、そば殻、もみ殻の燻炭、そば殻の燻炭を混ぜたものです。
これらの繊維質を補った後、微生物の補充に有機肥料を加え、水で湿らせて寝かせます。


繊維質の代表的なものは腐葉土とピートモスです。
腐葉土は主に落葉樹を発酵させたもので、微生物の住みかにもなり、分解されると養分にもなります。
腐葉土は多少多めに混ぜると良いでしょう。


ピートモスはほとんどが繊維ですが、性質に癖があるため、多用は禁物です。
塊になっていると保水や排水に難が出るため、一度完全にほぐして土によく混ぜます。
酸性が強いため植物灰などで中和したほうが良いです。
燻炭を混ぜるのも良いでしょう。


養分に関しては肥料を大量に混ぜると養分過多で肥料焼けを起こしてしまうので、混ぜるのは少量にします。
有機肥料であれば作用がゆっくりで穏やかなものが多いので、肥料焼けが怖ければ有機肥料が良いでしょう。
肥料の扱いがわからない場合は、あれこれ混ぜるよりも土に市販の園芸用土を混ぜるのが簡単でオススメです。
《 参考 》 おすすめの園芸用土


なお養分と微生物を同時に補うには自分で有機肥料を作って加えるのが一番良いです。
有機肥料は微生物の働きが主要なため、土の再生にはとても適しています。 肥料は素焼の植木鉢ひとつで作れるので意外と簡単です。
《 関連記事 》 自分で肥料を作る方法


【手っ取り早く再生したい時は……】

土を良い状態に復活させるのは上記の通りですが、難しくない代わりに意外と手間がかかります。
古い土がどんな状態でも手っ取り早くそこそこの状態にしたい、という場合は以下の手順と分量で資材を混ぜましょう。


1.土から目立つゴミと古い根の塊だけ取り除き、太陽と風に数日さらしておく。
2.元の土に対して、市販の園芸用土2割、有機肥料1割、川砂とゼオライトを1割、草木灰か苦土石灰を少量加え、 水をかけて全体を良く混ぜたら暖かい場所で数日放置する。
3.数日放置して寝かせたらかき混ぜて完成。
《 関連記事 》 土壌資材



【まとめ】


CHECK! 古い土を再生するポイント

・根は取り除く
・虫や病気の害は日光と熱で消毒
・土の粒の状態に応じて資材を混ぜる
・繊維質と微生物が再生のカギ


【関連記事】

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