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ハーブを育てるに当たって、成長が良い時期や、いろいろな作業に適した時期があります。
意外と波があったり植物の種類によって異なるところもありますが、 ここでは一般的な一年のサイクルを追ってみたいと思います。

一年のサイクル

基本的に大抵の植物は春先から芽や根を伸ばし、初夏に旺盛に成長し、猛暑の時期は成長がやや止まります。
秋に涼しくなってくると再び成長し、晩秋から再び成長を止めます。
冬季は成長が止まりますが、厳寒地が原産の種類は成長するものもあります。

Contents 目次

【気候との関係】植物と気候との関係を把握しておこう
 ・気温との関係は?
 ・日照時間との関係は?
 ・発芽との関係は?

【12カ月の動き】一年の動きを把握しておこう
 ・各月ごとの動きは?
 ・1月   ・2月   ・3月   ・4月
 ・5月   ・6月   ・7月   ・8月
 ・9月   ・10月   ・11月   ・12月


【気候との関係】植物と気候との関係を把握しておこう

【気温との関係は?】

1月2月 3月 4月5月 6月 7月8月 9月 10月11月 12月
気温 極寒
日照 最短 最長 最短
生態 休眠 発芽 成長 停滞 成長 停滞休眠

ほとんどの植物は温度が暖かい時期に生長します。上の図ですと中〜高の季節となります。
枝や根が旺盛に伸びますので挿し芽はこの季節が適しています。
花は春の終わりから初夏にかけて咲くことが多く、二番花の場合は続けて咲くタイプと、 一度夏を挟んで秋口に咲くタイプがあります。


猛暑の季節は生育がやや衰え、極端な暑さが続くと弱ってくることもあります。
暑さに強い植物は暑い季節でも花を咲かせたり葉の数が増えたりと多少の成長はします。
秋に多少涼しくなると再び成長を始め、冬に備えて体力を温存します。
厳冬期は成長が止まるものがほとんどです。


なお、クランベリーなどのようにやや肌寒い時期に成長が活発になるタイプもあります。
また、ローズマリーは春先の成長開始が他の植物より早く、2月の終わりには新芽が動き始めます。
この時期に日当たりの悪い室内で育てていると日光不足で徒長する場合があります。


【日照時間との関係】

1月2月 3月 4月5月 6月 7月8月 9月 10月11月 12月
気温 極寒
日照 最短 最長 最短
生態 休眠 発芽 成長 停滞 成長 停滞休眠

多少のずれはありますが、大体気温と一緒に変動するのが日照時間です。
一部の植物は秋以降の日照の短さで翌年の花芽をつけるものがあります。
寒い時期に室内へ取り込んだ場合、夜遅くまで照明が当たらないように注意します。
屋外で街灯などの光が年間通して一晩中当たる場所では成長が悪くなることがあります。


【発芽との関係】

1月2月 3月 4月5月 6月 7月8月 9月 10月11月 12月
気温 極寒
日照 最短 最長 最短
生態 休眠 発芽 成長 停滞 成長 停滞休眠

種をまく場合には春撒きと秋まきがあります。
上の表では、発芽〜成長期に該当します。
春と秋のどちらも発芽しますが発芽率は春の方がやや高めです。
ただし、その後の経過に差があります。
また寒さに強いアブラナ科などの種は、冬でもストーブ等で温めておけば発芽します。


【※春撒きの場合※】
3月から4月、5月前半のGW付近までが種まきの適期となります。
それ以降でも発芽はしますが、突発的な暑さと乾燥で枯れてしまう場合があり、 発芽にある程度の熱が必要な綿などを除いてはゴールデーンウィーク前までくらいに種まきを終えておいた方が良いでしょう。
逆に暑さが苦手なタイプも5月以降は発芽しにくいので注意が必要です。
また、成長が遅い低木系ハーブは、猛暑の時期までに体力がつかず、枯れやすくなります。
春撒きに適するのは成長が早いハーブ・一年草・発芽に高温が必要な種類となります。


【※秋撒きの場合※】
9月から10月が秋の種まきの適期となります。
11月でも暖かい日が続けが発芽はしますが、すぐ涼しくなってしまうため成長がストップします。
この季節に撒くと冬を越す必要があるため、基本的に耐寒性が強い植物の種まきに限られてきます。
暑さが苦手なタイプや真夏を小さな芽で超せないタイプの植物は秋まきの方が良いでしょう。
芽の状態で冬を越し、春になると一気に成長を始めます。
また、発芽には一度寒い季節を過ごした方が発芽率が良くなるタイプがあります。
このようなものは秋のうちに撒いておき、土の中で一冬超すことになります。


【12カ月の動き】一年の動きを把握しておこう

【各月ごとの動きは?】

1月2月 3月 4月5月 6月 7月8月 9月 10月11月 12月
気温 極寒
日照 最短 最長 最短
生態 休眠 発芽 成長 停滞 成長 停滞休眠

【1月】
厳冬期であるため、ほとんどの植物の成長が止まっています。
ただし生きているので鉢植え等は暖かい時間に多少の水やりを必要とします。
強い寒気が入る日があらかじめ予想される場合は、防寒対策を一段階あげておきます。
《 関連記事 》 寒冷地での育て方 > 目安となる気温と対策

【2月】
厳冬期ですが春の兆候が出てきます。
ハーブの中ではローズマリーの始動が比較的早く、2月の終わり頃には新芽が動き出します。
寒さ対策で室内に取り込んだ場合は、この頃には日当たりの良い場所へ移動させます。
また、寒さを好むクランベリーやレッドカラントはこの時期が植え替えの適期となります。

【3月】
気温はやや涼しいですが日照時間も延び、植物が生長を始めます。
多年草系統の植物は新芽が動き出します。
種まきもそろそろ適期ですが、まだ涼しい日があるので発芽にやや時間がかかります。

【4月】
多くの植物が生長を始めます。
この頃に伸びた芽は花芽を持っていることがありますので、剪定する場合は注意します。
種まきにはとても適しています。

【5月】
ある程度生長した植物は花芽がはっきり見えてきます。
5月の終わり頃には花が咲くものも増えてきます。
早く花が咲き終えたものや一気に伸びすぎて困る枝などは軽く切り戻します。
かなり成長が早いため、挿し芽には適した季節になります。
突発的に高温になることがあるため、イングリッシュ系ラベンダーなどは注意を払うようにします。

【6月】
多くの花が梅雨に入る直前くらいに花期となります。
よく成長しているので、収穫や刈り込みはこの時期が適しています。
梅雨に入るとやや肌寒くなり、一時的に成長がゆっくりになることがあります。
ラベンダーなどをドライフラワーにする場合は雨が降る前に刈り取ってしまいましょう。
梅雨になると咲き終えた花ガラが目立ってきますので、株の体力を奪われる前に剪定しておきます。

【7月】
かなり気温が上がってきますがまだハーブは元気なものが多いです。
前半は梅雨になるため、湿気を嫌うハーブは水はけと蒸れに注意します。
最近は突発的な豪雨が来ることもあるため、特に湿った土壌の場合は軽く溝を掘っておくなどして雨の流入に備えておきます。
《 関連記事 》 ハーブの育て方 > 夏越しについて
《 関連記事 》 ハーブの育て方 > 夏越しの対策

【8月】
猛暑になると植物の成長が止まり、場合によっては弱ってきます。
特にイングリッシュ系ラベンダーは注意が必要で、アルケミラやワイルドストロベリーも強すぎる直射日光を苦手とします。
鉢植えの場合は半日陰に移し、風通しも良くなるように配慮します。
クランベリーなどは枯れる危険性が多いので、場合によってはクーラーの効いた室内に退避することも考慮します。

【9月】
やや暑さが収まってくると植物が再び成長を始めます。
夏に消耗した体力を回復し、秋の前半に成長して冬に備えます。
秋まきの植物もこの頃に種まきを始めます。
挿し芽に適した季節とされますが、実際には5月と比べて発根しにくくなります。
ローズマリーなどはまだ余裕で発根しますが、ラベンダーは翌春にならないと根が出ないことも多くなります。

【10月】
まだ多少の成長は見えますが、ややスピードが緩やかになってきます。
初秋の二番花の花ガラがある場合は切り戻しをかねて剪定します。
初夏までに剪定しないで株の姿が乱れている場合はこの時期に剪定・切り戻しを行います。
あまり遅い季節に切ってしまうと翌年の花芽がつかない場合があります。

【11月】
かなり涼しくなり、多くの場合、植え替えや種まきは終了となります。
寒さを好む植物であればこの時期の種まきでも大丈夫ですが、発芽までにやや時間がかかります。
ローズマリーやタイムは室内であればこの季節でも根が出てきます(水挿し)。
ローマンカモミールはこの時期の植え付けでもまだ間に合います。
気温が5度を下回るようになったら冬越しの準備となります。

【12月】
寒さも厳しくなり、寒冷地では霜が降りて気温がマイナスになる日もあります。
鉢植えは軒下などへ移動し、地植えの植物も一部は防寒対策を施します。