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HOME > 寒冷地で育てる《目次》 > 冬越しの仕方《概要》
寒冷地での冬越しを成功させるポイントとコツはいくつかあります。
こちらではまず基本として全体の大まかな手順と概要をまとめています。
地植えでも鉢植えでも大丈夫ですので一通り目を通してみてください。

雪に埋もれるマーシュマロウ

寒冷地での冬越しの手順と方法

それではまず全体の流れと用意するものを確認してみます。
確認したら鉢植え・地植えそれぞれの冬越し方法をみてみましょう。
その後に、抑えておくと良いポイントもまとめていますのでご覧ください。


Contents 目次

【Start:】手順と方法を確認する
 ・寒冷地での冬越しの手順
 ・適したハーブを選ぼう
 ・必要なもの

【Step:1】鉢植えで冬を越そう
 ・用意するもの
 ・鉢植えでの冬越しの方法

【Step:2】地植えで冬を越そう
 ・地植えで冬を越す準備
 ・実際に植えてみよう

【Step:3】冬越しのポイント
 ・なぜ初めての冬越しは鉢植えなのか?
 ・目安となる時期と気温を覚えておこう
 ・冬越しのレベルを確認しておこう

【Step:4】極寒期を過ぎたら
 ・防寒対策を緩めよう
 ・突発的な遅霜に注意
 ・春を楽しみに待つ

【まとめ】
 ・まとめ
 ・関連記事


【Start:】手順と方法を確認する

【寒冷地での冬越しの手順】

それでは寒冷地・冷涼地でのハーブの冬越しの流れを見ていきましょう。
大まかな流れは以下のようになります。


Start1.苗を入手する(※種まきでもOK)
2.鉢植えに植え替える
3.苗を大きく育てる
4.鉢植えで防寒対策をして冬を越す(冬越し1度目)
5.地植えの準備をする
6.地植えに植え替える
7.大きく育てて頑丈にする
8.防寒対策をして地植えで冬を越す(冬越し2度目)
Goal.以降は耐寒性大幅UP!!


各項目の詳細はページの中盤で説明しますので、ここではとりあえず上記のような流れだけ覚えておいてください。
なお、入手した時点ですでに鉢植えだった、あるいはもうすでに地植えにしてしまった場合でもまだ間に合いますのでご安心を。


次に、冬越しを成功させやすいハーブ、主に耐寒性が強いハーブや育てやすいハーブの種類を紹介します。


【適したハーブを選ぼう】

寒冷地に適したハーブは耐寒性が高い種類になります。
また、積雪が残るような場所では常に地面が湿っているため、多少の湿り気にも強さがあったほうが良いでしょう。
地面が乾燥しているのであれば意外と多くのハーブが冬に耐えられます。


CHECK! 寒冷地に適する性質

・耐寒性が高い
・ある程度の湿り気にも耐えられる
・体力、回復力がある


それでは寒冷地でもお勧めのハーブの種類をいくつか挙げてみます。

 → 飛ばして次の項目【必要なもの】へ


CHECK! 寒冷地向けのハーブ

・タイム全般
・立性ローズマリー
・ラベンダー(イングリッシュ系/ラバンディン系)
・カモミール
・マロウ など


【タイム】
まず耐寒性が強く手がかからないハーブとしてはタイムが挙げられます。
タイムの仲間は多くの品種がありますが全体的に耐寒性は強めです。
寒さにあたると葉がやや赤みを帯びた色になりますが春になると緑に戻ります。


【ローズマリー】
ローズマリーも意外と耐寒性はあります。
一般的にはアープという品種が挙げられますが、経験上、トスカナブルーやマリンブルーミスジェサップも十分な耐寒性を持ちます。
霜よけを怠ると若い葉や枝先が霜でやられますが、回復力があるので春になると伸びてきます。


【ラベンダー】
ラベンダーではイングリッシュ系で昔からある品種が強いです。
ただしイングリッシュ系は湿気と暑さに弱いので夏は注意が必要です。

ラバンディン系統も、一度冬越しを成功させるとかなりの強さを発揮します。
とにかく頑丈なので多少傷んでも春になると回復します。
なお、ラベンダーでもこの2系統以外は逆に寒さに弱いので注意してください。


【料理用ハーブ】
料理用キッチンハーブとしては、ルッコラとイタリアンパセリ、チャイブなどが強いです。
基本的にアブラナ科のハーブは耐寒性が強いと思って大丈夫です。


【ハーブティー用ハーブ】
カモミールも耐寒性は強いですが、ジャーマンカモミールは一年草、ローマンカモミールは多年草となります。
マロウの系統も耐寒性が強いものが多めで、さらにある程度湿った土地でも大丈夫です。
マロウは地面の水はけが悪い場合は特にお勧めです。


【ベリー系統は強い】
極端に寒さに強い種類としてはワイルドストロベリーやコケモモ、ツルコケモモが挙げられます。
これらは比較的湿り気にも強いです。
果樹になるとブルーベリー系、ラズベリー系、スグリ系が強いですが、ブラックベリーだけは弱いので注意してください。

ローズヒップの取れる系統のバラも元々野バラで耐寒性は強いです。


【扱いに注意が必要】
ヤロウ・サラダバーネット・ニオイスミレはほぼ放置で冬を越せますが、 地植えすると大繁殖する羽目になりますのでよく考えてからにしましょう。

よく地植えで大繁殖すると言われるミントとレモンバームに関しては、寒冷地では地上部がなくなります。 また、極端な寒気の時に土ごと凍ると枯れてしまうことがありますので、根覆いをしておくと安心です。


【必要なもの】

植えるハーブが決まったら、冬越しに必要なものをそろえましょう。


CHECK! 冬越しに必要なもの

・植木鉢
・包むもの(新聞紙や不織布、各種シートなど)
・支柱
・気温情報
・緊急時(急激な温度低下時)の退避場所


素焼き鉢にも種類があり、寒冷地で使う場合は朱温鉢や駄温鉢という種類がおすすめです。
これは一般の素焼き鉢より高い温度で焼かれているため、固く丈夫です。
寒さによって割れることもなく、寒冷地におすすめです。
【 関連記事 】 植木鉢の選び方


素焼き鉢は重いのが難点ですが、保温性があり、ある程度の通気性もあります。
逆に樹脂製の植木鉢は厚みも薄く、寒さを通しやすく根が土ごと凍る危険性があります。


また、植木鉢は防寒用具としても優秀です。
一回り大きい植木鉢を鉢カバーのように使うこともできます。


包むものとしては新聞紙やいらない包装紙、不織布や防霜シートなどが挙げられます。
紙類は主に植木鉢を包んで保温します。
不織布や防霜シートは植物の本体・苗の地上部を霜や冷気から守るために使用します。
【 関連記事 】 シートの選び方


支柱はシートを設置する際に必要となります。
シートを直接植物に巻く方法もありますが、枝や葉にダメージが出たり癖が付いたりすることも考えられるので支柱に留めたほうが無難です。


気温情報はどれくらいの防寒対策が必要かの見当を付けるために必要です。
また、翌日以降の強い寒気など、事前に把握していることで緊急時前に対策が取りやすくなります。


天気はコントロールできませんので、通常よりも強い寒気が入った時などは安全のために一度冬越しをストップして 退避させます。玄関などにスペースを確保しておいてください。


では、いよいよ冬越しの全体的な手順と方法になります。
まずは鉢植えからです。
地植えの予定の場合でも最初は鉢植えから行うと後が良好になりますのでご一読ください。

【Step:1】鉢植えで冬を越そう

それでは鉢植えで冬を越す方法の大まかな説明です。
なお、より詳しく知りたい場合は、下記の詳細ページを用意していますのでご覧ください。
【 詳細 】 寒冷地での冬越しの仕方 > 鉢植えの場合


鉢植えの場合、基本的にはまず鉢を安全な場所へ移動させ、ある程度の寒さに当てながら管理します。
この際に用意しておいた方が良いものがありますので次の項目で解説します。
用意ができたらいよいよ鉢を移動して管理します。
鉢の並べ方にコツがありますのでここのポイントも要チェックです。
対策の目安となる気温についても軽く触れておきますので目を通しておいたほうが良いでしょう。


【用意するもの】

まずは鉢植えでの冬越しに必要なものを頭に入れておきましょう。
ここでは最低限あると良いものを紹介します。
より詳しく確認したい場合は詳細ページを用意しましたのでご覧ください。
【 詳細 】 冬越しの必需品


CHECK! 用意するもの

・素焼きの植木鉢
・包むもの(新聞紙や不織布、各種シートなど)
・緊急時(急激な温度低下時)の退避場所


【素焼きの植木鉢】
鉢植えは元々植木鉢に植わっていますが、ビニールポットや、 薄い樹脂製の鉢に植わっている場合は保温効果の高い素焼き鉢に植え替えると凍結の心配が軽減されます。

また、鉢を2重にして鉢カバーのように使うこともできます。 一回り大きい植木鉢と重ねるだけで良いのでお手軽な保温方法です。
【 関連記事 】 素焼き鉢の選び方


【シート類/包むもの】
シート類は通常はハーブの地上部を霜などから守るために使いますが、鉢植えの場合は鉢を包むことで根元の防寒になります。
空気の層を作るように巻くと良いでしょう。


【退避場所】
急激な寒気などで通常以上に冷え込むことがあらかじめわかっている場合は、安全のために鉢植えを屋内に退避させます。
このとき、暖かい場所に数日おいてしまうと耐寒性が弱くなってしまうので注意が必要です。
まったく日も当たらない暗くて寒い物置なども適しません。
適した場所がない場合は、簡易温室を作れるビニールシートが販売されているのでそれを使うのも良いでしょう。
【 関連記事 】 ガーデンラック(冬越し用)の選び方


【鉢植えでの冬越しの方法】

それではまず鉢植えでの冬越しを見ていきましょう。
こちらでは全体を簡単にまとめています。
より詳しくは詳細ページを用意していますのでご覧ください。
【 詳細 】 寒冷地での冬越しの仕方 【鉢植えの場合】


【鉢の並べ方に気を配る】
鉢植えの場合、気温が下がってきたらあまり寒くない場所へ移動させるのが基本です。
複数の鉢を一か所に集めて置く場合、風上側や外気が当たる側にはより耐寒性の強い品種を置き、内側に守りたい鉢を置きます。
ただし、大きい鉢植えで日あたりを妨げないように注意します。
些細なことですがかなり威力があります。
【 関連記事 】 【鉢植えの場合】鉢の並べ方のコツ


CHECK! 鉢の置き方のコツ

・耐寒性の強いものが外側
・茂っていて風よけになるものは風上側
・弱い苗が内側、もしくは暖かい壁側
・大きい鉢植えで日光を遮らないように注意
・屋根からの落雪には注意


南向きの日当たりの良い軒下などの条件に恵まれた場所を確保できるならば、 植木鉢の置き方の工夫だけで冬越し可能なこともあります。
心配ならば霜よけと鉢を2重にするなどの対策をすると良いでしょう。
ただし軒下の場合、屋根からの落雪による被害だけは気を付けてください。


【気温の目安と対策】
気温は10月ごろから徐々に下がり始めますが、防寒対策が視野に入ってくるのは最初の寒風が吹く11月頃となります。
こちらでは大まかな気温の目安を例示しています。
目安になる個々の温度については詳しい解説ページを用意していますのでご覧ください。
【 関連記事 】 寒冷地での冬越しの仕方 【目安の温度】


最初の目安となるのは最低気温が5度前後です。
このころにまず鉢植えを寒風や霜の当たらない場所へ移動します。
時期的に突発的な寒風が吹くことがあるため、最初の一撃を受けないようにします。


2度を下回ってくると霜の危険性が高くなります。
霜で芽や葉がやられてしまう場合があるので、この時点で植物の地上部にふんわりと不織布などをまいておきます。
ビニールなどをしっかりまいてしまうと蒸れてしまいますし、色が暗くて厚いシートなどは日光不足になりますので、 この時点では薄いシートで十分です。


苗が若い場合はまず最初の寒風と、その後の霜を避けることを念頭に対策をします。
この対策さえ済めば当分はそのまま寒さに慣らすことで自然に冬に耐えられるようになります。
あとは夜間に長時間マイナス5度以上になると植木鉢の中の土が全部凍りますので鉢が冷えないように注意します。


多年生のハーブは耐寒性が強いものが多いため、基本的な対策さえ済めばさほど心配はいりません。
あとは時折起きる強い寒気などの情報を参考に、事前にシートを重ねる、あるいは玄関内に退避するなどすれば良いでしょう。
基本の対策だけでは心配なほどの寒冷地での冬越しについては、目安の気温ごとに詳しいページも用意してありますので合わせてご覧ください。
【 関連記事 】 寒冷地での冬越しの仕方 【目安の温度】


【対策のポイント】
とにかく根と根元の太い茎部分・中心の幹が凍らないように注意してください。
特に植木鉢の場合は根が全方向から冷やされることになりますので鉢の防寒を考えましょう。
植物の中心部分は自分自身の葉が茂ることによって寒風から守られている面もあります。 暖かい季節のうちに十分茂らせて体力をつけておくことが必要です。


厳冬期には植木鉢や根元に不織布を二重に巻き、鉢自体をしっかり防寒します。
昼間は風と霜をよけつつも十分日光に当てて鉢の温度を上げておきます。


【中断の目安】
一時的に冬越しを中断することが必要な場合もあります。
天気予報などで突発的な強い気温低下が予想された時は、あらかじめ鉢植えを室内の明るく涼しい場所へ退避させます。
玄関などでよいでしょう。
暖かい場所へ置いてしまうとせっかくの耐寒性が元に戻ってしまいますので避けます。
極端な寒気が去ったら再び屋外へ戻します。


種をまいて1年目などの小さい苗や温室育ちの苗は、さすがにマイナス10度になると防寒していても枯れる危険性が高まります。
1年目は無理をせずマイナス5〜10度前後で慣らし、それ以上寒い場合は屋内の涼しい場所へ退避させます。
この時やはり暖かい場所へ置いてしまうとせっかく増した耐寒性がなくなってしまいますので注意しましょう。


【冬越しに成功すると?】
一度冬を経験すると翌年の冬は耐寒性がかなり強まっています。
前年と比べてさらに-5度くらいの冷え込みくらいまで余裕で耐えられるようになります。
苗も暖かい季節に再度成長するので、元気そうであれば翌年の冬は地植えでの冬越しにチャレンジしてみてもよいでしょう。

次は地植えでの冬越しに向けた準備です


【Step:2】地植えで冬を越そう

【地植えで冬を越す準備】

それでは地植えで冬を越す方法の大まかな説明です。
なお、より詳しく知りたい場合は、下記の詳細ページを用意していますのでご覧ください。
【 詳細 】 寒冷地での冬越しの仕方 > 地植えの場合


地植えの場合、基本的には移動できませんのでその場で寒さに耐える必要があります。
そのため、植え付け場所が適しているかどうかよく確認しましょう。
準備ができたらいよいよ防寒対策を施して管理します。


【適した場所かどうか確認しよう】

鉢植えと地植えでは同じ屋外でも環境が変わります。
地植えしてすぐはまだ根も張っていないので、冬までにある程度の期間は欲しいものです。
また、鉢植えと違い地植えは土壌による向き不向きが出やすくなります。
植え付ける前に、適した場所か、土壌はどうか確かめて必要に応じた対策を取っておきましょう。
【 参考 】 寒冷地対策 > 植え付け場所を工夫する
【 参考 】 準備編 > 植えつける場所選び


地植えで冬越しをするために適した場所は以下の通りです。

CHECK! 冬越しに適した場所

・よく日が当たる
・強い風が当たらない
・霜が当たらない
・やや乾燥気味の土壌


→ 飛ばして次の項目【実際に植え付けてみる】へ


【日あたりが良い】
日光に関しては、寒冷地の場合はできるだけ日照を確保できることが好ましいです。
適した方角は東から南となります。
日中でも気温がマイナスになるような場合でも、日光が確保できるなら意外と耐えられます。
【関連記事】 植え付ける場所選び > 日あたり


【強い風が当たらない】
風に関しては、秋の終わりの最初の冷たい一番風でやられますので、あらかじめシートなどで対策しておきましょう。
多少の風が当たるくらいは大丈夫ですが、常時強い風が当たる場所は厳しくなります。
ただし、夏の間は蒸れることもあるので、まったく風が通らない場所というのは避けるようにします。
【関連記事】 植え付ける場所選び > 風あたり


【霜が当たらない】
地植えの場合、霜に関しては特に注意が必要です。
初霜で焼けてしまう可能性が高くなりますので、秋が終わりに近づいたら防霜シートや不織布をかけて対処します。
ある程度寒さに慣れてくれば霜への耐性もついてきますが、まだ寒さ慣れしていない冬の初めは要注意となります。
【関連記事】 風や霜への対策 > 霜への対策


【乾き気味の土】
たいていのハーブは通気性と排水性の良い土を好みます。
時雨たり降雪があったりする場所は常時水分供給されてしまうので、特に排水性に注意してください。
植え付け前に、土に砂や軽石などを良く混ぜ込んでおきましょう。
【関連記事】 土づくりについて


【土壌対策をしておこう】

上でも書きましたが、たいていのハーブは通気性のある土壌を好みます。
寒冷地だと山あいの場所が多く、元々湿り気の多い土や粘土質の場合が多いです。
そのような場合はあらかじめ乾きやすい土へと土壌改良をしておきます。
【 参考 】 土壌対策 > 土づくりについて


地植えの場合は、植えたいエリアの土をよく掘り起こし、土塊を細かく砕いて空気にさらします。
可能であれば何回か繰り返し、土をよくほぐします。


土がほぐれたら通気性のある土壌資材を混ぜ込みます。
軽石や砂などの顆粒状のものや、腐葉土などの植物資材が適しています(ただしピートモス以外)。
地面が粘土の場合は川砂と顆粒状のものを多めに混ぜ、塊を形成しないように細かくほぐしましょう。
【 参考 】 土壌対策 > 土壌資材について


資材を混ぜたらよく掘り返しながら混ぜます。
押し固めても手にすると自然とほぐれるくらいパラパラになるのが理想で、最低でも粘土の塊にならないようにします。
植えたい植物が乾燥を好むタイプの場合は、盛り土気味にし、周囲に排水用の溝を掘っておきます。
溝はただ掘るとそこに水をためてしまいますので、必ず水が流れ去るように水の逃げ場を作っておきましょう。


水はけを確認し、地面が落ち着いたら植え付けて大丈夫です。


【実際に植えてみよう】

CHECK! 植え付けのポイント

・春植えの場合は暑くならないうちに
・秋植えの場合は温度が低下しないうちに
・穴の大きさは根鉢よりも大きく
・余分な枝は剪定して残したい枝に集中させる


いよいよ植え付けです。春が理想的ですが、秋の場合はできるだけ早いうちに植え付けます。
まずは植え付ける予定の場所に苗を置きます。
葉が広がった一番広い範囲の円周くらいの穴を掘るとよいでしょう。
植木鉢や根鉢のサイズの穴にとどめてしまう方もいますが、根が広がりにくいので穴はやや広めにしておきます。
穴を掘ったら一度その穴へ軽く水を撒いておきます。


植えるときに根鉢を崩すか崩さないかはハーブの種類によって異なります。
根が黒く溶けかけているような場合・腐っている場合は取り除いておきます。
白くきれいな根があればその根は勢い良く育ちますので、そのような根は切らないように丁寧に扱います。
穴に根鉢を入れたら土で埋め戻していきます。
埋め戻す土はあらかじめ少し水分を与えておくとしっかり定着しやすくなります。


植え付けたらこの時ばかりはたっぷりと水を与えます。
土の中にしっかり浸透させてください。
その代わりその後二日くらいは水を与えなくて大丈夫です。
しっかり根付いて根が広がれば、地植えの場合はほとんど水やりは必要なくなります。


植え付けてからしばらくしてしっかり根付いていればひとまず大丈夫です。
春の場合は、あまり遅くなると今度は暑さで成長スピードが落ちるので、関東であれば4月のうちには植え付けておくと良いでしょう。
このころまでに植え付けが済んでいれば、梅雨入りまでには茂ってきます。
ある程度成長したら余分な枝を剪定することで、残したい枝に体力を集中させることができます。


秋植えの場合は10月末くらいまでに植え付けておいたほうが無難です。
あまり寒くなってから植えても成長せず、根がしっかり張らないためです。
秋植えでもある程度の温度である程度の期間キープできれば成長が見込めます。
冬を耐えるにはある程度がっちり育てて体力をキープしたいので、暖かいうちにしっかり成長させておきましょう。


【地植えでの対策のポイント】

冬が近づいたら、地植えの場合は移動ができませんのでその場で寒さに耐えることになります。
苗が小さいうちや若い場合は、最初の寒風が吹く前に薄手のシートなどで風と霜を防ぐようにします。
シートは触接植物に巻くのではなく、支柱を立てて支柱に巻き付けたほうが植物を傷めずに済みます。
厳冬期になったら根覆いを加え、薄手のシートも二重にするなどしましょう。


地植えの場合は鉢植えよりも根が凍り付く心配は軽減されます。
ただし、排水性が悪い粘土質の山間などでは凍みる(しみる)といって地面そのものが凍り付きますので、 草のように根が浅いタイプや根菜のようなタイプは根が傷みます。
そのような場合は、ハーブ1株2株程度であれば根覆い、花壇などであれば敷き藁などを敷く、 畑のように広範囲なら地面をシートで覆うなどして保温に努めます。
低木性のハーブなどの場合は根覆いで大丈夫でしょう。
また、霜柱で浅い根ごと浮き上がってしまうこともあるので、 腐葉土など軽いもので覆う場合は上から踏み固め、バークチップなどを混ぜて重量をプラスしておくと良いです。


【Step:3】冬越しのポイント

【なぜ初めての冬越しは鉢植えなのか】

初めての冬越しは鉢植えの状態で行うのがおすすめです。
これにはいくつか理由があります。
まず、種まきの場合は苗が一年目ではさほど育っていないため、そもそもポットや鉢に植わっていることが多いからです。
苗を購入した場合はある程度成長しているとは思いますが、ほとんどの場合、温室育ちで気候の急な変動についていけません。
また、特に秋に購入した苗は夏に体力を消耗しており、また地植えにしても冬までにしっかり根が張る保証がないのでやや心配です。


もう一つ重要なのが、鉢植えですと場所を移動できるという点です。
寒さが強まるにしたがって、庭→風当たりの弱い場所→軒下などと順を追って徐々に移動させることが可能です。
徐々に寒さに慣らすことによって枯らすことなく耐寒性を強めることができるのでこれは重要な要素です。
また、どうしてもひと冬の間に数回は、天気予報を上回る温度低下や、予想されない急激な温度低下が起きます。
そのようなことが予測される場合や実際に温度が低下してしまった場合など、鉢植えであれば安全のために室内に取り込むこともできます。
一度目の冬で枯らしてしまっては元も子もありませんので、最初は安全を考えて鉢植えでの冬越しをお勧めします。


【目安となる時期と気温を覚えておこう】

時期と気温は目安となる頃があります。
こちらでは大雑把にまとめていますが、個々の温度ごとの対策の目安について解説ページもありますので必要に応じてご覧ください。
【 参考 】 寒冷地での育て方 > 目安となる温度


だいたい最初の寒風でやられるのは、11月に気温が5度になる頃です。
最低気温が1桁になったら資材を調達するなど準備をはじめ、5度になりそうだったら風が当たらないようにします。
5度を下回ると今度は霜対策が必要となってきます。
ですので最初の年はやはり5度を目安に防霜シート・不織布等で防寒するようにしたほうが良いでしょう。
12月に入り最低気温が連日マイナス2度をこえてくると地面に霜柱が出現するようになってきますので、根覆いを始めます。
連日マイナス4度を超えると霜柱のような表面の水分だけでなく土そのものが凍ってきますので、根覆いはしておいたほうが良いです。
基本的に不織布と根覆いだけでマイナス8度くらいまでは耐えられます。
そのあとは突発的にいきなり気温が下がるようなことがなければマイナス12度くらいまでは何とかなります。
1月から2月の厳冬期に気温がそれより下がる場合はシートを二重にし、根覆いも厚めにします。
2月も後半になると最低気温が徐々に緩み始めますが、突発的に寒さがぶり返すこともあるので防寒対策はそのまま継続します。


【冬越しのレベルを確認しておこう】

冬越し対策はいくつかのレベルがあります。
軽いものですと、風よけ、不織布一枚での防寒(防霜)、根覆いなどとなります。
もう少し寒くなると風よけ・不織布・根覆いの組み合わせとなります。
さらに寒くなると不織布や防霜シートを二重にし、根覆いも厚くします。
それでも危ない場合はさらにその周囲に支柱を立て、透明なビニールのシートや袋を筒状に抜いたものをかけます。
なおビニールを使うときは通気性を必ず確保してください。


実際の冬越しの際はこの軽いものから最低気温の低下に従って順に進んでいきます。
いきなり最初からがちがちに防寒してしまうと耐寒性が高まりません。
徐々に寒さに慣らすことが必要なので、枯れない程度に守るという認識です。
うまく一冬越せばよく冬は耐寒性が強まっています。
前年よりも一段階軽い防寒対策でしのげるようになるので、例えば一番軽い防寒対策でしのげた植物は対策なしでしのげるようになります。


【Step:4】極寒期を過ぎたら

【防寒対策を緩めよう】

三月に入るとだいぶ最低気温も上向いてきます。
ただし時に急激な寒のぶり返しがあるので、防寒対策をすべて取り除くと思わぬ枯死の原因となります。
すべての防寒対策を取り除くのではなく、一段階緩めるくらいでよいでしょう。
この時期にはすでに植物の芽は動いています。
屋外の場合、黒い防霜シートなどをかけっぱなしにしておくと日照不足で徒長しますので、薄い不織布などに取り換えたほうが良いでしょう。
室内の場合も芽の動き始めが早いローズマリーや、もともと徒長しやすいタイムは暖かくなったら屋外で霜や寒風の当たらない場所へ移動します。
根覆いは虫が潜り込んで越冬していることがありますので、暖かくなったら取り除きます。
極寒期を乗り越えたことで耐寒性は上向いています。
最低気温が0度を上回って遅霜の心配もなくなれば対策は終了しても大丈夫です。


【突発的な遅霜に注意】

怖いのはやはり春になってからの急激な温度低下で、こればかりはどうしようもできません。
ひどいときには5月の頭に霜が降りることがあります。
もっとも一冬超えたことで耐寒性は強まっていますので、気温の低下だけでは枯れる可能性は低くなっています。
ただし霜にだけは注意してください。暖かさに慣れてから強い霜が降りると枯れることがありますので天気予報に注意しましょう。


逆に、3月に突然20度を上回る場合、イングリッシュ系ラベンダーやアルケミラなど、暑さに弱い植物がやられることがあります。
これらは暑くなる予想の日は朝のうちに風通しが良く日陰の場所へ退避します。
上がるにしろ下がるにしろ、3〜4月は気温の突然の変化に備え、防寒対策に使った資材は処分せずにまだとっておいたほうが良いです。


【春を楽しみに待つ】

無事に冬を越し、気温が明らかに上がってきたらハーブは目にもわかる様子で元気を取り戻してきます。
日中の気温が連日15度を上回ってくると勢いよく成長を始めます。
ここまでくれば冬越しは成功したと思ってよいでしょう。
鉢植えの苗などは植え替えても大丈夫ですし、そろそろ種まきを始めてもよい頃です。
次の冬は前回より一段階軽い防寒対策で冬を越せるようになっていますし、うまくいけば防寒対策なしで超えることも可能です。


【まとめ】

CHECK! 他のハーブに守ってもらうには

・耐寒性が強く冬でも茂っている種類
・風よけには大株に育つほうが良い
・ラベンダーかローズマリーが候補
・鉢植えの場合は風上側に耐寒性の強い種類を置こう
・根覆いもできる
・低い位置はタイムが最適
・矮性ラベンダーをうまく使おう



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