立性ですが適度な茂り方とすっきりした印象で軽やかな雰囲気を持ちます。
花は薄紫ですが他のローズマリーの薄紫とも異なる色合いで個性的な印象です。
ローズマリー・ヒスティルペリゴードの基本情報

ローズマリー Rosemary Perigord(シソ科)
多年生・小低木(常緑樹)
【耐寒性】-7〜-12度(※防寒時)
【サイズ】最大120p
※鉢植えは鉢の大きさに比例
【樹形】立性
【主な用途】
料理・観賞・衛生
【花色】
中間の濃さの薄紫
ヒスティルペリゴードとは?
【ヒスティルペリゴードの特徴】
・すっきりとした立性の品種
・生育が早いことで知られる
・葉の色は明るい色
・料理向きの爽やかな香り
・暑さ寒さに強い
・葉はやや大きめだが太くはない
ヒスティルペリゴードはローズマリーの中でも特に成長速度が速いことで知られる品種です。
元はスペインで見出された品種で、暑さ寒さにもそこそこ強く、乾燥にも強い品種です。
他の品種よりも葉の色が明るく黄緑寄りの色で、軽やかで明るい印象です。
生育旺盛ですがすっきりと適度な茂り方なので、庭の一角にマリンブルーなどでは重すぎるという場合におすすめです。
【参考】ハーブの苗/ローズマリー(立性):ヒスティルペリゴード9cmポット
花の色は中間の濃さですが、他のローズマリーにありがちな薄紫とは色の雰囲気が違い、個性的な薄紫です。
少し変わったローズマリーが欲しいという時に適したローズマリーです。
まだまだ見かけることの少ない品種ですが、全体的な雰囲気はセイレムに似ています。
セイレムをもう少し明るい印象にした感じと思うとわかりやすいかと思います。
また、ヒスティルペリゴードは寒さに当たると葉がうっすらと赤みを帯びた色に変化します。
この辺りもセイレムと似た性質と言えるでしょう。
海外ではペリゴールと呼ばれることも多く、ヒスティルというナーセリーで販売されているものが良く知られています。
国内ではヒスティルペリゴードの名で流通していることが多いため、当サイトでもこの名前で記載しております。
ヒスティルペリゴードについて詳しく!
【Chapter:1】ヒスティルペリゴードってどんな植物?
・ヒスティルペリゴードの花
・ヒスティルペリゴードの樹形
・ヒスティルペリゴードの香り
・ヒスティルペリゴードの葉
【Chapter:2】ヒスティルペリゴードの性質は?
・ヒスティルペリゴードの生育環境
・ヒスティルペリゴードの耐寒性
【Chapter:3】ヒスティルペリゴードの育て方は?
・ヒスティルペリゴードの育て方
・ヒスティルペリゴードの花が咲かない時は
【Chapter:1】ヒスティルペリゴードってどんな植物?
【ヒスティルペリゴードの花】
ヒスティルペリゴードはローズマリーとしては中くらいの濃さでやや赤みよりの薄紫色の花を咲かせます。
ローズマリーの中では少し個性的な色の薄紫です。
花は細身で華奢な感じです。
※ローズマリーの花の色に関して詳しく知りたい場合は比較表をご覧ください。
《 関連記事 》 お役立ち情報 > ローズマリーの花の色比較表
【ヒスティルペリゴードの樹形】
ヒスティルペリゴードは立性の品種で枝先は上へ伸びる性質を持っていますが、多少は低い位置の脇枝が横に広がることもあります。
放置していても立性の中では分枝し、脇枝が出やすい方です。ただし脇枝が伸び始めるのは少し遅いです。
大型といえば大型ですが、重く感じるほどのボリュームにはならず、適度に茂った感じになります。
【ヒスティルペリゴードの香り】
葉の香りはやや強めで、爽やかな中にも少しスパイシーな香りとなります。
意外と癖や渋みはなく、素直な香りです。
ヨーロッパではペリゴールの名前で流通していることが多く、料理用の品種としてポピュラーなようです。
【ヒスティルペリゴードの葉】
ヒスティルペリゴードの葉はローズマリーの中では大きめのほうですが、幅や厚みはありません。
一番の特徴は葉の色で、他の品種よりも明るく、少し黄緑寄りの色味となります。
近い所では、ロゼアの葉が似たような色ですが、ヒスティルペリゴードのほうがややマットな印象です。
また、寒くなるとセイラムのようにうっすらと赤みを帯びた色に変化します。
【Chapter:2】ヒスティルペリゴードの性質は?
・日あたりを好む
・通気性のよい土を好む
・暑さにも寒さにも強い
・冬には葉が少し赤みを帯びる
【ヒスティルペリゴードの生育環境は?】
ローズマリーの中でも生育が早く頑丈な種類のため、環境にはよく適応します。
庭へ地植えにするとそこそこ茂りますので、スペースはある程度広めにとったほうが良いでしょう。
素直な立性ですがそこそこ横幅も出ますので、1m近く確保します。
ヒスティルペリゴードはほかのローズマリーと同様に日あたりを好み、通気性が良くて濡れてもすぐ乾く土を好みます。
PHは少しアルカリ性よりの土が良いとされますが、通常の庭土程度でも育ちます。
心配なら草木灰や燻炭などを混ぜて中和しておくとよいです。
基本的には排水性の良い土ならばまず問題ありません。
【ヒスティルペリゴードの耐寒性】
耐寒性はローズマリーの中でも高いほうとされています。
寒くなると葉が赤みを帯びるタイプですが、入手して最初の年は強い寒さにあてると葉が少し元気をなくします。
弱って枯れるほどではないため、薄い不織布をかけるか、鉢植えであれば軒下に移動するなどして、
寒さに慣らしながら最初の冬を越します。
2年目以降は寒さに慣れ、セイレムのように葉をうっすらと赤みを帯びた色に変えながら過ごすようになります。
雪に関しては、降雪そのものには耐えられますが、落雪にあたると折れやすいです。
他の立ち木、屋根の上などから雪の塊が落ちてくると枝が折れることがありますので注意してください。
ヒスティルペリゴードは生育旺盛なため、多少折れても春以降の成長期に回復します。
気になるようでしたら折れた枝は剪定して取り除きます。
また、雪の重みで枝がだらしなく広がってしまいますので、雪が積もった後は枝の雪を払い落し、枝を軽く振ると枝が上向きに戻ります。
スペイン産のローズマリーで、寒い季節の乾燥には強いです。
通常のローズマリーも乾燥には強いのですが、冬場に水やりを控えすぎると枯れることがあります。
そのような時もヒスティルペリゴードは意外と生き残ってくれます。
冬場の乾燥に関してはセイレムよりも強いです。
なお寒冷地での育て方や冬越し、耐寒性のあげ方に関しては詳細ページがありますのでご参照ください。
《 関連記事 》 寒冷地での育て方 > 目安となる気温
一方、耐暑性も非常に強く、元々暑さに強いローズマリーの中でもさらに頑丈です。
連日の40度でも大きめの鉢植えや地植えであれば、水切れさえ注意すれば十分耐えてくれます。
【Chapter:3】ヒスティルペリゴードの育て方
【ヒスティルペリゴードの育て方】
【1.植え替える】
ポット苗を入手した場合、まずは植木鉢に植え替えます。
勢い良く育つため、うっかりしていると鉢底穴を根が貫通してきます。
土の通気性と排水性が肝心なため、鉢底には小粒の軽石などを敷き、
植え付ける土は園芸用土に川砂や小粒の軽石などを混ぜたものを使用します。
少しアルカリ寄りにしたい場合は、植物灰や燻炭、カキ殻石灰などを加えると良いでしょう。
園芸用土単品では、保水性が良すぎるため、砂を混ぜます。
また、肥料分が多いと一気に育ちすぎて見た目はきれいでも弱い苗になりますので、園芸用土を養分の少ない砂などで緩和する目的もあります。
植木鉢に植え替え、ある程度成長して落ち着いたら地植えに移行しても良いでしょう。
地植えの場合はある程度大型になるため、十分なスペースを確保します。
土は排水性を確保し、養分は少なく、よく日の当たる場所に植え付けます。
【2.水やりの間隔を掴む】
植え替え直後は一度だけたっぷりと水を与えます。
最初の1回は、土が水を吸い込み、植木鉢がずっしり重くなるまで与えます。
二度目以降は、土が内部まで乾き始め、植木鉢の重量感が減ってきてから与えるようにします。
地植えの場合は植え付け直後の一度だけで、あとはよほどの乾燥期でない限り水やりはしなくて大丈夫です。
【3.日あたりを確保する】
ローズマリーは陽当たりを好みます。
日当たりが悪いと日光を求めて枝が迷走して伸び、曲がりくねることがあります。
ヒスティルペリゴードは成長が早いため、日光が足りないと徒長しやすいので注意します。
【4.剪定する】
ヒスティルペリゴードは生育旺盛なため、育ってきたら剪定で調整します。
成長スピードが速いとされますが、脇芽が枝に成長するのは遅くなかなか分枝が伸びませんので、
脇芽が出て少し伸びたら脇芽の先を摘心して刺激を与えます。
剪定と摘心を繰り返すことで枝数を増やして茂らせていきますが、枝が増えすぎた場合は細く弱々しい枝を取り除きます。
地植えなどで巨大化した場合は、思い切って切り戻すことで枝の若返りを図ります。
【5.植え替える】※鉢植えの場合
鉢植えである程度育つと成長が止まります。
成長が止まると花が咲くようになりますが、数シーズンで根詰まりを起こします。
葉が黄色くなって落ちるようになったら根詰まりが進行している可能性があるため、大きな植木鉢に植え替え(鉢増し)ます。
もともと葉の色が明るい緑のため、葉が黄色に変わり始めることに気づきにくいので注意が必要です。
ヒスティルペリゴードは大きく育ちやすいため、あまり大きくしたくない場合は鉢の大きさは1サイズずつ大きくしていきます。
どうしても同じサイズの鉢にしたい場合は、根の一部だけを取り除き、根の絡まりはあまり崩さないように植え替えます。
根を大きくいじる場合は、成長の緩い涼しい時期に行う方が事故は少ないようです。
【※ヒスティルペリゴードの花が咲かない場合】
全体的にローズマリーは成長期には花をつけにくくなります。
ヒスティルペリゴードは成長旺盛なため、鉢植えでも地植えでも、ある程度成長が落ち着いてくるまで待つことになります。
また、土の養分が多い場合も枝葉が茂りやすくなり、花がつきにくくなります。
花を咲かせたい場合は養分のない土に植え、数シーズン待ちましょう。
鉢植えの場合は、養分のない土かつ水はけのよい土にして乾き気味に管理し、根詰まり寸前まで追い込むと咲きやすくなります。
一度咲けば咲き癖がつくのか、翌シーズン以降は植え替えても花をつけやすくなります。
成長が安定してくると花期は冬の1期咲きとなり、年末辺りからつぼみが成長、年明けから2〜3月ころまで咲くようになります。
花はその年によく伸びた枝があれば、翌年にその先端や脇芽周辺に花芽をつけます(つまり二年目以降)。
収穫や剪定で常に枝を切っていると、花芽のつく枝も切り落とされてしまい、花数が減ります。
花も収穫も楽しみたい場合は、全体の枝を切り落とすのではなく、透かすように枝を残しながら切りましょう。
全体を強剪定した場合も翌シーズンは枝を伸ばすことに専念するため、花はつきませんので2シーズン待つことになります。
【総合】
ローズマリーは全体的に頑丈で手がかからない植物ですが、ヒスティルペリゴードはローズマリーの中でもさらに乾燥に強い種類です。
基本的には放置気味で良いですが、成長が早い分、鉢植えだと根詰まりしやすくなりますので適宜一回り大きな鉢へ植え替えます。
また、どの種類のローズマリーも花が終わった後の花ガラだけは早めに摘み取ったほうが株が長持ちします。
花ガラ付近はアブラムシの温床にもなりますし、種を付けると体力が奪われてしまいます。
花が盛りを過ぎたら早目に花ガラを取り除くようにするとよいでしょう。
花が終わって葉っぱだけになったら、肥料焼けしないように少量の弱い肥料を与えます。
料理用として育てる場合、株が小さいうちは枝の先端を摘心することで脇芽・脇枝を増やして収穫量を増やすようにします。
収穫するようになると自然と剪定している状態になるので摘心はしなくても大丈夫です。
また、ローズマリーは全般的に、寒さが厳しく乾燥も強いような環境で育てると精油の分泌が減るようで香りがなくなってしまいます。
葉の香りを生かしたい場合は暖かい場所でやや乾き気味程度、少量の肥料分もある状態で育てたほうが良いでしょう。
逆に花を鑑賞したい場合は、寒さが厳しく肥料もなく乾燥が強い状態で育てます。
葉の数はかなり少なくなり、特に冬場はスカスカの状態になりますが、春になると数多くの花をつけるようになります。
その代わり花の後はがっくりと株の体力が落ちるため、早めに花ガラを除去して消耗を防ぎ、少量の養分を与えるようにします。
大型品種のため、地植えにするとそこそこ伸びます。
ただ極端な茂り方はしないことと、葉の色が明るいことから、マリンブルーよりは軽やかな雰囲気になります。
庭に他のローズマリーでは茂り過ぎて重い雰囲気になる、というときにはヒスティルペリゴードが良いでしょう。
【参照】ヒスティルペリゴードが欲しいときは? 見分け方は?
【入手方法】
ローズマリーはたくさんの品種が存在しますが意外とタネの種類は多くありません。
そのため、ヒスティルペリゴードが欲しい場合は苗を購入することで確実に入手できます。
【参考】ハーブの苗/ローズマリー(立性):ヒスティルペリゴード9cmポット
【ハーブの専門店で購入する】
ヒスティルペリゴードは海外では単にペリゴールの名前で扱われていますが、
国内では種苗会社の名前も含めてヒスティルペリゴードの名前で流通しています。
まだ国内での取り扱いは少ない方であるため、確実に入手したい場合はローズマリーの扱いの多いハーブの専門店を探したほうが早いです。
ローズマリー立性【ヒスティルペリゴード】苗
ローズマリー一覧(1)
ローズマリー一覧(2)
【園芸店やホームセンターの園芸コーナーで購入する】
ヒスティルペリゴードは日本では比較的最近から出回り始めるようになった品種で、まだ取り扱いは少ない方です。
それでも園芸店やホームセンターに出回ることはありますので、根気よく探せば入手可能です。
少しひねった探し方としては、匍匐性ローズマリーのハイファ(グロウフロウハイファ)、
もしくは匍匐性タイムのクリーピングレモネードを販売しているお店で探すという方法があります。
ハイファとレモネードはグロウフロウというハンギング植物シリーズのブランドで販売されており、
このブランドを扱っているのがヒスティル社であるため、ペリゴール(ヒスティルペリゴード)も扱っている可能性が高くなります。
ヒスティルペリゴードが欲しい場合は以下の見分け方も参考にしてよく確かめてください。
【ヒスティルペリゴードの見分け方】
ハーブの専門店ではない園芸店や種苗店、あるいはホームセンターの園芸コーナーでヒスティルペリゴードを探す場合、
その特徴で探し当ててみましょう。
まずは、立性で葉の色がほかの品種よりも明るい緑(やや黄緑寄り)の品種を探してください。
他に何か手掛かりが欲しいという時は以下のような部分を観察してみてください。
【特徴1】葉の形で見分ける
ヒスティルペリゴードの葉はほかのローズマリーよりもやや大きめですが太くはないです。
色が特徴的で、他の品種よりも明るい緑(黄緑寄りの緑)となります。
この色はヒスティルペリゴードかロゼアくらいしかありませんので有力な手掛かりとなります。
なお、明るい緑でも覆輪の場合は別の品種です。
冬になると少し赤みを帯びるようになり、この時期はセイレムに似てきます。
【特徴2】樹形で見分ける
立性の代表品種のため、ヒスティルペリゴードの幹や枝は上へ伸びたがります。
ただしレックスのような極端さはないため、ある程度の細かい脇枝が見られます。
一番似ているのはセイレムですが葉の色が違うので区別がつきます(※冬以外)。
【特徴3】香りで見分ける
葉を痛めない程度にそっと触れて香りをかいでください。
マリンブルーやトスカナブルーのような濃い香りではありませんが、強い香りです。
パインやコルシカン、ウッドなどのクセのある香りではなく、素直な香りです。
【特徴4】花で見分ける
売られている苗の状態で花が咲いていることは稀ですが、
少し渋みのあるやや赤みを帯びた薄紫の花が咲きます。
花は樹形にしては小粒で、細身の花弁となります。
他の品種と少し変わった花なので見分けはつきやすいです。
ヒスティルペリゴードはローズマリーの中では比較的新しく流通し始めた種類ですが、
そこそこ頑丈で乾燥に強く、育てやすさからお勧めの品種です。
他のおすすめの種類が知りたい場合は一覧ページを用意してありますのでご参照ください。
【関連記事】:目的別おすすめの品種・種類